騎士様1
昨日の様に聖堂に行くといつもドアの前にいる青年がいなかった。
「あれ?どこにいるんだろ?」
少女は少し不思議に思い、待ってみることにした。
花壇へ腰掛け足をぶらぶらさせていると森の方から青年が歩いてくるのが見えた。
「あ!お兄さんだ!どこに行ってたの?」
少女は青年に駆け寄る。
「……少し、魔獣が…多くてな。」
「へー、最近物騒だもんね!私の住んでいる村にも騎士様が来るらしいし。」
「……騎士?」
「そう!騎士様!王国に務めてる強い人!」
少女は目をキラキラさせて言う。
「……そうか。」
青年はそれだけ言うとドアの前まで歩いていく。
ドアの前まで着くとその前に座った。
「……なんの用で、騎士が……来るんだ?」
「んー、私もよく分からないんだよね。何分、情報は盗み聞きしか集める方法が無いし。」
「……そうか。」
簡単に青年は返事をすると少し俯く。
「どうしたの?悩み?」
「………いや…そうじゃ…ない。」
少女は不思議そうに首を傾げる。
「……ただ…面倒臭い……事になると…思っただけだ。」
「ふーん、そっか!」
何やら自己解決したようだ。
「じゃあ私も少し騎士様の情報を仕入れてくるよ!」
笑顔でそう言うと村へ帰った。
「…………。」
青年は少しだけ上をむくと太陽に顔が照らされる。
死んだ様な眼とは反対に少しだけやる事が出来たと思う青年だった。
青年は立ち上がると少女が帰って行った道を見る。
そうしてまた森へ入っていった。
魔獣を狩るために。