第62話 「すれ違う2人の意志」
「あっついな~……」
セミの鳴き声がこだまする中であたしは夕飯の買い出しに行っていた。本当はこんなことする前にしないといけないことがあるんだけど、中々勇気が出なくて……。
スマホで日付をチェック。ちょっとした用事があって明後日にはあたしは出かけることになっている。
「もう明後日かあ」
色々準備しないとな。夏休みは高校生の特権だし楽しまないと損なのは分かってる。でもどうしても頭の中は切り替えができていない。
LIMEを開いて文字を打ち込めば話は簡単なのかもしれないけどそれではダメ。やっぱりちゃんと面と向かって頭を下げるべきだと思う。
じゃあそれがすぐにできるかというと……できない……。
理由が理由だし、何より蓮相手だから。蓮の性格を考えれば――いや、蓮じゃなくてもこんなん納得してくれる方が難しいよね。先輩は優しいからああいう風に言ってくれたけど……。
幸いまだ七月だからあたしがアメリカへ行くまでは少し猶予がある。それまでにはちゃんと話しておかないと。
「ん?」
ショッピングモールの帰り道、遠くに見慣れた顔を見つける。
「蓮……!」
まさかまさかの遭遇! 今のうちに行くか? いや、まだ心の準備が……。いやいや、早いうちに言ってしまった方がいいんじゃ……。う~ん、でも……。
そんな風に迷っているうちに蓮の姿は見えなくなっていた。
「あ……」
ウダウダ悩んでるうちに機会を逃した……。ああもう、マジなんなのよ……。
「あ~もう!!」
思わず頭をグシャっとかきむしる。何でこう……!
……いや、やめよう。結局悪いのはあたし自身の弱さなんだろうし。
「はあ……帰ろ」
今日はもう帰ろう。まずは明後日の準備しないといけないし。蓮に納得してもらえるかどうかはまた別として、必ず話はする。
これは逃げてるわけではない……よね? っていうか、そう思わないとやってらんないし……。
今ここで悩んでてもどうしようもないしね。
◇
「夏休みかあ」
ファミレスからの帰り道、ふと思いに耽ていた。せっかく夏休みに入ったのだからどっか遊びにでも行きたいなあ。いや、確かに映画には行ったけど。
でも考えてみれば去年までの夏休みとは比較にならないほどの日々を過ごしてるんだよね。
京都で過ごした日々も楽しかったけど、今年は東京へ戻ってきた。何よりいっくんと再会できたし、……キスまでしちゃった……。
「……」
ぽっと頬が赤くなっていく。ああいう風には言ったけど、あの時の感触は今でも唇に焼き付いて離れないんだ。
急にあんなことして嫌われるかもって思ったけど、いっくんはそんなことする人じゃないもんね。
それどころか前よりもずっと好きになったもん!
「あ~あ~」
一か月くらい続く夏休みだしどこか行きたいなあ。前に話したユニバーススタジオにも行きたいし。まあ大阪なんてそう簡単に行けないけどさ。
先輩達の動向も気になるけど、周りを気にしてたら一気に抜かされちゃう。
「……また誘ってみよう!」
夏休みなんてイベント盛り沢山の超山場だしね! これはいい機会なんだ、ボクもどんどんいっくんにアプローチしていかなきゃ!
閲覧ありがとうございます!
今日は連続投稿します!
感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です!
次回もよろしくお願いします!




