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怪物たちVS  作者: 樫屋 Issa
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女帝VS怪物たち

史上最強生物登場

どうしてこんな事になってしまったのだろう?

俺、黒山竜也は考えた。原因は明白である。昔からの悪友である山岸誠は強運の持ち主で特に金運が凄まじく良い男だ、新堂(いわ)くフェンリルの魂がどうのこうの言っていたがそれは置いておいて、強運の反動からか年二回春と秋に不幸な日が訪れる、それが秋晴れの爽やかな今日だった。

誠は、今朝から不幸続きで飯もロクに食べていない状況だった。俺達が所属している料理研究部で(さかき)(さとし)部長が幼馴染の神楽(かぐら)(こよみ)副部長の為に作ったケーキを空腹のあまり暴走した誠がもっしゃもっしゃと貪り食った事で神楽副部長が激怒、誠の顔面を流し台に叩きつけそれでも怒りが収まらず現在に至るというわけだ。


「事情は大体わかった」

「榊君や山根ちゃんはどうしてるの?」

「榊先輩はのんびりと新しいケーキを作り始めました。美子さんは説得してましたが聞く耳持たずでした」


俺は遠藤先輩と倉田先輩に事の次第を説明した。


「私達にはケーキが完成するまで足止めをして欲しいのね?」

「四神は使えないのか?」

「玄武は追い出しましたし、残り二家もザコですから残った白衣が頑張ってたんですが無理でした。黒龍の校内のメンバーもほぼ瞬殺で・・・」


そこにギャルっぽい生徒、守鶴がやってきて遠藤先輩に寄り添った。


「段蔵よ、今回の仕事は断れ。あの神楽とかいう娘じゃがお主・・・もとい我等で太刀打ち出来るレベルを遥かに超えておる」

「・・・元凶の山岸はどうしている?」

「叩きつけられた時にソッコーで気絶しました」


倉田先輩が目元を手で抑えながら愚痴る。


「一番楽なポジションに収まったわね、ってかそれでよく生きてるわね」

「まあ、あの程度で死ぬならお互い5・6回は殺し合ってますから」

「タツノオトシゴ殿に大狼殿も大概じゃがそれを難無くあしらうか?タツノオトシゴ殿、龍脈の力は使ったか?」

「使ったけど意にも介していない感じ、今は新堂達が裏山で抑えている」


一同はさっきからバキバキと異音がする裏山に目を向けた。


◇ ◇ ◇


~龍泉高校 裏山~


「神楽先輩!やめるっす、学校でそんな力出したら大事になっちゃうっすよ」


しかし神楽は耳を貸さずに軽く腕を振り回すと樹木一本をまるで雑草でも引っこ抜くかのように軽々と掴み上げ投げ飛ばした。


「こっちの世界に戻って来た時に竜也と誠が本当は大魔王以上に強かった事にも驚いたが・・・」

「カグラ先輩ハ、アッチの世界の魔王なんて軽ク凌駕してイマス」

「竜久!マリア!結界で閉じ込めるから退避するっす」


新堂の魔法は完全に神楽を囲んで空間を遮断し更に暫く宇宙空間に転移させた・・・ハズだった。

蒼い顔をして冷や汗を流す新堂が正面を見つめていたので二人も同じように前を見つめた瞬間強烈なプレッシャーが三人に襲いかかった。


「まさか・・・そんな・・・結界を抜け出して闘気を纏っただけで大気圏突入したとか?・・・ハハハ、んなバカな・・・」

「それにしたってこんなに早く戻れるわけ無いだろ!」

「ソモソモ魔法が効いテいなかっタ・・・とシカ考えられマセン」


たなびく黒いロングヘアに純水で作った氷の様に美しいかんばせ、これ程の力を放ちながら着ている制服に乱れは無く汗一つ浮かんでいない、圧倒的な美しさに三人は息を飲んだ。


「邪魔しないで」


神楽がゆっくり一歩踏み出すと同時に三人は地面に倒れ伏した。殴られたのは全員見えていたのに動けた者は一人も居なかった。神楽はなにを思ったか地面の石を拾い・・・。


「超高エネルギーの発現を確認、観測を開始しますドクター」

『OKだぜKTA01、だが戦闘は避けろ。新堂の言ってる事が正しければ・・・』


“ドゴッ!!”


