プロローグ
「この呪われた眼が!なんでここにいるんだ!」
男性が拳を振りかぶり思いっきりふる。
それが少女にとっての『日常』だった。
少女は村全体から虐められている。
いや、虐められていると言うよりは差別されている、と言った方が正しいかもしれない。
「くそ、気味悪ぃ。」
一頻りに殴ったあと男性は帰っていく。
当然殴るのを止める人もいなければ庇う人もいない。
「ただいまぁ。今日も殴らたんだ。痛かったけど我慢したの。偉いよね!ねぇ……。」
嘗て少女にも母親と言うべき人が存在した。が、少女が赤い眼であり、国全体から差別の対象となっている事を知った母親は少女を守ろうとした。
父親は少女の眼を見た瞬間に出て行ってしまった。
それもまた昔の事だが……。
「明日は何をするのかな……?うーん、」
1人の寂しさを紛らわす為に独り言が多くなった少女は考える。
今日辛うじて取ってきた木の実を齧りながら。
「そろそろ食べ物が無くなってきちゃった。森へ入ろうかなぁ……でも怖い魔獣さんがいるって言ってたし……。」
正直、少女に選択肢は無かった。
森へ入らねば食べ物が無く、餓死をする。
ならば森へ入っていく方が幾らかマシなはずだった。
「うん、明日森へ行こう!おかぁさん、見ててね。」
少女は地面に横になると少し涙を流して寝た。