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第33話 「一ノ瀬一和研究会?」

「でさ、今更なんだけど」

「ん?」

 

 とある日の体育の時間。あたし達のクラスは女子は校庭でハードルをしている。一方の男子は走り幅跳び。

 あたしは座り込み男子の方を見ながら比奈と談笑していた。さっきから走り幅跳びに失敗するわんこを遠目で見てるってわけ。うまく飛べない姿もかわいいんだから。

 

「姫はさあ、いっちーのどこに惹かれたの?」

 

 随分とがっつり聞いてくるなあ。

 しかもいっちーって……。いつからあだ名付けてんのよ!

 

「まあ、色々いいとこあるのよ」

「そうなんだ。言っちゃ悪いけどあんまりよく分かんないんだよね」

「あたしと同じくらい関わってみたら分かるはず」

 

 確かにはたから見れば分かりにくいのかもしれない。実際モテないみたいだし。

 けどみんなにも知ってほしいな、あの子のいいところ。

 そうすればわんこだってもっと学校楽しくなると思うんだけど。

 

「ま、でも好きになる理由なんて一個あれば十分っしょ!」

「ふうむ。さすがは姫様でございます」

「やめてよも~」

 

 軽くだけど比奈を小突く。こういう絡みがあたし達の日常なんだ。

 

「それともう一個気になることがあるんだけどさ」

「なに?」

 

 比奈はいつもよりシリアスめにあたしに問う。さすがにガラリと雰囲気が変わったのを感じた。

 何の話だろ?

 

「彼は姫のことどう思ってるんだろう?」

「……!」

 

 わんこがあたしをどう思ってるか?

 ……考えたことなかったな。少なくとも悪いイメージは持たれてないと思うけど。前に嫌じゃないかは聞いたことあったけど、あたしのことどう思ってるかなんてのはさすがにハードル高すぎい……。

 こんなの直接聞ける人なんかそうそういないだろうけどさ。

 

「あたしも気になるけど……さすがに直接聞けないよ」

「でもはっきりさせてはおきたいでしょ? ましてライバルが二人もいる中で」

「まあ、知りたいっちゃしりたいけどさあ……」

 

 

「話は聞かせてもらったわ」

 

 ふと前方を向くとハードルを飛び終えたあやと岬がいた。

 

「その任務(ミッション)、あたし達がやろうじゃない!」

「ま、乗りかかった船だし」

「任せて」

「みんな……でもどうやって?」

 

 あたしの問いに間八入れずに答えたのはあやだった。

 

「そうね。まずは私達が彼のことをもっとよく知る必要があるわね」

 

 

 

◇

 

「で、あたしら三人集まってどうするんだ?」

「言ったでしょ、彼をよく知る必要があるって。一ノ瀬一和研究会結成よ!」

「というわけで二回に渡って私達の活躍を見てもらうことにした。じっくり見てほしい」

「誰に話してんのあんた?」

 

 私達は小さくまとまり話し合う。

  

「それじゃあどうするんだ?」

「そうね……私達がまとめていくより一人ひとりで接触を図った方がいいんじゃない?」

「ああ~確かに」

 

 そう、三人でいきなり問いただすのも警戒されてしまうだろう。

 それよりかは個別で姫のことを聞いてみる方がいい。距離も近づくだろうし。

 

「じゃああたしからいこうか」

「岬」

「一応あたしは同中(おなちゅう)だからな。話しかけるのは難しくないし」

 

 確かに私と比奈よりかはまだ話しかけやすいのかもしれない。

 それにバスケ部の岬なら人と話すのも得意だし。トップバッターにはうってつけね。

 

「じゃあ任せたわ岬」

「おうよ」

 

 次の休み時間、私は比奈と姫の席に行き岬の動向を見守った。

 後ろの席ということもあり岬は椅子に逆向きに座り一ノ瀬の方を向く。

 さて、どう出る岬?

 

「一ノ瀬」

「は、はい?」

 

 当の一ノ瀬はいきなり話しかけられたことで驚いているようだった。

 それも当然か。中学時代は絡みもなかったらしいし。

 

「な、なんですか……」

「へへ、あたしのこと覚えてる?」

「も、もちろんです。朝桐さん」

 

 なるほど、最初はこういう軽いトークから入るわけか。確かに突然『姫をどう思ってるか』なんて聞かされたって困るし答えづらいわね。

 さすがにコミュニティの広い岬ならこういうのは得意そうね。

 

「さっすが!」

「そ、そうですか?」

「うんうん! いや~せっかく高校も同じでクラスも一緒になったから話しかけてみようと思ってさ!」

 

 さすがね岬、同じ中学というポイントを利用しどんどん距離を縮めていく。このまま姫のことをどう思ってるか聞きだすことも……!

 

 

「そうそう、三年の時の担任の岡林な~! あいつ女バスの顧問だったからあたしにめっちゃ厳しくてさあ!」

「そういえばよく当てられてましたね」

「いや~同中一ノ瀬しかいないんだよね。こういう思いで話するの超楽しいな!」

 

 ん~? なんか思い出話に浸ってない?

 岬、まさか目的を忘れてはないわよね?

 

「そういや一ノ瀬、作文かなんかで表彰されてたっけ?」

「え、ええ」

「はあ~一ノ瀬って結構凄いんだな」

「そ、そんなことは……」

 

 ちょっと! いつの間にか盛り上がってんじゃないの!

 そうしているうちに授業のチャイムが鳴り響いた。

 

「あ、チャイムだ」

「――って結局談話で終わってるし!!」

 

 こうなったら仕方ない、私の出番ね!!

閲覧ありがとうございます!


今回次回は箸休め的にお楽しみください。


感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です!

次回もよろしくお願いします!


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