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竜王様異世界漫遊記   作者: 聡塚聡
剣と魔王たちの世界
18/25

竜王様と四天魔王

 ぶつん、と映像が途切れた。


『 どういうことだ、これは 』


『 監視用の使い魔もやられたらしいな 』


 突然のことに、二人の声からは動揺が見て取れる。

 無理もない、我ら四天魔王は死を克服したはずなのだから。

 ただ一つの急所を除いて。


「 姿こそ見えなかったが間違いあるまい。"剣"が戻った 」

『 風ごときが! だからアレは俺が預かると言ったのだ! 』


 念話ごしであっても炎のように怒り狂う様がありありと浮かぶ。


「 封印を保つには神官たる力が必要。仕方がない 」

『 そんなことよりも 』


 地の底から響くような声。

 先程の動揺が嘘のように、すっかり落ち着きを取り戻している。


『 風がやられた、ということは火の力を持つ者だろう。

  火の領内管理に穴はなかったか? 何らかの、異界の来訪者の見逃しはなかったか? 』


『 てめぇ……俺がそんなヘマするわけねぇだろうが!! 

  それより、風がやられたってことは次はアンタじゃねぇか? 』


「 私もそれを考えていた 」


 我らの急所である剣。

 それだけはなんとしても封印し、手が出せないようにしておきたかった。

 だからこそ、封印を行う神官であり、もっとも素早く知覚に長けた風が守っていた。

 それが敗れたということは即ち、凌ぐだけの力を持っていたということ。


「 風は火に弱い。剣を放ち、あまつさえ風を倒したということは間違いないだろう 」

『 つまり、俺やお前とは相性が悪い。

  地のアンタまで倒されて力を奪われたら厄介だろうな 』


『 わざわざ集めたのはそういうことか 』


 彼は気づいたようだ。

 ならばもったいぶる必要はない。

 さっさと話を進めるとしよう。


「 我らが手を組み、剣とその封印を解いたものを倒す。

  大魔王様が目覚められるその前に、すべて終わらせる 」


『 一人やられている以上、黙って待つわけにはいかんからな 』

『 じゃあ決まりだ。どこでやるんだ?

  まさか大魔王様の城で暴れるわけにもいかねぇだろ 』

「 やはり地の領域がいいだろう。

  風から最も近い、それに、おそらくは気づかれている 」


 全員が話を止める。

 風の使い魔が異常を知らせに来たすぐ後。

 みなが感じていた、見られている感覚。

 口に出すまでもなく、剣の覚醒が始まっているのだと確信を得た。


「 世界をその手に収め、魔族の御世を作り給うた最初の魔王。

  偉大なる魔王を殺し、大魔王様までも傷つけた斬魔の剣だ 」

『 ああ、そのためなら協力だろうがなんだろうがやってやるよ 』

「 では決まりだ。すぐに地の領域へ行き、剣を砕く備えをする。

  私と火もいくつか用意がいるだろう。餌も持参せねばな 」


 頭の中で備えを考える。

 餌は1000匹もあれば十分か、長くなるようならばまた別の作戦も必要だろう。


『 おい、聞いてんのか? 』

「 どうした? 」

『 地のヤツが返事をしやがらねぇ。寝ちまったのかよ 』

「 我らを迎えるためにも魔物に指示をしているのだろう。

  お前と違って地は律儀な男だ。少しばかり待ってやれ 」



『ほーん、通信機があるとはすごいじゃないか』



 気の抜けた声が頭に響く。


『 なんだ……? 』

『この水晶っぽいのが増幅器で魔力に思念を乗せて会話すると。

 原始的っちゃ原始的だが悪くない。想像よりも進んでるじゃないか』

『 てめぇ! 剣の仲間か!

  風の話水晶を使いやがったな!? 』

『風? こいつは風って感じには見えんが』


 ありえない。

 かつて存在していた竜種の最上位であっても。

 異世界から来た魔を滅ぼす者たちであっても。

 こんなことがありえるはずがない。

 人類種を、それに従う獣どもを、支配者気取りの竜どもを。

 滅ぼし、魔族の繁栄を築いた魔王とその忠臣たる我らが。

 こんな簡単にやられていくなどありえるはずがない。


『ま、それはそれとして。

 ()()()()()ならちょうどいい』

『 ッ! やべぇぞ水! 早く―― 』


『こっちへ来ォい!!』

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