火性の虜囚
逆巻く炎の中で
ただ一つだけの星を眺めていた
空は焦げた赤
星は煙に霞んでいく
地の影に食べられた月が
血よりもっとどす黒い色に染まる
届かなかった願いを
まだつかもうとする手を
地を這う火が焼いていく
幾人もの勇士が此処で倒れ伏した
火中に眠る大蜥蜴は意にも介さない
寝返り一つで幾つもの夢を潰えさせて
目覚めることもない
勇士達の夢の具現は金色の乙女の姿
自らに向けられた掌達が
炭と化した後に人知れず涙を流す
解放の時は遠く
自由はまた得られない
消えることのない焔の中で
かの乙女は一人動かない星を見つめる
いつの日も いつの日も
この身は火に巻かれ
いつの日か いつの日か
願いを繰り返す