男の娘メイドっ!
僕はカミル。僕はメイドだ。ソールっていう人のメイド。
僕は今、メイド服を着ているが、僕はれっきとした男だ。ただ、女顔で痩せてるけど......
君に聞いて欲しいんだ。
──────僕の過去のお話を──────。
* * *
痛い...。
寒い...。
寂しい...。
でもそれが当たり前だと思っている。
だって僕は奴隷だから。
僕は、親に売られた。
お母さんやお父さんが、
「お金がないから...カミル...ごめんね...。」
って言って、僕を奴隷商人に売った。
だから、僕が売られたことは、仕方ない事だとと思っている。
そうして僕は奴隷となった。
僕が奴隷館で商品として、檻の中に毎日いれられて、見世物になっていたある日。
僕の目の前に、奴隷商人と見覚えのない男性がやってきた。スラリとした男性だ。
その男性は、僕に指を指して
「これにする。いくらだ?」
と、言った。
それから奴隷商人に、シャワー室へと連れられ
「お前は買われたからな。売れないと思っていたんだがな。物好きな客もいるもんだ。」
なんて、クスクス笑れながら身体を洗われた。
身体中、傷だらけで水で洗われた時、とても痛かった。
そうして、奴隷商人から服を貰い、それに着替えた。
その時僕は売られたんだなぁ...と実感した。
僕は奴隷商人に連れられ、待合室へと連れていかれた。
そこには、僕に指を指した男性がいた。
「カミルこれから宜しくね。」
そう、僕に言った。
僕を買うような物好きな、僕の主人となるこの男性は、ソール・アルバートと言う21歳の男性らしい。
そうして、ソールさんに連れられ、奴隷館を出た後、
ソールさんの住んでいるお屋敷に着いた。
そうして建物の中に入ると、ソールさんから、フリフリの付いたメイド服を渡された。
「きっと、カミルに似合うよ!!」
と、キラキラした目でソールさんに言われた。
僕は男だけど、奴隷は主人の命令は絶対だから、素直にメイド服に着替えた。
初めての、スカートはスースーして気持ち悪かった。
「やっぱり、似合うね!でも、この体の傷はどうしたの?」
と、言われた。言われてから自分で確かめてみると、足や腕から傷やら痣が見えていた。
「この傷や痣は、奴隷商人につけられたものです...。僕は元々売られないだろうと思われていたので、ストレス解消にと奴隷商人が、殴ったりなどしてきました...」
と、言ってしまった後に、僕自身が震えてしまった。
また、ストレス解消と殴られてしまうのではないか...
もう、あんなに痛いのは嫌だ...。
僕が震えていると、ソールさんはそっと僕の頭を撫でて、
「よく耐えたね。僕はそんな事しないよ。」
と、微笑みながら言ってくれた。
そうして僕は、お屋敷の掃除や、料理の手伝いをするのとになった。もともと、僕は奴隷になる前、料理をよく母親としていたので、慣れていた。
ある日、手を滑らせてしまい皿を割ってしまった。僕はソールさんに
「ごめんなさい...皿を割ってしまいました...」
と、殴られる覚悟で謝っていたのだが、ソールさんは
「カミル...怪我はないかい?」
と、怒らず僕のことを心配してくれた。
正直、なんで?という不思議な気持ちもあったが、嬉しかった。
ソールさんは、僕に部屋を与えてくれた。
「奴隷に部屋など入りません...」
と、丁寧にお断りしたのにもかかわらず
「もう用意しちゃったし使ってくれないと物置になっちゃうなぁ...」
と、こちらをチラチラ見ながら、ソールさんが言ってきたので、ありがたく使わせてもらった。
僕の為に用意された部屋は、そこそこ広く、机と椅子があり、一人用のベットやクローゼットがあった。
こんな所で寝れるかな...。
奴隷には豪華すぎるだろう...。
ふと、クローゼットが気になり見てみると、中にはメイド服の替えやワンピースが数着あった。
やはり、ソールさんは僕を女と本気で思っているのかな?
たしかに僕は痩せてるし、まだ12歳。それに僕は女顔。確かに間違えるかもしれない(汗
今更、僕が男であることを言って、それを引き金に捨てられたらどうしよう。奴隷館にもう戻りたくない。
だから僕は男であることを秘密にした...。
そうして何日か経って、家事も慣れたある日────。
その日の夜は雷がゴロゴロと鳴っていた。
僕にはそれがとても恐ろしい音だった────。
親に売られたあの日は天候が悪く雷が鳴っていた。
奴隷商人が僕を馬車に乗らして向かう先は奴隷館。奴隷を、売るところだ。
その向かう時に何度か雷が落ちた。
それがトラウマとなり怖くて怖くて、また売られるんではないかという気持ちを焦らせたのだ。
そして、雷が落ちた時に、近くにいたソールさんに抱きついてしまったのだ。
「ご...ごめんなさ...」
謝る前にまた雷が落ちてソールさんに抱きついてしまった。
「カミルは雷が怖いんだね。今日は一緒に寝るかい?」
と、ソールさんに言われたのですぐに僕は頷いた。
『大丈夫。』と、僕は僕自身に言い聞かせるのでせいいっぱいだった。
そうしてソールさんとその日は寝た。人との温かみを久しぶりに感じてすぐに僕は寝てしまった...。メイド服で。
ある日、僕は、意を決して、ソールさんに自分は男だと伝えることにした。あんなに奴隷の僕に、優しくしてくれてるのに、騙すなんて心が痛かったからだ。
重い足取りで、ソールさんのところへ行きこう告げた。
「騙してごめんなさい。僕は男です...また売られると思ってしまい、言い出せませんでした...どうぞご許し下さい...」
と、頭を下げながらいうと、ソールさんは、驚いた顔をして、その後ニヤニヤしながら答えてくれた。
「カミル『君』なのは知ってるよ。ただメイド服が似合うから、作業服はメイド服にしたんだよ♪それにメイド服に馴染んでいく姿もとっても見ていて楽しかったしね!今後もよろしく!」
と、生き生きと答えてくれた。
今まで言うかどうかで、悩んできた僕が情けなかった────。
* * *
さて、聞いてくれてありがとう。まだまだお話は続くけどこれからは僕でも分からないからね。
今日はどうしようか?と悩みながら僕は今日もソールさんに呼ばれて、
「お腹空いた!」
と言われ、料理をしたりするのだろう。
最近は色々なことがあって楽しい。
さて、明日は何があるんだろうね?
最後まで読んで下さり有り難うございます!
リクエストと作者の意思により、ソール目線書きました!
本編+番外編で、完結しております。http://ncode.syosetu.com/n9634dw/
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興味のある方は是非読んでみてくださいね。
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