心の救い
数ある小説から私の作品を見て頂いてありがとうございます。
短編ですので、気軽に読んで頂いてくれたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
初めて連れが出来て1週間。
この子はどうやら、西の国の出身らしく、変わった名前をしていた。
「ホンファ」馴染みがない発音に、愛称を付けたくなった。
「ねぇホンファ、僕は君の国の発音に馴染みがないから、ちょっと名前を呼びづらくて…愛称として、ファムって呼んでもいいかな?」
「うん、ボクはクロの呼びやすい名前が良いから、ファムでいいよ!」
「ありがとうファム。これからもよろしくね。」
「うん、新しい名前ありがとう!よろしくねクロ」
長い事独りで旅をしてきた。
寂しいなんて思った事は一度も無かった。
それでも、ファムと一緒に旅する事にしたのは、ただあの時の自分が重ねて見えたのかもしれない。
あの人は今、どこで旅をしているのだろう。
幼い記憶が脳裏に浮かぶ。
「人を救うという事は簡単な事じゃない。お前を野盗から助けたのは単に命を助けただけだ。だがお前はまだ家族を失った心の傷が癒えていないだろう?
真に救うという事は、心を救い、悲しみから希望へと繋ぐ事なんだ。」
僕はファムを救う事が出来るだろうか。
あの人に助けを求めたいと思う事は罪だろうか。
いや、あの人の意思を継ぐ者として、やはり助けを求めるのは、いけない事だ。
僕は経験はないけれども、あの人に教わった事がいっぱいある。
それは心を守る盾ではない。
誰かを幸せにするための鉾なのだから。
「ねぇファム、僕は君を救う旅に出たいのだけど、付いてきてくれるかい?」
「??。よくわからないけど、クロはボクを助けてくれたから、クロに付いていくよ!」
僕の前では明るく無邪気にしていても、夜になると布団を抱きしめ、枕で嗚咽を咬み殺す君がいる。
いつか僕は君を救って、悲しみを癒す事が出来るかな?
いや、そうしなければいけない。
それが僕の…あの人に救われた意味なのだから。
こうして僕達の旅は続いてゆく。
救われた者と、これから救われるべきであろう子の小さな旅。
少しずつだけど、きっとこの道の先には……
いかがでしたでしょうか?
クロとファムの旅はまだまだ始まったばかり。
これからも書き続けていきたいと思いますので、お気に召しましたらよろしくお願いします(*´꒳`*)