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第三章  『非日常の連続』

 翌日も優花の姿は教室になかった。

 クリスも、美咲も何かを言いたそうな視線を向けてきたが、圭は無視して使えそうな要素を考える。

 優花が家に帰っているかを調べるのは簡単、問題はその先だ。溜まり場で情報を獲得しようにも基本的にあそこは被害を最小限に留めるための情報交換所だから頼りにならない。

 両親が残したコネクションは結構な金額が必要になるし、相手にしてくれるか微妙な所だ。

「あ、あの、石動君。先生の授業で分からない所がありましたか?」

「あ?」

「凄く怖そうな顔をしていたから」

 ふぅぅぅ、と圭は長めの溜息を吐いた。

「朝から腹の調子が今一つで、先生の授業は分かり易いですよ」

 実の所、分かり易いかと言われれば普通としか答えようのない内容なのだけど、ちょっとしたリップサービスだ。

 何故か、女性教師は頬を赤らめていたが、その日の授業は問題なく終わった。

 帰りのホームルームも終わり、クリスと美咲が圭に近づいてくる。

「……優花の家に行く口実だけど」

「授業中にそんなことを考えてたの?」

「重要だろ」

「はいはい、進路調査のプリントを持って行くって担任に話くらい通したわよ。アンタにしても私達にしても素人なんだから協力くらいしないと」

「ワシもシリアルキラーについて可能な限り調べたぞ。ユーカの家は県道沿いの新興住宅地じゃからそれまでに説明してやろう」

 エッヘン、とクリスは慎ましい胸を張った。

「了解、了解。俺の方は情報網と両親が残したコネが使えると思う」



 FBI捜査官ロバート・K・レスラーによれば、連続殺人犯は論理的な行動を取る秩序型と非論理的な行動を取る無秩序型に分類できるらしい。

 無秩序型の犯人は精神的な病を抱えているケースが多く、その症状は時間が経つにつれて悪化していく。おおよその目安として十五歳で発病した場合、十年ほどで最初の殺人を犯すそうだ。

