表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも死ねなくて  作者: 三ツ葉
第一章 望まない異世界
5/69

第一章 『スキル・魔法使用』

 遠吠えが聞こえ周囲の警戒を強める。状況を把握するためすぐに周りを見回すが暗いためよく見えない。


 「くそっ、光だけじゃ遠くまで見えないっ。遠くを認識できるモノがあればわかるんだが」


 遠吠えの正体を確認できないことに歯噛みする。何かできる事がないか考える。今持っているもの、使える魔法、スキルを考えていく。称号は絶対使えないので考えません。だってねぇ自殺志願者とか絶望者なんて使えないでしょ?しかも、今まで気にしなかったけど英雄候補ってなに?俺みたいなやつが英雄になんてなれるわけないだろぅが!なんで17になって英雄なんて中二病患者特有のイタい人たちが憧れる称号をもらっちゃってるの!?十中八九あの愉快犯のせいだ。そうにちがいない、いや絶対にそうだ。


 おっと、思考が余計な方へ転がってしまいましたな。称号について考えないって決めたつもりが考えてしまった。次こそちゃんと考えなければ。


 まず持っている物を確認する。制服のポケットを漁り出てきた物は壊れているケータイだけ。いや、正確には壊されたケータイだけ。他に俺の持っている物はない。あ、あと自殺するときに使ってたナイフは一応もらっといてる。


 次にスキルをみる。俺のスキルで索敵系のものはない。そもそも索敵系のスキルがあるかどうかわからないのがきつい。『注視』を試そうと思ったが説明をみる限り索敵系ではないだろう。


 そこでこのスキルがどのくらい使えるのか試してみる。まず近くの木を『注視』する。


 『ラウルの森の木』:ラウルの森にある木。


 「おお、確かにみれた」


 スキルがきちんと使えるのを確認できたので他のを視てみる。


 『シルバーナイフ』:攻撃力3。普通のナイフ。


 ふむ、木に刺さっていたのは木目通りに刺さっていたのがわかった。だからどーした。


 次に魔法を確認する。その中の空間魔法の『ハーク』が索敵に向いていそうだった。試しに使ってみる。


 「さっきの火のと一緒で名前だけ言えばいいのかな?えっと『ハーク』」


 唱えた瞬間俺を起点に半径5メートルくらいの情報が全て頭の中に入ってくる。


 俺が踏んでる土の痛み、ナイフが刺さっていた木の痛み、草の呼吸のタイミング、風の流れ、土の冷たさ、空中に漂う魔力、筋肉の微細な動き、鼓動の音、俺の魔力の流れ、俺の中の強がりに守ってもらっている絶え間ない恐怖、絶望、悲痛、嘆き、隠しているモノ全てを情報として流れ込んでくる。全て、全て─。


 処理しきれない程の情報が入ってきて頭痛が起こる。体が悲鳴をあげはじめ、地面に倒れ込む。無理矢理魔法を消して入ってくる情報を止める。


 「がっあ、くっ、はあはぁ!」


 痛い、痛い、痛い!やめろ!入ってくるな!ごめんなさい、ごめんなさい!まって、いやだ、いやだ、いやだっ、いやだああああ!!!!出るなっ、出てくるなっ!怖い、怖いっ、怖い!なんでっどうしてっ俺がこんな目にあわなきゃならいんだ!?誰か助けてくれっ、助けてくれよおおおおおおお!!!!!もう疲れたんだよ。もう頑張れないんだよ。殺してくれよ、殺してくれよおおおおおおお!!!!!死にたい、死にたいっ、死にたいんだよおおおおおおお!!!!!無理だっ、無理なんだよっ。俺みたいなやつが生きていきるわけないんだからさっさと諦めさせろよおおおおおお!!!!!なんで生きさせようとさせるんだっ!無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を───。


