騎士様2
村へ騎士がやってくるのと少女が森から戻ってくるのはほぼ同時だった。
村ざ何時になく騒がしい。
「あの人が騎士様かなぁ。」
少女の視線の先には立派な鎧を着た壮年の男性がいた。
髪や眼は何処にでも居るような色をしているが顔には傷があり、第一印象は忠実な騎士と言ったところか。
「おや、そこのお嬢ちゃん。何か?」
「!!私ですか?」
「ええ、私を見ていましたので。」
少女が壮年を見ていたのをどうやら騎士も気がついていたらしい。
「い、いえ、何でも無いです。」
「そうですか。宿をとりたいのですが……道案内を頼んでも宜しいですか?」
「わ、私でいいんですか?」
「私で良い、とは?」
「私は…『呪われた眼』だから……。」
騎士の壮年は突然笑い出す。
「な、何か?」
「いえいえ、その様な『どうでも良い』事で差別している村の人々が可笑しくて笑ってしまいました。」
壮年は鋭い視線で空を見上げる。
「そうですか。村ではその様な事が……。」
もう一度少女に目を合わせる。
「これは王国側の不手際です。本当に申し訳ない。」
そう言って頭を下げる壮年。
「あ、頭を上げてください!私にはそんな……!」
「いえ、謝らせて頂きたい。」
壮年はやっと頭を上げる。
「で、では宿に道案内しますね。」
「宜しくお願いします。」
騎士を宿まで道案内した帰り、少女は小屋まで戻ろうとしていた。
「おい、お前如きが騎士様に話しかけてんじゃねぇよ。」
声が後ろから聞こえたかと思うと顔に衝撃が走る。
その後も蹴られ、殴られ……やっと解放された頃には手に持っていた青年から貰った魔獣の死体も無くなっていた。
少女は空を見上げると少しため息を吐いて今度こそ小屋に戻った。