 クリスが例として実在した秩序型連続殺人犯の詳細な説明を終えた頃、優花の家に辿り着いた。

 優花の家は二階建て、低い塀で囲まれた典型的な建て売り住宅だった。

「二人とも顔色が悪いぞ」

「……お前もな」

 三人とも顔面蒼白だ。当然だ。友達が暴行を受けた挙げ句に拷問じみた殺され方をするかも知れないのだ。これで顔色一つ変えなかったら、そっちの方がどうかしている。

「吐いて良いかしら?」

「我慢しろ! クリス、優花の部屋は何処か分かるか?」

「二階、ベランダのある部屋じゃ」

「塀を足場にすれば跳べるな」

「ワイヤーアクション並じゃな!」

「超能力者のくせに姿くらい消せないの? 光を屈折させるとかして」

「光を屈折させるくらいはできるんだが」

「……委員長、どう言う風に人間がモノを見ているか知っとるか?」

 クリスは憐れむような視線を美咲に向けた。

「網膜?」

「いや、まあ、網膜なんじゃが……もの凄く乱暴に言うとじゃな。光が物体に当たるとその光が反射し、反射した光を網膜が電気信号に変える。ここまでは分かるな?」

「……ええ」

「光を屈折させると言うことはケイにも光が届かんと言うことじゃぞ?」

「あ~、なるほどね」

 流石の美咲もバツが悪そうに頷く。

「じゃ、チャイムをよろしく」

 美咲がチャイムを鳴らし、しばらくしてドアノブが軋んだ。

 ドアが開くタイミングで圭は塀に飛び乗り、全力で垂直に跳んだ。

 ベランダの手すりを掴み、体を引き上げる。

 こっそりと出窓から部屋に侵入し、圭は動きを止めた。

 女性教師と目が合ったのだ。

 悲鳴を上げる時間すら与えず、圭は女性教師の鳩尾を一撃。

 白目を剥いて倒れた女性教師を床に寝かせ、

「ヤバッ、気絶させちまった」

 机の上にあった紙に『今日の出来事は黙っていろ。誰かに話したら』と途中まで書いた所で誰かが階段を登る音が響いた。

 女性教師のポケットから携帯を抜き取り、胸の谷間に紙を差し込む。

 慌ててベランダから飛び降り、

「逃げるぞ!」

 一目散にその場から逃げ出した。



「って、マジで犯罪者じゃない!」

「悪かったよ。けど、情報が手に入るかも知れないだろ!」

 次の目的地……駅前のゲームセンターに向かいながら、圭と美咲は怒鳴り合った。

「どうだ、クリス?」

「うむ、パスワードが掛かっておるぞ」

「じゃあ、携帯から情報を引き出すのは諦めましょ」

「ワシはパスワードが掛かっていると言っただけじゃぞ」

 クリスはパスワードの入力画面に数字を入力、

「む、プリセットのパスワードを変更するとは防犯意識が高いの」

 クリスが複雑な操作をすると液晶が黒く染まり、四桁の数字が表示された。

 バッテリーを抜いて携帯電話を再起動。

 四桁の数字を入力すると軽やかな電子音と共にメール画面が開いた。

「何をしたの?」

「テストモードを利用して、パスワードを表示させたんじゃ」

「そんな機能があるんなら、パスワードの意味がないじゃない」

「工場関係者しか知らない裏技じゃ。大した情報がないの。アドレスの登録件数が十件とは交友範囲が狭すぎじゃ。メールでケイのことを愚痴っとるな。可哀想な子だから理解してあげなくちゃとか……これはこれでデータをコピーしておくか、脅迫材料に使えるかも知れん」

