第58話 「夏休み初日の過ごし方×3」
連続投稿2話目です!
夏の暑さに体力をごっそり削られてしまい何もできずにいる夏休み初日。あまりの暑さに倒れそうになってしまう。
毎年暑さを更新しているような気がするなあ……。
「暑いなあ……」
「あたし出かけてくるから」
「うん。いってらっしゃい」
元気だなあお姉ちゃんは。僕なんて家の中にいるだけでも辛いのに。
クーラーの使い過ぎは体に悪いらしいし、お母さんに使い過ぎないように言われてるからあまり使えない。今は扇風機でなんとか暑さを凌いでいる状態。
「みんなはどうしてるんだろう」
ふと気になってみる。この暑さの中みんなはどういった夏休みの過ごし方をしているんだろう。
◇
「よし、体重は大丈夫そうだな」
「はい」
ジムで体重計に乗る。別にダイエットしているのではなく試合の規定体重をクリアできているかをチェックいているのだ。幸い私は無理のない階級で試合をしているため減量には困らない。ましてや今の時期、汗も出やすく体重も落としやすい。
「よし、ミット打ち始めるぞ」
「はい!」
試合が決まっているならそこへ向け集中するしかない。彼と遊びたい気持ちは今でもあるが、私にはそんな暇はない。
だから試合に勝って終わったら、何か声をかけてみよう。最後の夏休みなんだ、そのくらいはいいだろう。そしたら二人きりで……!
「おい、るか」
「あいた!」
「何ニヤついてんだ!」
「す、すいません!」
いけない、気持ちが入っていなかった。スイッチを入れなおしミット打ちを再開する。ちゃんと試合に勝って報告するんだ。そのためにも負けられない。
汗にまみれた夏、これが私の夏休み。
◇
「あ~つ~い~!」
お父さんもお母さんも仕事でいないから家にはボク一人。いっくんを遊びに誘おうかとも思ったけど、特にすることもないしなあ。
それにあと数日で上映開始だし! いっくんと二人きりで映画! 思えば初めてだなあ。昔は小さかったから安里さんが一緒にいてくれたし。
「はあ~……課題なんか手につかないや……」
ベッドの上でゴロゴロしながら前売り券を眺める。仕方ないけど映画に行くまでの間に課題をできる限り終わらせよう。そしたらいっくんと心置きなく観に行けるもん!
「しょうがない、クーラーつけて課題しよ!」
重い腰をあげボクはテキスト片手にリビングへ向かう。さっさと終わらせていっくんと楽しい映画デートだ!
「よおし! マッハで決めるぜ!!」
楽しみな予定に馳せながら課題に取り組む。これがボクの夏休み。
◇
「超アツいんですけど……」
あまりにも暑くて一人のリビングでウダっている。今日は夜みんなが泊まりに来てオールする予定なんだけど、それまでにすることもないからなあ。超ひまぽよ……。
「シャワーでも浴びてこよ……」
いつの間にか汗を掻いてしまっていた。もう、せっかく着替えたのに! 仕方なくシャワーを浴びようとしていたあたしにテレビのとあるCMが目に入った。
「これって……」
これは……! 超いいかも!! さっそくみんなが来たら誘ってみようかな。
テレビに映っていたCM。それはとあるリゾートホテルのキャンペーンのCMだった。そのキャンペーンはまさにあたし達にピッタリで、まるであたし達のためにあるようなもんじゃん!
「これ、もしかしたら……」
そうだ、多少工作すればイケるんじゃない!? 暑さのせいも相まってか悪知恵がよく働くようになっていた。
「これならわんこも……」
何かの策を思い浮かべて不敵な笑みを浮かべる。
そうして夜になりみんなの前でその話をしてみる。
「あ、そのCM私も見た!」
「そうだな~部活休みの日なら」
「賛成」
みんなも結構乗り気になっている。さすがあたしの親友!
このタイミングでこういうキャンペーンをやってくれるとは、超ありがたい。まあ確実に行けるわけではないけど、チャンスではあるよね。
アメリカ行くまでまだ時間はあるし、今は楽しむことを第一に考えよう。
「それじゃあ、さっそく……」
全員で紙コップを手に持つ。
「「「「カンパーイ!」」」」
友達と夜通し騒ぎまくる、これがあたしの夏休み。
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