7話 心配性なハロルド
2回目のハロルド回になります!
「んー心配だ・・・」
シェリーが友達の家にお茶会をしに行くのだがとても心配だ。
義足になれて痛みも出ないようになったが、
何処かで倒れて動けなくなったらどうするか・・・。
俺はソファの上で横になりながら考え、一つの答えを出した。
「よし、友達の家に着くまで様子を見に行くか」
俺は直ぐに家を出て、シェリーに気が付かれないように後をおった。
建物が三つ並んでいる道を通り、シェリーが左方向に進んだところを確認し、
俺も同じ道を進んだ。
建物の影に隠れてシェリーの様子を見ていると、誰かに肩を叩かれた。
「ちょっといいか? お前が例の盗人だな?」
「はい?」
これはまずい。何かと誤解されてしまった。
振り向いて誤解を解くために説明しようとすると、俺の知り合いだった。
「え? ヴァイン?」
「ハロルド!?」
そう、俺が所属していたギルドメンバーの友達だった。
友達のヴァインが俺がそんな事をする人間じゃないと知っていたからその場は収まり、
久し振りに逢えたから近くにある喫茶店に入り、二人でコーヒーを飲んで話をした。
なんで、俺があんな事をしていたかを正直に話すと、友達に笑われてしまった。
「ぶはははっ! 心配で彼女の後を付けていたのかよ!! だっさ!!
「だっさって言うんじゃねえ!!」
「いやー心配性すぎだわー」
くそーめちゃくちゃ恥ずかしい・・・。
そんな事を思いながら誤魔化す為にコーヒーを飲み乾すと、
ヴァインがさっき言っていた言葉を思い出して聞いてみた。
「そういえば、さっき俺を盗人と間違えたよな?」
「ん? ああ」
「そいつってこの近くにいるのか?」
「あーそうだが、どうしたんだ?」
こんな近くに悪い奴がいたら大変だ。
シェリーの身が心配になった俺は、ヴァインに更に聞くことにした。
「その話詳しく聞かせろ・・・」
「なぜ? お前ギルドを辞めたー・・・」
「シェリーの身に何かあってからでは遅い!! 直ぐにそいつを捕まえるぞ!!」
「えー・・・」
俺は無理やりヴァインの仕事を手伝う事にした。
大丈夫、今は配達員の仕事をしているが、まだ腕は鈍ってないだろう。
○
俺達は犯人を捜すためにひたすら町を歩きまわって警戒し、
不審な奴がいたら直ぐに捕まえてやろうと思った。
「くそー、何処にいやがるんだ・・・」
「そんなに警戒をしていると、逃げてしまうぞ」
周りを見渡して警戒をしているとヴァインに注意をされた。
まぁ、確かに一理あるな。
気持ちを紛らわせる為に世間話をしようと思った所、
喫茶店の前でナンパをしている奴がい。
「ねえねえ、一緒にコーヒーを飲まない? 奢ってあげるから入ろうよ」
「いえ・・・結構です。遠慮します」
「えー、お願いだよー」
俺は頭の中で思った。そう、あいつが犯人だと。ヴァインの肩に手を置いた。
「良し、俺に任せろ」
「おい、ハロルド! あいつはただナンパをしているだけだ!
おーい聞いてるかーって、ハロルドー!!!」
犯人を投げ飛ばしてから捕まえようとすると、
友達にめっちゃ怒られた。え? 犯人じゃないんかよまじか。
まぁ、女の子も困っていたからいいだろう。
ナンパをしてた奴は直ぐに逃げ去り、女の子に感謝されて仕事の続きを始めた。
んーなかなか見つからないなー。
このままではまずいなと思い、ヴァインにもう一度特徴を聞いてみた。
「犯人はどんな特徴だっけ?」
「えーと・・・」
ヴァインがポケットに入れている紙を広げ、犯人の特徴を確認した。
【黒いパーカーを深く被り、腰辺りにダガーナイフを仕込ませ、
茶色のズボンを着ている男性】と書かれていた。
確認をした後に前を向いて歩くと、丁度似たような感じの奴がいた。
「あー丁度あんな感じだよな」
「そうだな・・・」
2人で先ほどの特徴と確認すると、お互いの顔を見た。
「「あいつじゃね??」」
うん、見事に揃った。良し捕まえようか。
俺らは一気に掛け走り、そいつを不意打ちして捕まえた。
「いててててっ!? 誰だ、お前ら!!」
「お前が例の盗人だな」
「悪いが大人しく捕まれ」
犯人は心当たりがあったのか大人しく補導され、
無事に仕事を終わらせる事が出来た。
ヴァインと一緒にギルド会場に入って報告をすると、
手伝ってくれたお礼にギルド員から金貨を貰えた。あざーす!!
久々にギルド会場に行ったら知り合いが多く、
『元気そうで何よりだ』や『シェリーと一緒に暮らしてる噂は本当か!こんちくしょー!』
などと面白い会話が出来た。
さて、今日はこの金貨で何かをお土産にして帰るか。
お土産にはハート形のネックレスを買って家に戻ると、
シェリーがお茶会から帰って来ていた。
「おかえりーハロルド」
「おう、ただいま」
「何処に行ってたの? 帰っても誰も居なかったら心配したのよ」
あーなんて言おうか・・・色々とありすぎて何処から話せばいいか。まぁ、取り敢えずお土産を渡そう。
「シェリーの為にお土産を買って来たんだ。受け取ってくれるか?」
丁寧に包まれている紙袋を胸ポケットから取り出し、シェリーに渡した。
「ん? 何が入ってるの・・・」
そう言いながらシェリーは紙袋を開け、手元にネックレスを出した。
「わぁ可愛いネックレス!! これを私に? ありがとう!!」
「ああ、どういたしまして」
今日は大変な一日になったが、
シェリーも喜んでくれたから終わりよければ全て良しだな。
そう思っていたが、夜ご飯を食べながら事の顛末を聞かれ、
正直に話をしたらめっちゃ引かれた。
「え? 私の事が心配で後を付いていたの? きも」
んー、先程の言葉は撤回だな。