 クリスはSDカードに携帯の情報をコピー、赤外線機能を利用して自分の携帯に電話番号とメールアドレスを登録する。

「クリス、もの凄く手慣れてないか?」

「この手の作業は好きじゃからな」

「このままだと警察に捕まりそうね」

 ふぅぅ、と美咲が重々しい溜息を吐いた。

「安心しろ、委員長。この国には『勝てば官軍』と言う諺がある」

「『負ければ賊軍』って続くんだけど、知ってる?」

「何を言うかと思えば、警察に厄介になるとしてもケイだけじゃ」

「それもそうね」

「俺だけ捕まるのかよ!」

「不法侵入したのも、副担任を殴ったのも、携帯を盗んだのもケイではないか」

「お前らも関わってるじゃん!」

「はて、ワシらはプリントを届けに行っただけじゃが?」

「そうね、いきなり石動が降ってきたから驚いたわ」

「おーい!」

「優秀な弁護士を付けてやるから、死んでもワシらの名前を出すな」

「犯罪者みたいな台詞を!」

「そこまでケイが気にするのなら」

「いやいや、気にするだろ。下手したら前科者だぞ」

「ククク、あの女教師を脅迫するか。な~に、あの手のタイプは少し脅迫すれば落ちるはずじゃ」

 クリスは大河学園に連絡、携帯電話を拾ったと嘘を吐き、六時に届けると一方的に約束して電話を切った。

「これで罪が重くなるわね」

「こうなったら覚悟を決めるしかねーな」

 圭がゲームセンターの駐輪場に自転車を止めるとクリスは荷台から飛び降りた。

 大人しく待っているつもりはないらしい。

 店内に入るとスピーカー音が頬を打つ。

 圭は人気のない通路を擦り抜け、休憩所のベンチに腰を下ろした。

「……説得は失敗だったか」

「ああ、大失「何を格好つけとるんじゃ」

 空気を読もうとしないクリスは薄い胸を張って仁王立ち。

「あの大男についての情報を寄越せ」

「……もう話すことはない」

「本当か?」

「……俺は、俺達は嘘を吐かない。そうしなければ被害を最小限に抑えると言う目的を達成できないからだ」

「分かった」

 男の瞳に何を見たのか、クリスは静かに答えた。

「行くぞ、ケイ」

「おう」

「……これは独り言だが」

 クリスと圭が背を向けると同時に男が言った。

「今、どの一族も上層部が騒がしい。俺達まで情報は下りてこないが、新しい勢力が現れたのかも知れない」

「そんなヤツまでいるのかよ」

「……あくまで不確定な情報だ」

 了解、と圭は軽く応じた。

 ゲームセンターから出ると軽やかな電子音が鳴り響いた。

 女性教師の携帯電話が鳴っているのだ。

 クリスは女性教師の携帯電話を取り出し、

「……ワシじゃ」

『……』

「ふむ、今から携帯電話を届けに行くつもりじゃ。場所は……お互いに聞かれたくない話もあるだろうし、屋上でどうじゃ?」

『……』

「言っておくが、誰かに相談しようと思うな。な~に、脅しではない。これは対等な取引じゃ」

 対等な取引をするつもりなんてハナからねーぞ、と言わんばかりの邪悪な笑みをクリスは浮かべた。



 風が吹いていた。

 爽快さなんて欠片もない、茹だったような大気を掻き回すだけの不快な風だ。

 空を見上げるとクリスと目が合った。

 給水塔の上に隠れているのだ。

 ふぅぅぅ、と圭は溜息を吐いた。

 口止めに成功しても、失敗しても内申点は酷いことになりそうだ。

 ギィと鉄扉が軋みながら開いた。

 女性教師は小動物のように周囲を見渡し、圭を見るなり頬を引き攣らせた。

 圭は女性教師に歩み寄り、練習した通り凶悪な笑みを浮かべた。

「あのさぁ、呼んだ理由くらい分かるよな」

「ッ!」

 女性教師が小さく息を呑んだ。

「お、お金に困ってるなら」

「あ?」

 ガクガクと女性教師の膝が震えている。

 セシルさんに脅されてる時の俺もこんな感じだったんだろうな、とちょっとだけ共感する。

「そう言えば、メールで可哀想な子だからとか言ってたもんな」

「……パスワードが掛けてあったのに」

「もう少しパスワードは捻った方が良いぜ」

 こんなことで口止めできるんだろうか。事情を説明して協力を仰いだ方が良いと思うのだが、それを言ったら『お前は何をした!』とクリスに首を絞められた。

 脅せば黙ると言うクリスの見解もエロゲーの知識が元になっているので今一つ信用できない。

「金なんて要らねーよ」

「……うぅ」

 女性教師は俯き、

「だからさ」

 圭が囁いた瞬間、女性教師が動いた。

 左目に焼け付くような痛み。

 女性教師が隠し持っていた催涙スプレーを噴射したのだ。

 バチバチと青白い光を放ちながらスタンロッドが迫る。

 こっちは袖の中に隠していたらしい。

 圭は素早く女性教師の脇に回り込み、スタンロッドの柄を蹴り上げた。

 紐を巻き付けていなかったため、スタンロッドがすっぽ抜けたが、女性教師は催涙スプレー片手に抵抗、圭が怯んでいる隙に特殊警棒で武装する。

 特殊警棒を振り回し、圭が近づこうとしたら催涙スプレーで牽制。

 格闘経験のなさを補って余りあるコンボだが、基礎体力の低さは補えない。

 特殊警棒を空振りするたびにスピードが落ち、二分が過ぎる頃には呼吸もままならないような有様だ。

 女性教師が特殊警棒を突き出す。

 圭は女性教師の脇に回り込み、足払いを仕掛けた。

 無造作に足を蹴っただけだが、女性教師はこれ以上ないくらい無様に転倒した。

 ストッキングが破け、何年も陽を浴びていないような白い肌が剥き出しになる。

 ゴクリと圭は白い肌とストッキングのコントラストに艶めかしさに生唾を飲んだ。

 頭を抑えつけるか、腕を捻れば十分だろう、と圭が腰を屈めた瞬間、女性教師が催涙スプレーを噴射した。

 これは予想済み。手の平をノズルに押しつける。

 ヒリヒリと火傷したみたいに皮膚が痛んだが、甘んじて受けるべきだろう……とか余裕をぶっこいていたら、ガッ! と頭蓋骨が陥没しそうな勢いで殴られた。

「ヒィ……ッ!」

 ボタボタと頭から出血。

 悲鳴を上げながらも、女性教師はトドメとばかりに特殊警棒を振り下ろす。

 ガッと二度目の衝撃に血が溢れる。

 ガガッと三度目の衝撃に視界が赤く染まる。

 余裕をぶっこいてたら、窮鼠猫を噛むどころの騒ぎじゃねーぞ! 

 三回も本気で殴りやがって、怯えてるようでヤル気満々ですか?

