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第1話 「放課後のギャルとショタ」

新連載+久々のなろう連載です、よろしくお願いします!!

 次第に寒くなり冷え込むような風が吹き出した十一月の放課後、この教室で掃除をしているのは僕だけ。なぜ僕一人なのか、それは掃除担当のみんなが僕に押し付けて帰ってしまったから。

 まあ入学してからこの約半年、こんなことは何度もあったけど。

 

「みんなひどいなあ、もう」

 

 昔から何度もこういう扱いはされてきた。僕は高校一年にしては背が低く、気が弱くて力もない。しょっちゅう中学生に間違われるくらい。しかも顔は女子みたいとよく言われる。そんな僕だから押し付け役としてはピッタリなんだろうな。

 それに対して抵抗もできず受け入れている僕自身もあれだけど……。

 

「はあ……」

 

 窓の外からは部活動の掛け声や、帰宅する生徒達の賑やかな話し声が聞こえてくる。それらが耳に入る度にため息が止まらない。早く終わらせないと帰れないや。

 

「ふう、一人だと全然終わらないや」

「じゃ、あたしが手伝ってあげようか?」

 

 突如かけられた声に驚き扉の方を見る。

 そこにいたのは茶髪の長い髪をなびかせた女子生徒。短くしたスカートに制服のボタンを二つまで空けているかなり着崩した制服。モデルのようなスタイルに……豊満な胸……。

 僕のクラスじゃない、確か何回か廊下で見かけたことあった気もするけど会話もしたことすらない。そんな人が何でここに?

 

「えっと……」

「話したことないから知らないよね。あたしは五組の犬飼いぬかい織姫おりひめ、よろしく」

 

 五組か、じゃあ知らないのも無理はないや。僕は一組だからクラスが離れてるし。

 けど、それならなおのこと分からない。何で僕のことを手伝ってくれるんだろう?

 

「あっ、僕は……一ノいちのせ一和いちか……です」

「ふうん、可愛い名前じゃん」

 

 一瞬ドキッとしてしまった。いつも女みたいと笑われてきた僕の名前をそんな風に言ってもらえたことなんてなかったから。

 もしかしたらからかってるだけなのかもしれないけど……。

 

「あ、あの、何で手伝ってくれるんですか?」

「うん? だって一人でやらされるなんてかわいそうじゃん? そういうことすんのはマジでGMゴミっしょ」

 

 そう言いながら掃除をし始める。まともに話して数分だけど、この人にはどこか優しさを感じた。

 派手な色合いの髪と、着崩した制服という見た目からはあまり想像できないほどテキパキと掃除を進めていき、そのおかげで五分後にはすっかり教室は綺麗になっていた。

 

「あ、あの、ありがとうございます……」

「いいよそんな、マジ大袈裟」

 

 深々と頭を下げる。僕一人だったらもっと時間がかかってただろう。本当に感謝しかない。

 まさか手伝ってくれる人がいるなんて。

 

「本当になんて言っていいか……」

「じゃ、じゃあさ」

 

 僕の言葉を受け、犬飼さんが照れくさそうに笑う。その顔にちょっとドキドキしてきた。髪の毛をいじりながらどこかそわそわしているその姿は明らかに何かを含んでいる。

 

「あたしの言うこと、一つ聞いてもらっていい……?」

「言うこと?」

 

 な、何を言ってくるんだろう……? あ、まさか……え、エッチなお願いとか!? いや、さすがにそんなことあるわけ……。

 緊張からか、汗が一滴頬をたどる。

 

「な、何を聞けばいいんですか?」

「あ、あたしのさあ――」

 

 続く言葉を吐く寸前に僕は唾を飲み込んだ。胸の鼓動は既にピークに達している。

 そして犬飼さんが言うお願いとは――――。

 

 

 

 

 

「あたしのさ、ペットになってよ」

「……はい?」

 

 沈黙が教室を包む。お互い真っ赤な顔のまま言葉を発せずにいた。

 何を言ってるんだろう? 僕をペットに?

 

「あ、あの……一体どういう……」

「その、あたしさ。名前の通りで昔から犬とか大好きで。けど今はマンション暮らしだからペット禁止なんだよね」

 

 確かにマンションならペット禁止はおかしくないけど……。

 でもそれで何で僕がペットになる流れに?

 

「そ、その、何で僕がペットに?」

「うん? そりゃあね……」

 

 壁に寄り掛かった彼女は僕の頭に手を乗せると、満面の笑みで答えた。

 

「だって可愛いじゃんキミ、わんこみたいで!」

 

 その瞬間、犬飼さんは僕を思いっきり抱きしめる。そして頭をくしゃくしゃにするように撫でてくる。

 女子にこんなことされた経験なんて当然僕にはない。顔がより一層火照っていく。

 

「ちょっ……犬飼さん!」 

 

 女子に抱き着かれたこともそうだけど、大きな胸が僕の顔にあたってくるのが……。

 自分では見えないけど間違いなく顔は真っ赤になってる。いや、さっきからずっとそうだけど……。

 で、でもどうしよう? 一見無茶苦茶なお願いだけど、ここで断るのはどうなんだろう。

 

 そんな風に迷っていた最中、犬飼さんは僕を一旦引き離す。

 

「――っていうわけで!」

 

 ようやく止めてくれたかと思った矢先、僕の顔の位置に合うようにかがみ視線を合わせる。

 クラスが違うせいであまり気にも留めなかったけど、よく見ると凄く綺麗な顔で……可愛い人だ。直視するのも照れるくらい。

 そんな人にペットになれなんて間違いなく生まれて初めて、というか一生に一度あるかないかくらいの経験だよね……。

 

 

「これは決定事項だから! よろしくわんこ!」

 

 どうやら断ることはできないみたい……。困惑する僕をよそに犬飼さんは幸せそうな笑顔で頭を撫でてくる。

 僕は断ることもできなかった。とはいっても嫌な気にはならない自分がいるんだけど。

 

 こうして、僕のペット生活が始まったのでした。

閲覧ありがとうございます!

自身初のラブコメです。ショタとギャルなのは完全個人的な趣味です笑


感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です。

次回もよろしくお願いします!

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