3話 シェリーの暇つぶし〜ハロルド視点〜
「シェリーよ、一人で平気か?」
ソファの上で寛いでいたが、シェリーの事が心配になった。
「大丈夫よ、留守番くらいできるわ』
「本当か? もし脚が痛み出して倒れたら・・・』
本人は大丈夫と言ってたが、脚を痛み出したどうしようと思って不安だったが、シェリーに言われた。
「歩けない訳じゃないし大丈夫よ。それに、貴方が仕事をしないとどうやって生活するのかしら?」
「むっ、それもそうだな・・・分かった。仕事に行ってくる」
「ええ、頼んだわよ」
俺は部屋を後にし、仕事に出掛けた。
シェリーを1人にして良いか迷ったが、まぁ仕事をしなければならん。
そう考えながら仕事場まで街中を歩き、目的地にたどり着いた。
「よし、着いたな」
俺が来たのはいつものギルド会場ではなく、郵便社だ。
そう、俺は戦士を辞め、真っ当な仕事場で働くことにしたんだ。
今までは好き勝手に魔物退治をして生活をしていたがシェリーと結婚するとなると、安定した仕事をほうがいいだろうと思い、戦士を辞めたんだ。心残りがあると言えば嘘になるが郵便社なら給料も高いし、悪くない仕事だ。
「さて、今日も仕事を頑張るか」
郵便社の中に入り、いつも通りに上司に挨拶をして更衣室に行き、
私服を脱いで制服に着替えた。
「んー・・・相変わらずだせー制服だな」
全体的に青く、きちんとボタンをしないと駄目なのがださい。
スーツスタイルってのが戦士だった俺にまず似合わねー、
シェリーに見られたら大笑いされそうだ。
着替え終わった矢先、上司がいつも通りに入って来て、
手紙が入っている鞄を渡された。
「ハロルド、今日もよろしく頼むぞ!」
「了解っすー」
そう、俺は郵便や事務的な仕事ではなく、配達の担当をしているんだ。
事務でも良かったんだが頭を使うより、
身体を動かしてる方が楽だから配達員になったんだ。
「よし、配るか」
郵便社を直ぐに出て外に行き、封筒の裏に書いてある宛先と地図を見ながら歩き周った。
「えーと、これはこの家だろ? そしてこれは・・・ここだな」
こんな調子で数時間歩いて手紙をポストに入れ、三分の一程の手紙を減らせた。
うえー、まだこんなにあるぜ・・・。
こんなに大変なら魔物退治をしてる方がよっぽど楽かもな。
まぁ、死と隣り合わせなのが難点だが、逆にスリルがあって面白い。
報酬は安定しないが一人で生活するなら何も問題なかったしな。
しかし今はそんな生活では駄目だ。
シェリーの生き甲斐だったのが出来なくなり、
俺だけ好き勝手にやるなんて出来んからな。
誰もいない公園のベンチで一人で休憩をし、
一息付いてから仕事を再開した。
「よし、シェリーの為に早く仕事を終わらせて帰るか!」
そう意気込んで後は休憩なしで配り終え、郵便社に戻った。
手紙を全て配り終えた事を上司に報告すると、「さすがだな! 明日もよろしく頼むぞ!」と言われた。
「それじゃ、今日は帰るっす」
「おおー、またなー」
俺はシェリーに早く会いたいため、真っ直ぐ帰宅した。
シェリーの家に帰って来ると、何故かめちゃくちゃ喜んでいた。どうやら一日中部屋にいるのが暇だったらしい。
だから夜は、シェリーとご飯を食べながら一日の出来事の話をしたり、面白いおかしい会話をして楽しんだ。