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1 婚約破棄と世代交代

悪役令嬢の父親シリーズ。色々意味不明かもしれませんがご容赦を(>_<)



「リリス!貴様とは婚約破棄する!」


そんな言葉が聞こえてきてしまい思わずため息をついてしまう。声の主であるこの国、ノルマンティ王国の第二王子のレオン・ノルマンティ様は隣に平民の女を連れて、後方に何人かの貴族の子息、いわゆる取り巻きを連れながら婚約者のセラウス公爵家の令嬢であるリリス・セラウスに対して意気揚々と婚約破棄を突きつける。


「貴様のマインへのこれまでの行い俺が知らぬと思ったか!罪を認めて罰を受けろ!」

「すみません。何のことかわかりかねますが、その隣にいる方がマインという方なのですか?」

「とぼけるつもりか!こちらにはちゃんと証拠があるのだぞ!」


そして何人かの令嬢が出てきて話すが、どれも目撃証言だけで具体的なものは何一つ無かった。しかしその証言で勢いづいたようにレオン様とその取り巻きは口々にリリスを責める。


俺は思わず国王陛下に視線を向けると諦めたような表情で頷くだけだった。なんとも茶番だが致し方ない。一度この事態に対して静観している息子と今現在糾弾を受けている娘に視線を向けてから確認を取ってその場へと足を踏み入れる。


「少しだけよろしいでしょうか、殿下」

「なんだセラウス公爵。罪人である貴様の娘でも庇いにきたのか?」

「いえ、罪人ではありませんがその前に一つだけ真実をお話いたします。まず今現在リリスは貴方の婚約者ではありませんので、前提条件が違ってきます」

「なんだと?馬鹿を言うな。貴様の娘がマインに嫉妬をして様々なことをやったことをうやむやにするつもりか?」


なんとも馬鹿な王子だが仕方ない。俺は順序だてて説明することにした。


「まず、昨日の時点でリリスとの婚約は解消されています。ここ最近の殿下の振る舞いからもあまりよろしくない気配がありましたので、陛下と王妃様にご相談して決めさせていただきました。無論リリスも承知の上です」

「俺は聞いていないが?」

「お伝えしているはずですよ。もっとも殿下がそちらの方との逢瀬に勤しんでいられたのなら聞いていないかもしれませんが」


思い当たる節があるのか少しだけ動揺しながらも王子は言った。


「だ、だが、リリスが俺とマインの仲に嫉妬して行った行動は事実だろう」

「私の方でも、陛下の方でも調べてみてそんな事実は無かったということになっております。おまけにどうにもそちらの証言の方々が賄賂を握らされていたことも確認が取れております。この意味がわかりますね?」


その言葉に顔を真っ青にする王子。そんな王子にだめ押しで俺は言った。


「殿下。どうにも殿下は私の娘との意志疎通が上手くできてなかったようで申し訳ありません。娘に聞きましたところ、殿下よりも心より慕う者がいるとのこと。ですので後のことはどうぞそちらで決めてください」


そうして娘に視線を向けると俺は申し訳ない気持ちを出しながら言った。


「すまないね。リリス。このような事態になってしまって」

「お父様のせいではありません。私もまさかこんなことになるとは予想していませんでしたから」

「ああ。だが仕方ない。こんな事態になってしまった以上私も覚悟を決めなくてはならない。ロビン」


その言葉に静観していた息子が出てきたのを確認して俺は言った。


「今この時をもって、お前をセラウス公爵家の長とする」

「はい。慎んで拝命いたします」


その言葉に会場は一気にざわめく。婚約破棄のはずがまさかの世代交代になるとは予想してなかったようにざわめく中で俺は息子に苦笑して言った。


「苦労をかけるが、こんな騒動が起きてしまった以上、事前に止められなかった私には公爵家の長としての資格はないだろう。誰かが責任を取る必要があるだろう」

「父上の責任ではありませんよ。ですが、隠居されるならご存分に。後のことは私に全てお任せを」

「ああ。すまないが頼んだ。私とリリスは今後は表舞台には立たないだろうが、お前の結婚式くらいは呼んで欲しいものだ」


そう言ってから陛下と王妃様に頭を下げて言った。


「陛下。王妃様。このような形で退場する不義理な私をどうかお許しください」

「構わん。むしろ愚息のせいで貴殿とリリス嬢に迷惑をかけたことを詫びよう」

「ええ、そうですね。リリスちゃんには迷惑を掛けました。でも、本当にいいのかしら?」


その言葉に頷いてから俺は言った。


「隠居にはちょっと早いですが、やりたいことを見つけましたので退屈はしないでしょう。ではこれにて失礼いたします。行くぞリリス」

「はい。お父様」


失礼しますと頭を下げてから唖然としている王子達をスルーして出ていく。しかしまさか夢のお告げが本物になるとは・・・世の中わからないものだ。






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