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2 夢のお告げ

ほのぼの系統の予定(とはいえ甘々な展開にもなる予定)


最初に俺が夢のお告げを受けたのは妻が病で死んでしまった時だった。不安定な精神状態で、俺はおかしな夢を見た。そこでは後妻に迎えた女によって性格をねじ曲げられた娘が、王子の婚約者になっているのだが、その王子が平民の女を寵愛してその女に嫉妬した娘が色々とその女に妨害して、それらを夜会にて断罪されるというものだった。


夢のはずなのに凄くリアルに感じて、翌朝目を覚ましてからもずっと頭から離れなかった。そして、その日のうちに俺は城に呼び出されて娘と王子の婚約の話を持ちかけられる。俺は夢の内容が気になってしまったので一度時間を貰って家に帰り久しぶりに娘の部屋を訪れて思わずドアの前で止まってしまった。


中から聞こえてくる娘の抑えるような泣き声。それはそうだ。妻が死んで辛いのは自分だけではない。娘の方がよっぽど辛いはずだ。それなのに自分のことだけ考えていた自分に腹が立ち、俺は中に入ってから驚く娘を抱き締めて言った。


「すまない。リリス。お前に寂しい思いをさせてしまって」

「お、おとうさま?」

「リリス。私はお前の母親のことを愛していた。そしてお前のことも自慢の娘だと思っている。だから辛かったら私の前で泣いてくれ。側にいるから」


その言葉で娘は俺に抱きつくとそのまま大きく泣いた。これまでの分を出しきるように涙を流す娘を見ながら俺はこの時に決意をした。あの夢のような出来事が起こるかどうかなんてわからない。けど、それでも俺はこの子を・・・大切な娘を精一杯守ろうと。


その日から俺は娘との時間を作ろうと必死になった。どれだけ忙しくても食事を共に取って会話をした。あの日以降娘は俺のことを父親として前よりも慕ってくれるのがわかって嬉しかった。


そして、それ以外に変わったことは娘が王子と婚約をしたということだ。本当は迷ったけど、もし仮に夢の通りになるのなら、一部を変えるだけで結果は大きく変わるだろう。俺は後妻を誰も迎えずに変わりに養子を引き取ることにした。領地の孤児院から引っ張ってきたが、その孤児院は我が家からの支援を私欲のために使っている者がいたので、俺はそいつを処分して代わりに自分で運営することにした。


代役の職員はいるが、暇があれば孤児院に娘と息子と訪れて色々と教えたり時には食事を共にした。そうしてるうちに俺は子供達の成長を見守ることにやりがいを感じていた。


貴族としての役目を終えて、二人が幸せになったら俺は孤児院にて余生を過ごそうと思っていたが、その矢先に学園での王子の不貞行為が確認された。


夢のお告げ通りの出来事に早くに使用人に調査をさせて、娘にも話を聞いて、俺は国王陛下と王妃様に相談した。国王陛下は引き止めようとしたが、王妃様はかなりご立腹だったようで念入りに調査をしてから、こちらには何の落ち度もないことが判明して婚約は解消。娘としてもあまりこだわりはないようだったので、俺はいっそのことこの機会に娘と共に引退しようかと思った。


息子はまだ若いが、我が家を継ぐのに申し分ないので大丈夫だろう。それに娘は夢のお告げの通りになるなら次の日には婚約破棄されるだろうから、ついでに誘ってみたら嬉しそうに頷いてくれるのだった。


「お父様と一緒ならどこでも行きます」


健気な娘に嬉しく思いながらも翌日、夢のお告げ通りに婚約破棄が行われたので、俺はその日のうちに引き継ぎを終わらせて娘と共に領地の孤児院へと向かうのだった。




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