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第63話 「夏の夜」

連続投稿2話目です!

 夏の日差しがカンカンに照り付けている。日焼け止めがなければ真っ黒になりそうなくらいガンガン暑さが肌に突き刺さってきていた。

 そんな真夏の青空の下、あたし達は――。

 

「きゃっ冷た!」

「けど気持ち~!」

 

 いつメンで海に来ていた。やっぱ夏といえばでしょ。

 いつかの話していたとあるホテルのキャンペーンを利用して安く済んだってわけ。というのもこのキャンペーンというのは高校生だけで来ると料金が安くなる、いわゆるどこかのテーマパークにおける春キャン的なもの。

 

「できた」

「うま!」

「これなんだっけ?」

「確かウルティモマンでしょ?」

「厳密にはウルティモマンループ」

 

 比奈の作った砂の造形は尋常じゃないクオリティだった。こういうの凄い得意よね……。

 考えてみればウルティモマン好きって、意外とあの二人とウマが合いそうかもね。聞いた話によると弟が小さい頃に一緒に観ていた際にドハマりしたらしい。

 

「よおし、写真撮ろ!」

「いいね!」

 

 そのまま遊んで食べてまた遊んで……。夏休みらしいことを丸一日満喫した。

 海なんて久しぶりに来たけど、めっちゃ楽しい! その分時間が過ぎるのもあっという間で……。

 

「二人とも寝ちゃったわね」

「ま、あんだけ遊んだらね?」

 

 気が付けばもう夜の十一時。いつもならオールして騒ぐとこだけど海で遊びまくった疲れが押し寄せたせいか、岬も比奈もぐっすり快眠中。一方あたしとあやは小さいオレンジ色のライトだけをつけたまま色々話していた。

 

「で、彼も誘うの?」

「え?」

 

 いきなりの指摘にドキッとしてしまう。何を言いたいのかは分かってはいるんだけど。

 

「今日の水着も去年は着てなかったよね」

「あ~……分かってた?」

「まあさすがにね。ただでさえスタイルいいんだから……」

「ん?」

 

 後半の方は声が物凄く小さくなっていったからよく聞こえなかった。

 そんなことはさておき、あやの言う通り今日の水着は今年の六月頃に新しく買ったもの。その理由はまあ……ね? 単純に去年のものがサイズが合わなくなったというのもあるけど。

 けどやっぱりJKにとってはこういう身に着けるものも重要なんだから。

 でもわけあってこれをお披露目する機会はなさそう……。

 

「で、あいつに声かけるわけ?」

「う~ん……本当はそうしたかったんだけどね……」

「何? 何かあったの?」

「うん。先輩が試合あるんだって」

 

 この前先輩のとこへ行った時に初めて知った、八月後半に試合があるのだと。だからそれまでわんこには会わないと。

 調べたら偶然だけどあたしが帰国する前日だった。完全に納得いく形ではないとはいえあたしの願いは叶った形になる。

 

「そうだったんだ……」

「まあね。はあ、ツイてないねあたし」

 

 違う、これはあたしが甘いだけなんだ。これは大大大チャンスなのに。思えばあの時、あたしが先輩を尾行した時にも同じようなことがあった。

 でもあの時と気持ちは違う。今はただ先輩のいない間に抜け駆け仕掛けるのを許せないだけ。だって、認めるのは悔しいけど先輩はあんなに良い人だし。きっとあたしなんかよりずっと人間できてるし。

 その優しさに甘えるのはあまりにも筋が違う気がする。それに先輩はあたしの無茶苦茶なお願いにも事情があったとはいえ応えてくれたもん。

 

「あたしさ、別にフェミニストってやつでもないけどさ。やっぱりあの人に抜け駆け仕掛けるのは違うと思う」

「そっか」

「甘いのは分かってるんだけどね」

「いいんじゃない?」

「え?」

 

 意外というべきなのか、あっさりとした返事でなんか力が抜けてった。

 

「そういうとこも姫の良いとこだって、一ノ瀬も分かってるんじゃない? 口には出さなくても。私はそういう風に思うけどね」

「あや……!」

「都合のいい解釈って言ったらそうかもだけど」

「ううん、そうだよね!」

 

 ちょっと楽になった気がする。もちろん先輩に抜け駆けかます気はない。けどそれは甘さじゃないんだ、そう言ってもらったような気がして嬉しかった。

 

「さすがあやだね!」

「やめてよもう!」

 

 あたしの心は一区切りつけられた。残る問題は蓮のこと。

 ちゃんと話を付けてからじゃないとパパとママのとこへは行けない。

 

「しっかし姫がここまでお熱になるなんてね」

「だって今までの男共とは全然違うんだもん……」

「まあそれは分からなくもないけど」

「あ、そうだ。これこの前タピオカティー飲みに行った時の写真!」

「どれどれ?」

 

 この間一緒にタピりに行った時に撮った写真を見せる。それを見た瞬間のあやはどこか目がキラッとしたような感じがしたのは気のせい?

 

「ほら。超きゃわたんじゃない?」

「ゕゎぃぃ……!」

「え?」

「な、なんでもない!」

「そう」

 

 気が付けば二人して見惚れていた。

 そんなこんなで時間は過ぎていき、アメリカへ出発する二日前。もう残された時間は少ない。

 

「お待たせ先輩」

「お疲れ蓮」

 

 あたしは意を決し蓮を呼び出した。ちゃんと話をしないと。そしてどういう返事が来ようとそれを受け入れないと。

 あたしは緊張を無理やり抑え込み話し始める。

 

「蓮、あんたにお願いがあるの」

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