 狂い人、狂人。その姿は屋上と瓜二つで異常だ。木がざわめき森が揺れる。ありえない程の『威圧』を周囲に無秩序に、デタラメに撒き散らす。止める者は誰も何もいない──。


 彼は孤独だ──。


 「落ち着け、落ち着けっ」


 頭を抑え膝を抱え込んで涙を流しうずくまり本音を心の奥に押さえ込み厳重に厳重に封をする。


 その場でうずくまり無理矢理心を落ち着かせる。


 「大丈夫、大丈夫だ。俺はやれる、やれるんだっ」


 深く深呼吸をして立ち上がる。


 『ハーク』で得た情報を確認、魔法の効果を確かめる。


 効果範囲は魔法使用者きてんから半径5メートルの球状に広がり情報を得られる。得た情報は多種多様にあり、いらない情報はすぐに頭から放棄する。使えそうな情報を選別し確認していく。


 まず魔力の流れだ。てきとうなイメージで魔法を使用したときの流れがデタラメで暴走していたことがわかり使用MPより多めに使っていた。


 『ハーク』をもう一度使うのはためらわれたので『ライト』を使ってみる。魔力の流れを意識し明確なイメージを構築して発動させる。


 体の中で意識してMPを操作し右手から半径30センチの球状をイメージする。


 「『ライト』」


 MPが消費され右手からイメージ通りの光がでてくる。


 「よし成功した!」


 これのおかげで魔法がイメージが大事なのがわかった、次はうまく『ハーク』をつかえるはずだろう。


 残りのMPを確認する。


 MP293/384


かなりMPを消費してしまっている。だが約300あるので大丈夫だろう。


 もう一つ気になったのが空気中、いやそこら中に漂う無数の魔力だ。『ハーク』を使ってからなぜか認識できるようになり気になって仕方がない。何かおかしなことになっているのか気になりステータスを確認する。


 スキル:『言語理解』『持ち物』『注視』『高速詠唱』『不死の加護』『威圧』『魔力感知』


 スキルの欄に知らないのが2つ増えてた。なぜに増えたし。


 とりあえず増えたスキルの確認をする。


 『威圧』:魔力を放ちまわりにプレッシャーを与える。対象選択可能。


 『魔力感知』:魔力の流れや魔力を視認できる。任意で視えないようにできる。


 漂う魔力は邪魔だが気にならない程度にまで視えないように調整する。何かに使えるかもしれないから少しは視えるよにしておいとこう。


 多分『魔力感知』は『ハーク』の正確な情報により得られたのだろうが、『威圧』を得られたのはわからない。相手がいないので『威圧』を試すことができないため効果がわからないが俺にとって無害であるはずと思いスルーします。


 だいたい情報の整理ができたので今度こそ索敵に入る。『ハーク』を使う恐怖があったが首をふり恐怖を追い出す。


 イメージは薄く広く地形と生き物の有無を確認できるようにすること。明確なイメージをもち魔法を発動させる。


 「『ハーク』」


 魔法が広がっていき魔法使用者きてんから半径100メートルほどまで行き球状ではなく円状に広がらせる。


 遠吠えをしていた生き物を探す。


 「いた!……っ!?」


 その生き物は狼と似ていた。いや、狼に似ているだろうが、放っている魔力と姿形でその狼が異常なのがわかる。


 体調1メートルくらいで、頭が2つある。体毛は黒くサーベルタイガーのように2本牙が突出しており爪も人間なんて容易く裂くことができるほど鋭利だ。


 『ハーク』で認識できているので『注視』してみる。


 『ヘッズウルフ』:魔物。ランクF。


 魔物。ゲームでよくでてくるもので倒すと経験値が手に入るとされているやつだ。それが今認識できている。


 その魔物は一直線に俺の方にやってきている。スピードは速くあと数十秒のうちに俺のところに着くだろう。


 「やばいっ、完全に俺が狙われてる!」


 動揺し魔力操作が乱れ『ハーク』が揺らぐ。ナイフをヘッズウルフがくる方向に向け構える。足が震え、ナイフを持つ手がぶれる。


 あと数十秒、異世界の戦闘が始まる─!

 


 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