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転生

"理不尽"、誰しも一度は口にしたことがあるであろう言葉。

それを言われた側は大多数が「知るか」「お前がこの状況を作り出したんだろう」と言い返す、なんとも腹の立つ状況だ。

もし俺がそんな状況に陥ったならなんと言うだろう。答えは「自分の脳が足らなかっただけ」と言うだろう。

俺はそもそもこんな状況になってしまったのは俺が先読みをして上手く立ち回らなかったからだと考える。


だから死んだはずなのに見慣れない風景が広がるという今の状況も俺が「死んだから」と考えたい。

何故俺がこんなわけのわからない所にいるのか居もしない神に問いたいくらいだ。


「何するのよ!離しなさいよ!」


「泥棒よ!!!誰か捕まえて!」


路地裏で得体の知れない種族が女を取り囲んでいるのが見えた。

更に厄介な事に前方から盗みを働いたであろう男も走ってきた。

実に面倒な事が重なった。

処でトロッコ問題というのはご存知だろうか。5人が線路上で動けない状態にあり、そこにトロッコが向かっているという状況がある。自分はポイントを切り替えてトロッコを側線に引き込み、その5人の命を救う事が出来る。ただしその場合、切り替えた側線上で自分でない誰かがトロッコにひかれてしまう。という論理学の思考実験だ。

この問題には選択肢が4つある、その内2つは「見知らぬ他人1人を殺す」と「5人を見殺しにする」だ。残り2つは「自分が飛び込み動けない5人もろとも死ぬ」と「ポインターを替えた上で自分が飛び込み他人を助ける」がある。

最初の2つは心無い人間がやる回答で、残りの2つは心優しい自己犠牲者の回答だ。

俺はそのどれでもない、「ただ見ているだけ」。5人が死ぬのか、はたまた自分でない誰かが来てポインターを切り替えるのか、結果としてどうなるのかを傍観するだけ。

だから今回も何もせずただ通り過ぎた。


「ちょっと!!見ないふりしてないで助けなさいよ!!そこの真っ黒フード!!」


まあ、こんな風に言われたら動きはするが。


~~


「なんで助けなかったのよ!!そこは普通助けるとこでしょ!?」


謝礼の前に説教とはせわしない女だな。


「じゃあ聞くが仮にお前の言う様に助けたとして『誰が助けてなんて言ったのよ』と言わないと断言できるか?

俺はお前の身内でもなければこの町の警察でもない。助けて俺にメリットがあるとも思えないし、仮に謝礼品や謝礼金が出たとしてもあの異種族に目を付けられないとも限らないだろ。

よってお前を助ける意味がない、これでわかったか。」


何より助けるのが面倒くさい、それが一番の理由だ。


「あんたには良心ってものが無いのね!」


「そんなものあったって自分の身を滅ぼすだけだ、傍観主義者にそんなもん求めるな。」


「っ~~!!!男は女性を守るものだって教わらなかったようね!」


「俺は女だからな、そんな貴族の偏見教わらなかった。」


「女!?」


偏見を押し付ける奴も、人を見た目で判断する奴も、良心を唱えて来る奴も俺は嫌いだ。

嫌いだが何故だ、この女とは何かこの先あるような気がしてならない。

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