会話の途中でKTA01に凄まじい衝撃が走った。


『どうした?何があった?』

「信じ難い事ですが3km離れているこの場所に石による投擲攻撃を受けました。これによりメインカメラと観測機の大部分が破損・・・まさかこちらが見ているのに気付いている?」

『・・・即時帰投しろ』

「ですが何の収穫もありません」

『何を言ってるんだKTA01?アイツがお前さんを発見出来たのは“気配”を感じ取ったからだぜ、この事実こそ俺の最高傑作アンドロイド“Kill Them All 01”が機械を凌駕した魂を持つ新人類である事の証明だ!収穫はその事実だけで十分過ぎる♪』

「了解、相変わらず歪んでますねドクター」


◇ ◇ ◇


~龍泉高校 体育館裏~


「三人とも撃破されたらしいな」

「う~ん、あの三人が負けたって事は私達じゃ荷が重すぎない?」

「左様、三千世界の何者であってもあの娘は止められぬじゃろう」


その言葉を聞き俺は両膝を地面につけてがっくりと肩を落とした。


「せめてケーキが完成するまでの足止めで良いんです。このままじゃ誰彼構わず喧嘩吹っ掛けて終いにゃ街が更地になっちゃいます」

「ケーキが無いと更地になる街ってのも物騒過ぎだろ」


倉田と遠藤は考え込んでやがて一つの答えを出した。


「「ナンボ出す?」」

「うっ・・・・・ゴニョゴニョ」

「えっ?結構太っ腹ね」

「この時期冬の準備もあるし色々と入用だからなそれだけ出すならやっても良いぞ」


だがやはり守鶴前だけは反対した。


「やめておけ、痛い目見るだけでつまらん結果になるのがオチじゃぞ」

「やるだけやってダメならさっさと逃げる」

「“ウチら”の実力も見せておかないとユーザーから仕事が来ないからね」

「どうなっても妾は知らんぞ!」


倉田は気合を入れ遠藤は一瞬でその姿を神楽暦のものへと変えた。


「相変わらずそっくりな変装ね」

「いやいや、俺に出来るのはそれだけで頭領様には及びません」

「う~ん、私は頭領じゃ無くて副頭領なんだけどな~」

「俺も行きます」


三人気合を入れ一歩踏み出した時に彼女は現れた。その美しい身体に凍える程の闘気を纏って一歩ずつ近づいてくる。


「神楽副部長!暫く動きを止めさせて戴きます」

「あら?黒山君?また遊んでくれるの?」


黒山の力が地の底に流れる龍脈とリンクする、その瞬間地中から無数の光り輝く刃が飛び出した。しかしその全てを神楽は涼しい顔でかわす。


「次期副部長候補がこんなバカの一つ覚えじゃこの先心配ね」

「俺達料理研究部なんですけど・・・」


黒山は神楽に制服の胸ぐらを掴まれて地面に叩きつけられた。勿論その隙を見逃す倉田では無かった。


「“クラタユウキ”行きます」


倉田が飛び掛ったがあっさりと神楽の腕で弾かれてしまった。倉田が朦朧とする意識の中で神楽が語りかける。


「この辺に隠れていた“クラタユウキ”は全部片付けたわ」


だが気絶の寸前倉田はニヤリと笑みを浮かべた。地面が破裂し一人の少女が神楽の背後から斬りかかった。しかしそれもアイアンクローで顔面を掴んで投げ飛ばす、ここにクラタユウキは全滅した。


「インプット完了、行動再現・行動予測共に問題無し」


相手の動きを観察していた遠藤が動く、相手の一歩先を読みながらゆっくりと近づいていくが距離を一瞬で詰められてお互い拳を繰り出したが遠藤の拳が届く事は無かった。


「遠藤君、私の姿を真似するのは別に良いよ。けど、私の姿になったからには絶対に勝ちなさい」


遠藤がフラフラと倒れそうになるとどこからか守鶴前が現れふわりとかかえた。


「もうその辺で良いじゃろう?いい加減機嫌を直してはくれぬかのう?」

「智君のケーキを持ってきてくれたら今直ぐ止めるわよ、それで守鶴さんも遊んでくれるの?」


相変わらず背筋が凍る様な闘気を放ちながら一歩ずつ近づいてくる神楽の姿に万事休すと覚悟を決めた守鶴前だったが・・・。


「ケーキ焼けたよ~~~」


なんとも場違いな声が響いた。


「今行く~~~。守鶴さんも一緒に如何?」

「はは、ありがたくご一緒させてもらおうかのう」


~数分後~


騒動の元凶である山岸が目を覚ますと見知った顔何人かが悪鬼の形相で自分を取り囲んでいた。


「え?何?皆怖い顔して・・・ちょ・・・やめて・・・ぎゃ~~~~~!!」


ケーキを楽しんでいた神楽はそんな山岸の絶叫を聞きながら優雅に紅茶を飲んだ。

榊智と神楽暦は最強生物過ぎるのでメインで書く事はあまり無いと思います。

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