 ブラウスが血で濡れて、フリルのお化けみたいなブラジャーが透ける。

「こ、このアマ!」

「ヒィッ!」

 催涙スプレーと特殊警棒を力任せに奪い取り、

「こ、ここ、このアマ! 思いっきり殴りやがって! そっちがその気ならヤッてやるよ!」

「いや、助けて……お母さ~ん!」

「う、うるさい、こ、こ、こんな所にノコノコと一人で来やがって……こ、こ、このオッパイめ! け、けしからん、オッパイだ!」

「何が、けしからんオッパイよ!」

 美咲に蹴られ、圭は吹っ飛んだ。

 圭はド派手に転がり、その勢いを利用して立ち上がる。

「何しやがる!」

「アンタを止めたに決まってるでしょうが! 一撃されただけで錯乱して襲い掛かるなんて、脳みそが腐ってるんじゃないの!」

「三回も特殊警棒で殴られてるだろうが! お前こそ、眼球が腐ってんじゃねーの!」

 ふぇ~ん、と女性教師は美咲に抱きついて泣きじゃくった。

「いきなり反撃してくるとは意外にアグレッシブじゃな」

 見上げると、クリスがハシゴを下りていた。

 ショーツの色は黒、シンプルなデザインのローレグだった。

「にゃ、何を見とる!」

 慌ててスカートを抑えたクリスが落下。

 圭はクリスを抱き留め、ゆっくりと地面に下ろした。

「だが、これで面白いムービーが撮れたな」

 邪悪な笑みを浮かべ、クリスは女性教師に自分の携帯電話を突き出した。

「ククク、錯乱して生徒に襲い掛かる女性教師。このムービーをバラまかれたくなければワシらに協力せい」

「……そんなこと」

 ガチガチと女性教師は震えていた。

 縋るように美咲を見るが、残念ながら美咲はこちら側の人間だ。

「で、でも、それは石動君が」

「一部始終を眺めていたが、ケイは脅迫なんぞしておらんぞ。それに、そんな話を誰が信じる? クフフ、この不景気に懲戒免職された教員を雇ってくれる企業があるかの? ここはワシらに協力するべきではないか?」

 矢継ぎ早に言葉を浴びせ掛け、クリスは女性教師から思考能力を奪う。

 ポロポロと女性教師は大粒の涙を溢れさせた。

 正直、胸が痛い。多分、この瞬間にも女性教師が積み重ねた努力とか、自分はこれだけやってるんだぞ! って言うプライドを踏みにじっているのだ。

「……クリス」

「何じゃ、ケイ?」

「動画を削除しろ」

「だったら、どうやって口封じをするつもりじゃ?」

「……こうするんだよ」

「「っ!」」

 クリスと美咲が息を呑んだ。

 圭がその場で土下座したからだ。

「先生、申し訳ありませんでした!」

「ケイ! 男が軽々しく土下座なんぞするものではない!」

「軽々しくなんかねーよ!」

 何しろ、これが人生で最初の土下座だ。

「先生……っ!」

「はひっ!」

「自分勝手なことをほざいているのも、先生が俺のことをあまり好きじゃないのも承知しています。先生が……俺のことを訴えるなら罪を償う覚悟もあります。けど、優花を助けるまで待って欲しいんです」

「綾峰さんの件、知っていたんですか?」

「優花を攫った犯人にも心当たりがあります。本当なら警察に任せるのが一番なんでしょうけど、それができない相手かも知れないんです。だから、見逃して下さい!」

「えっ、あの……分かりましたけど、その代わりお願いしたいことが」

「俺にできることなら……何でもします。いえ、させて下さい!」

 良かったですぅ、と女性教師は満面の笑みを浮かべた。



 特殊警棒で殴られた頭はパックリと割れたままだが、圭は血流を遮断して出血を抑えていた。

 『念のために消毒を』と言う話になり、四人で保健室に移動。

 け、けしからんオッパイが目の前で揺れている。

 ブラウスについた血は乾いて枯葉色、オッパイの谷間にチラチラと視線を向けてしまう。

「本当に自分で血を止められるんですね」

「ええ、まあ」

 と、止まれ、オッパイ! 揺れるな、オッパイ! これ以上、俺の心を掻き乱さないでくれ! と圭は荒い呼吸を繰り返して精神を集中する。

 ふと横を見るとクリスは不機嫌そうな顔で、美咲は虫でも見るみたいな目で圭を睨んでいた。

 二人とも面白くなさそうである。

「すみません、傷を塞ぐんで」

「自分で塞げるんですか?」

 見せて見せて、と言わんばかりに女性教師が身を乗り出す。

 オッパイの谷間が、オッパイの谷間が、この手にある柔らかな感触は! 

