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異世界でも死ねなくて  作者: 三ツ葉
第一章 望まない異世界
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第一章 『ステータス』

 愉快犯かみさまがいなくなっておよそ一時間後、俺は立ち上がった。



 イライラする。あの愉快犯の顔を今すぐぶん殴って蹴りを入れてやってぐちゃぐちゃのボコボコにしてやりたい。


 だがしかし俺の中の理性が現状把握をしろと仰ってる気がするからとりあえず現状把握をしようと思う。


 俺はゆっくりと周りを見るが暗くてほとんど見えない。何か光のようなものでもあればいいのだが……。


 「はぁ、こんな森の中に『ライト』なんて在るわけないよなぁ」


 そう呟いたとき俺の体から少し力が抜けて、奇妙な現象が起こる。


 それは右手からだった。右手から光が出ており手のひらを広げると丸い光が浮き始め俺の周りを浮遊し、俺から半径二メートルくらいを照らし始めた。


 口を開け呆然とする。そして愉快犯が言っていた事に信憑性が増した。


 「くそっ、愉快犯あのやろうの言うとおりここは異世界ってことか」


 舌打ちをし、光で照らされた近くの木を蹴りつける。


 ここでまた俺は呆然とする。


 なんせ木が根っこから折れ蹴った方向に倒れて行くではないか。それに蹴りつけた足がほとんど痛くない。身体能力が桁違いにあがってるのがわかる。そこで、俺が出した光を見る。


 では、この光は何だろうか?ここが異世界ならば魔法ということになるんだろうが、何が魔法のトリガーか考え試してみる。


 「えっと、確か『ライト』だっけ?」


 呟いたときさっきと同様に右手から光の玉が出てきて俺の周りを浮遊している。もちろん体の中から何か抜けていくような感覚もした。


 「まじで魔法だな、おい」


 こういうのを見ると興奮してしまうのがライトノベルを読んでた俺の業だろうか。とてもドキドキしています。はい。


 「じゃあ『ステータス』もあるのかな?」


 言葉に反応しステータスが目に浮かぶ。


 ・名前:サクラ 圭太ケイタ ・種族:人間 ・性別:男 ・Lv.1 ・経験値0/25 ・HP 48/52 ・MP 378/384 ・筋力121 ・体力56 ・物理耐性97 ・速さ83 ・賢さ61 ・魔力452 ・魔法耐性245

 ・適性魔法:水魔法、炎魔法、光魔法、空間魔法

 ・習得魔法:水魔法(ウォーター、ウォーターバレット)炎魔法(フレイム、フレイムバレット)光魔法 (ライト)空間魔法 (ハーク)

 ・スキル:言語理解、注視、持ち物、高速詠唱、不死の加護

 ・称号:異世界人、自殺志願者、絶望者、???に弄ばれし者、不死者、英雄候補


 ステータスに目を通し、一番目についたのはスキル『不死の加護』だ。言葉通りなら俺は死ねないという、愉快犯の言うとおりだろう。詳しく書かれていかなか『注視』した。


 『不死の加護』:???に与えられし加護。自らを攻撃した場合攻撃が一切当たらない。しかし他者からの攻撃は致命傷や死にそうになったとき自動で体を修復する。また自ら「死にたい」と思いわざと攻撃に当たるときも攻撃が一切当たらなくなる。寿命がつきた場合は死んでしまう。


 愉快犯の言うとおり俺は死ねない。自ら命を断てないし他者からの攻撃でも死ねない。


 「本当に性格が悪いな」


 愉快犯に対し着々と恨みを重ねていく。


 「落ち着け、もっと確認しないと」


 残りのスキルを注視していく。


 『言語理解』:異世界の言語を理解、聞き取りすぐに使用できる。


 『注視(インサイト)』:見たものの情報を得られる。


 『高速詠唱』:魔法の詠唱を威力はそのままに素早く詠唱できる。


 『持ち物』:モノを無限に入れられる。入れたモノは時間が停止し劣化しなくなる。持ち物から出したとき時間は動き出す。


 スキルを確認し残りをみる。


 筋力や体力はこの異世界での基準がわからないためすごいのか、普通なのかわからないがこの異世界の普通が木を蹴ったら折れるではないことを願う。


 次に魔法の詳細を『注視』する。


 『ウォーター』:水を生成する。形状変化可能。初級。


 『ウォーターバレット』:水を圧縮し射出する。中級。詠唱『私のみずは敵を貫く』



 『フレイム』:火を生成する。形状変化可能。初級。


 『フレイムバレット』:炎の弾を射出する。中級。詠唱『ほむらよ敵を穿て』


 『ライト』:光の球を生成する。形状変化可能。初級。持続時間30分。任意消失可能。 


 『ハーク』:魔力を広げた範囲の空間を把握する。上級。持続時間MP消費量により変化可能。任意消失可能。


 一通りステータスの把握が終わり自分の異常性を気付く。


 「おいおい、なんで異世界に来たばかりの俺がこんなたくさん魔法もってんだよ…」


 多分初級が一番簡単な魔法なのではなかろうか。その後に中級、上級……と上がっていくだろう。ちなみに上級の上がどうなっていくのかは検討がつかない。俺が読んだラノベやネット小説では王級、神話級など様々あったがこの世界で共通しているのか不明だ。逆に元の世界と同じだったら作者まじぱないな。実は異世界モノの小説書いてる人って異世界から転生か転移でもしてきたのではないかと思う今日この頃だこんちくしょー。


 しかし、あまりにも優遇されすぎている気がする。


 自分のステータスのおかしさについて疑問を浮かべていると足にカサッと紙が当たった。紙を広いライトで照らして見てみる。書かれてあった内容はこうだ。


 『やっほー☆さっきは説明できなかったから紙に書いてくよー♪非力な君が異世界こっちに来たらすぐに魔物とかに殺されちゃうからちょぉっとだけ力を強くしてあげましたー!私ってば超優しい!まー君は死にたくても死ねないから殺されないけどねwwwだ・か・ら!ケータ君はちょっとばっかし優遇されていまーすっ。いわゆるチートってやつだねぇ~。ま、私からは以上!とりあえず頑張って私を見つけて殺しにきてねっ!』


 「フレイムっっっっ!!!!!」


 全文読んだ瞬間『フレイム』で紙を燃やし尽くした。ご丁寧に異世界の言語で書きやがって、なんなの?愉快犯は他人をおちょくらなきゃ生きてけないの?


 燃やされた紙から突如文字が浮かび上がり驚いてしまった。


 『PS.ケータ君はすぐに燃やすだろうから細工していましたー!残念無念また来週ー!あはははっ!びっくりした顔が見れて私大満足ではでは~』 


 ボンっ、と文字と燃えてた紙が爆発し跡形もなく消える。


 俺からは見えないが額に青筋が浮いてるのがわかる。あの愉快犯を殺す決意を新たにし、色々なことをチェックしようと行動を開始したとき。


 遠くから遠吠えの音が聞こえてきた…。

 

 

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