第24話 「プライベートも大事だけど」
連続投稿2話目です!
「やっぱり姫なんか変じゃない?」
私――龍崎彩香(通称あや)がそう言うと二人は視線をこちらへ向けてきた。
せっかくの修了式。四人でご飯でもと思ったけど姫こと私達の親友、犬飼織姫は用事とやらで一緒に帰らなかった。これが今日だけならまだしも、去年の秋くらいからちょくちょくある。その理由は絶対に教えてくれない。
そのため今は私達三人だけでファミレスにいる。
「確かに気にはなるけど」
親友の一人比奈がテーブルに顎を乗せながらけだるげに言う。
彼女は興味を示しているのかいないのか分かりにくい。
「そりゃあおかしいとは思うけどな」
頭の後ろで手を組みながらもう一人の親友、岬が口を開く。
バスケ部所属の体育会系だけあってか、あんまり女子らしくない仕草に抵抗がないみたい。
「やっぱ彼氏でもいるんじゃないかと思うんだけど」
「でもそれについては前にも聞いたじゃん」
「それに仮に彼氏ができてたにしてもさ、あたしらがそう簡単に口出ししていいもんじゃないだろ」
「う……」
それはそうなんだけど……!
反論できずに思わず口ごもってしまう。
「第一あやは何でそんなに気にするの?」
「それは……ほら、秘密にされたら寂しいじゃない? この一年仲良くやってきたんだし!」
それは嘘偽りのない、私の本心だ。確かに友達だからって何でもかんでも報告する必要はないだろうけど、私達との時間がなくなる理由を隠されるのは寂しい。
それにもし彼氏ができたのだとしたら、ちゃんと祝福したい。
それに姫は前に言っていた、彼氏とかそんなのには興味がないと。その言葉に偽りはないと思う。だからなおのこと気になるのは当たり前じゃない。
「っていうかさ、本当は一緒にいないのが寂しいだけじゃないの?」
「同意」
「な!? 別にそんなんじゃないけど……」
私はただ仲の良い友達が……。
「まあ別に各々予定くらいはあるでしょ」
「そうそう。あたしだってバスケ部あるしさ」
それは分かってる。そこにあれこれ首を突っ込むつもりもない。ただなぜかモヤモヤする……。
それは何でか、まあこの二人には隠せないか……。
「はあ……降参。そうよ、姫がいないのは何か寂しくて……」
「姫はあたしらの中心みたいなもんだしなあ」
「気持ちは分かる」
そう。もうはっきりと覚えてないくらい私達は一緒にいた。
授業も、土日も、東京遠足の時も。たった一年だけど凄く楽しかったし、これからも一緒にいたいって思ってる。
そしてその中心には姫がいた。だからその姫がいないのはどこか寂しく感じてしまう。
「ま、どうしても気になるんなら本人に直接聞くしかないね」
「いや、それでこの前喧嘩になったじゃない……」
「まあまあ。本当に怪しいなら尾行でもしてみれば? な~んてな」
尾行……探偵もののドラマなんかでよく見るあれか……。
「悪くないわね……」
「いや、やるなよ?」
「やっぱり直接聞いてみたら?」
比奈が提案する。だけどそれは……この前のこともあって乗り気になれない。
「だからそれは――」
「いや、だから言い方とか気を付けてさ。それに友達としてちゃんと話して欲しいって言えば姫だってその気持ちに応えてくれるんじゃない?」
確かに……。言われてみればこの前は冗談半分での流れだった。
でも今度はちゃんと友達として聞いてみたらどう? もし何か悩み事だったら力になれるかもしれないし。
そう、やっぱり紛らわしいやり方よりはっきりと口に出した方がいいわね!
「じゃあ春休みどっかに行ったら聞いてみましょう」
「りょー」
「しゃあないな……」
さっすが私の親友!
姫に何かあったのは間違いない、だから私は……力になってあげたい!
閲覧ありがとうございます!
今回は友人目線で描いてみました。
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