第2話デート気分かな?
私は営業ウーマンだわ。
私は勝手に運命を感じていたから
この出会いを無駄にできない。
外車は静かに音をたてながら国道に出た。
「社長さんですか?いや、失礼しました。私は素敵な方に弱いんです」
その人は無口なのか黙って運転している。
私は嫌われたのかな?
「あの……乗り心地はどうですか?私の事は何か感じますか?」
運命の人は重い口を開いて
「鈴木さんは商売でお喋りをしているのか?俺に気があり話してるのか?どっちだ?答えにより、俺の振るまいが変わるからな!」
「私はですね、あの……占いを信じてますから、お客様は〜正直言って……彼氏になります。すみません、私の勝手な思い込みです」
私は正直に占いの話を交えて話してしまった。
後悔はしてないもん。
「じゃ、行くぞ。俺と一緒に俺の行きたい所へ行くぞ!」
えーっ?
車は―――どうすんの?
えーっ?
盗むの?
ヤバイじゃない。
「お車は……会社の物ですが。あの……2000万円ですって!返さないと……捕まるんじゃないの?」
「ああ……乗っていたらなあ。乗らなきゃ、捕まらないよ!」
車は一時間近く走り
都内から出てどこに向いてるのだろう?
「どこに行くんですか?」
男は携帯を出して
片手運転しながら
携帯のイヤホンみたいなのを出して
「物は手に入りました。はい、修理工場に向かいます。はい、はい。了解」
「何か修理をするの?」
「鈴木さんは関与しないでな。俺について来いよ。運命を感じたんだろう?ならば運命共同体だ。鈴木さんを悪いようにはしないと思う。多分な!」
「あの…私の営業所の所長はしつこいですよ。警察が動いたら捕まりますよ」
「うん。知ってるよ。だから修理工場に車をいれてナンバーを取り替える。それは窃盗の初歩だよ、安心しなよ」
窃盗……って、所長が前に話していた
『車の窃盗団』
えーっ?
運命の人は
窃盗団なの?
車は修理工場に着いたようだ。
私は度胸を出して一言
「私はどうなるの?」
「上手く行けば、俺と一緒にお城のような家に住み、鈴木さんの指にはダイヤの重い指輪をはめている。運悪く行けば、窃盗犯との共謀者になり、刑務所に三年かな?どうした?運命共同体じゃないか?アハハ」
私は怖じ気づくより
考える余裕が無かった。
この人は泥棒じゃない。
占い師が言った
私の運命の人だ。
私はとにかくついて行くしかないんだ。
もう、後戻りはできないんだ。