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冬の日

作者: □詩音□





「どうした、の」

「…………もう……終わりに、しよう」

「終わ、り?」

「そう、終わ、り」


目の前の君は

瞳に沢山涙を溜めて

それでもやっぱりという表情をした


「うん…………判った」

「ごめん……不甲斐無い彼氏で」

「私の方こそごめん、ね」


それから二人でキスをして

泣きながら抱きしめ合いながら

ひたすらキスをして


本当はそれすらも一瞬だった

だけど僕たちにとっては

永い永い、それこそ永遠とも思える永さで


最後に手を絡め握り締めて……解いた





あれから幾度目かの冬が来た

この時期になると君の事を思い出す


寒がりだった君は

いつもマフラーと帽子をしていたね

だけど手袋だけはしてくる事は無かった


「手袋してたら手を繋げないでしょ?」


そう言って微笑んだ君を今も覚えてる

真っ赤な顔で、それでも嬉しそうな顔で


君の手を握った時、とても冷たくて

だけど、じんわりと暖かかった



君の手は今も冷たいんだろうか

真っ赤に悴んでいないだろうか

そんな事ばかり考えているよ



あの日別れを告げたのは僕なのに

あの日から君を忘れた事が一度も無い

ふとした時に君を思い出してしまうんだ


君と一緒に歩いた道

君と一緒に食べた食事


何処に行っても君が溢れてる

君との思い出が無い場所が見当たらない



僕は自分がこんなにも

未練がましい男だとは思わなかった

君と別れてから初めて知ったよ




あぁ君に会いたい

もう一度だけでいい

君に会いたい


君に会って

その手の冷たさを確かめたいんだ

君を抱きしめて苦しくなるまでキスをしよう




それは叶う事が無いだろうけれど

それでも僕は願い続ける


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