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第25話 「友達だから」

連続投稿3話目です!

『お前が好きだ……』

 

 そう言うと二人はそっと唇を合わせた……。

 光り輝く夜景は二人を祝福しているようだった。

 

『愛してる』

『私も……』

 

 

 

 

 

「良かった~!」

「本当ね!」

「ふぁああ……あたしは寝ちゃってたわ」

「私は普通」

 

 あたし達四人で近くのカフェで感想を語り合う。あたしとあやは感動して涙ぐんでいた。反対に岬と比奈はそうでもなかったみたい。まあこの二人は恋愛ものとかあんま興味なさそうだし。

 

 今日は春休み。四人で今流行りの恋愛映画を観に行こうとあやに誘われたので、四人で映画館に足を運んだってわけ。

 

「いや~最後泣いちゃった」

「だよねー」

 

 あたしとあやは楽しそうに語り合っている。一方の岬と比奈は退屈そうに飲み物を飲んでいた。

 

「いや~なんていうか……」

 

 誘ってくれたあやにはマジで感謝してる。ここ最近みんなとの時間を削ってしまっていたし、今日誘ってくれたことは本当に嬉しい。

 

「ありがとね、あや!」

「べ、別に……わざわざ感謝されるほどのことじゃ……」

 

 ふふっ、可愛い反応するなあ。

 と思っていた矢先、岬があやを肘で小突いた。何だろう?

 それを受けてごほんと咳払いをする。

  

「こんな時に言うのもなんだけど。じ、実はさ……話したいことがあって……」

「何?」

 

 普段とどこか違う様子のあやに何かが引っかかる。岬と比奈はその様子をただ見ているだけ。

 あたしは状況が呑み込めずにいた。

 

「その……あの……」

「何? どうしたの?」

 

 あやは話を切り出せずにいる。

 そんなあやを見かねてか、比奈が口を挟んだ。

 

「あや。ちゃんと話すっていったでしょ」

「わ、分かってる……!!」

 

 何の話なんだろう? 未だに理解ができずにいる。

 どうしたのよあや……。

 

「ひ、姫!!」

「な、なに?」

 

 意を決したのか、あやはあたしの目を見て両手を強く握る。

 そして彼女の口から出た言葉は――。

 

 

「最近、用事って言ってるけど何の用事なの!?」

 

 

 ……そのことか。前にちょっと熱くなりすぎて喧嘩になっちゃった話題でもある。

 けどあの時とは違う。明らかに真剣な眼差しであやは聞いてきている。

 

「あや……」

「どうしても言いたくないっていうなら聞かない。だけど、もし悩んでたりするなら、聞かせて欲しいの! だって……寂しいじゃない!」

 

 ふと二人にも目を向ける。すると二人も頷いた。

 そうか……みんな心配してくれてるんだ……。

 

 自分一人のことじゃないから、言っていいのか分からなかったけど……。

 

「あたしは……」

 

 

 

 ごめん、わんこ。あたしこれ以上みんなに秘密にできない。だってズルいから。友達に嘘をつきたくないから……。

 でも大丈夫。この三人なら話しても悪いことにはならない。それだけはあたしが保証するから!

 

「実は……」

 

 あたしは全てを話した。この数か月のことを。

 わんことのこと、先輩とのこと……。

 告白したことも。

 

 

「――っていうわけ……」

 

 みんなはしばらく無言だった。そりゃ反応に困るよね。

 そんな空気を破ったのは比奈だった。

 

「まさか姫がそんなことになってたなんてね」

「あたしらにも言えないわけだ」

「ごめんみんな。みんなを信用してなかったわけじゃないの。ただ……」

「ただ?」

「……わんこがああいう性格でさ」

 

 そう、あたし的には周りに知られても別によかったんだけどわんこはそれを望んでいない。その理由は自分なんかと一緒にいるのがバレたらって。

 わんこは自分のことを卑下しすぎなんだよ……。もっと自信を持ってたら今までも彼女の一人二人は余裕だと思うんだけどな。

 

「しかしあの一ノ瀬に惚れるとはねえ」

「岬、知ってるの?」

「ああ。同中だからな」

 

 そうなんだ! それ超羨ましいんだけど!! 中学時代のわんこってどんな感じだったんだろう?

 

「ねえ、中学の時ってどんな感じだったの?」

「う~ん……実はあんま印象に残ってないんだよね。彼地味な方だったし。まあぶっちゃけ一人でいることの方が多かったな」

「そうなんだ……」

 

 まあ予想はしていた。今もクラスでは目立たない方らしいし。人見知りなのか、考えたくないけど避けられてるのか……。

 あ~あ、同じクラスだったらなあ。

 

「よし!」

 

 突然あやが手を叩く。

 

「こうなったら乗りかかった船、私達も協力するよ!」

「いや、姫ならそんな必要ないんじゃない?」

 

 あたし自身はそんなに恋愛上手なつもりはないけどなあ。まあ確かに過去には彼氏もいたけどさ。

 

「でも相手はあの颯先輩でしょ?」

 

 確かに。先輩は今まで誰かと付き合ったりはしなかったみたいだけど、あんなに良い人だし何より美人だし……。

 経験値ではあたしの方が上でも侮れない超強敵であることは間違いない。

 なら、味方は多いに越したことはない。それになにより、あたしの大事な友達だし!

 

「うん……みんなありがと!」

 

 あたしがそう言うとみんなは何も言わず微笑んだ。

 我ながらいい友達を持ったもんだ!

 見てなよ先輩! あたしは勝ってみせるから!!

閲覧ありがとうございます!


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