第2話 「家族」
連続投稿2話目です!
「はあ……」
溜息を吐きながら自室のベッドに倒れこむ。
疲れた……。あの後、最近流行っているSNS? のアカウントを聞かれたものの僕はやっていなかったので強制的に始めさせられたり、帰り際にもう一回抱き疲れたり……。
ペットてどういうことすればいいんだろう。まさか……エ、エッチなこととか……?
「でも、断れない……よね……」
断れるほど強気になれない。自分のダメなとこなのは分かってるんだ。けど――――。
「…………」
ぽっと顔が赤くなる。まともに対話したのは今日が初めてだったけど……凄く可愛い人だったなあ……。本来僕には一生縁がないような人なんだろうって思う。
きっと今まで何回も告白されてきたんだろうなあ。本来なら僕なんかが手の届く人ではないんだ。
「可愛い……なんて……」
そんな風に言ってもらえたのは生まれて初めてかもしれない。いや、小さいころとかにはあっただろうけど、さすがにこの歳になるとほぼない。それどころか女顔だと馬鹿にされることの方が多かったかも。
でもそうか、可愛いなんて言ってくれ人がいるんだ……。
「あんまり悪くないかも……」
「帰ってくるなり何一人でブツブツ言ってんのよ」
「うわ!!」
ビックリしてベッドの上で飛び跳ねてしまう。ドア開けっぱなしだったかな?
「もう、いきなり声かけないでよお姉ちゃん……」
「何女みたいなこと言ってんのよ。女っぽいのは顔だけにしときなさい」
彼女は大学生の安里お姉ちゃん。僕と違って交友関係も広く今まで付き合った男性の数は数知れない。同じ姉弟でこんなにも代わるものなのかとよく言われる。
「そういや、あんたLIME始めたの?」
「え? あっうん。ちょっとね……」
どうやらLIMEというのは電話番号が入っている人は自動的に友だち登録されるみたい。画面を開くと新しい友だちの欄にはお姉ちゃんのアカウントが表示されていた。
「それで、どうしたの?」
「どうしたって、今夜お父さんもお母さんもいないでしょ」
「あ、そうだったね」
色々あったせいか、すっかり忘れていた。
お父さんとお母さんはお仕事が忙しいようで、週に一度程度、こうして夜は僕達だけになる。
まあこういう時は決まって僕が夕飯を作らされるんだけど……。そういう時に料理担当なせいか、人並み以上にはできる。そんなところも女っぽいって言われる原因なのかな。
「じゃ、買い出しよろ! あ、ビーフシチューがいい!」
「もう……」
疲れた体を無理に起こし、買い出しへ出かける。こんな日常が当たり前、それが僕の家族。
「行ってきます」
時期は十一月。夜になると肌寒く、風が冷たい。そんな時だった。
『♪』
「ん?」
携帯から聞こえてくる着信音。見れば今日始めたLIMEだった。
早速新しいメッセージが届いているようで、アプリから新着の通知が来ている。
「……犬飼さん?」
そこに表示されていたメッセージの主は犬飼さんだった。
『明日、朝八時に多摩センター駅集合!』
時刻と場所を指定する文章とスタンプ(っていうみたい)が送られてきていた。
朝の八時に多摩センター……行けなくはないけど……。何をする気なんだろう?
不安はあったけど断れるはずもなく『分かりました』と返信する。
と同時にまた新しいメッセージが届いた。
「今度は……お姉ちゃん?」
お姉ちゃんからのメッセージ、今まではメールだったから随分新鮮に感じる。
さて、何の用事だろう?
『買い物ついでに雑誌買ってきて。命令』
「…………」
毎度の人使いの荒さに何も返信できず肩を落とす。
僕は重い体を引きずりながらスーパーへ向かったのだった。
「……お姉ちゃん達には言えないよね」
いくらなんでもペットになりましたなんて言えるわけがない。このことは内緒にしよう。
明日の朝に何があるのか、期待半分不安半分で僕はスーパーへと向かう。
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