 ドブッ! と集中力が途切れ、血が噴き出した。

「ヒィッ!」

 悲鳴を上げ、女性教師はその場に尻餅を突いた。

 でも、これで集中できる。

 心臓の辺りで拳を握り、圭は意識を集中させる。

 血液が泡立ち、裂けた皮膚がゆっくりと塞がる。

「医者いらずじゃな」

「自分の気を消費してるから疲れるんだよ、これ」

「ん?」

 クリスは訳が分からないと言うように首を傾げた。

「術を使う時、俺は基本的に空間に残留した気を使ってるんだが、微調整が今一つだから傷を治す時は自分の気を使ってるんだよ」

「MPの代わりにHPを消費するようなものか?」

「そんな感じ。熟達すれば周囲の気を使って傷を治せるし、敵の攻撃を先読みしたり、思考を読み取ったり、死体を一時的に動かすこともできるんだが……」

 カルの言葉じゃないが、あまり良い趣味とは言えない。

 生前の記憶を保っていたとしても生命力の供給を絶ってしまえば死体に戻る。

「意外に不便なのだな」

「術も拳銃で代用が利くし、頭を潰されたら死ぬしな」

「ちょっと、そんなことを話してる場合じゃないでしょ」

「そうは言っても」

 圭とクリスは顔を見合わせた。

「収穫と言えばユーカが家に帰っていないくらいじゃからな」

「それはそうだけど……石動のコネはどうなったの?」

「それなんだけど、どれくらい金を出せる?」

「この期に及んでお金を取る気?」

「情報料が必要なんだよ。ちなみに俺は金なんてねーぞ」

「私は、貯金を切り崩せば二十万くらい」

 圭と美咲が期待を込めて見つめると女性教師は慌てたように手を振った。

「せ、先生は全然ないです! 有利子の奨学金も返さなくちゃいけなくて、資料とか、服とか、お酒も飲んじゃったりしたり……十万くらいなら」

「高校生じゃカードローンも組めないし、先生にそこまでさせるのは」

 と言いつつ、チラリと圭は視線を向ける。

「はぅぅぅ、分かり「ワシが出すぞ」」

 クリスが何でもなさそうに言い、薄っぺらい財布からカードを取り出す。

「キャッシュカードか?」

「クレジットカードじゃ」

 クレジットカードって黒いんだ、と圭が場違いな感想を抱いていると女性教師と美咲が身を乗り出した。

「「ぶ、ブラックカード」」

「セシルさんに怒られないか?」

「……ワシはこう見えても大卒のインテリで、ハイテクパテントで個人的にも金持ちなんじゃが?」

「だから?」

「このクレジットカードはワシが自由に使えると言うことじゃ」

 エッヘン、とクリスは慎ましい胸を張った。



 クリスの家まで続く坂の麓、県道と国道が交差するそこにMのマークでお馴染みのファーストフード店がある。

 圭はポテトとコーラを交互に口に運びながら情報提供者を待っていた。

 ポケットの封筒には一万円札が百枚。

 空になりかけたコーラを啜っていると、白いクラウンが駐車場に止まった。

 クラウンから降りたのはスーツを着た男だ。

 四十代半ばくらいで、オールバックに撫でつけた髪には白髪が多く交じっている。

 男はレジをスルーし、圭の隣に腰を下ろした。

「いやぁ、久しぶりだね」

「父さんと母さんの葬式以来ですか」

「ああ、そうだったね」

 疲れているように感じるのは気のせいじゃないだろう。

「もう石動とは切れたと思っていたんだけどね」

「やっぱ、本家は動いていないんですか」

「君の両親と違って、あの連中は自分勝手に動くからね。そう言う意味じゃ、動いてくれない方が気が楽だよ」

 圭は息を吐き、封筒をテーブルに乗せた。

「こう言うことを高校生がするのは感心しないね」

「俺だってしたくないですよ」

 男は封筒の中身を半分ほど抜き取り、スーツの内ポケットにねじ込んだ。

「半分で良いんですか?」

「今回、用意したのは使い回しでね。と言っても使ったのは昨日だから情報の鮮度は問題ない。学割みたいなものだと思って構わないよ」

 男はA5サイズの茶封筒……厚さ的にDVDではなく紙のようだ。

「紙は証拠隠滅が楽でね」

「パソコンがないから助かりますけど」

「私はこれで……金髪のガールフレンドによろしく」

 男は圭の肩を叩き、悠々と店を出て行った。

「ケイ、どうじゃ?」

「どうも舐められてるみたいだ」

「ふむ、これか」

 クリスは封筒の口から資料を盗み見る。

「こんなに早く資料を用意できるなんて何者じゃ?」

「大川警察署の刑事」

「警察を信じられなくなるわね」

「けど、そのお陰で優花を助けられるかも知れないんだぜ」

「そうですよ。昔から大事の前の小事と言いまして、今は優花さんの救出を優先させるべきです」

 ズゴーと女性教師はストレートティーを啜った。

 圭、クリス、美咲の三人は顔を見合わせ、

「先生、このタイミングで言うのは申し訳ないんですが」

「はい?」

 女性教師は可愛らしく首を傾げた。

「どうして、あんたがここにいるんだよ?」

「先生、ここにいちゃダメですか?」

「貴様はもう用済みじゃ。さっさと帰れ!」

「そ、そんな、先生だって放課後探偵団の一員ですよ!」

「そんな名前は名乗ってねーし!」

「うぅ、分かりました」

 女性教師は打ちのめされた感じで去っていく。

 もう少し強く生きて欲しいなぁ、と思わないでもない。

「……む、待て!」

「え!」

 嬉しそうに振り返った女性教師の顔が絶望に歪むまで時間は掛からなかった。



「『はぅぅぅ、怖いですぅ』と女性教師は言っている」

「便利だけど、気持ち悪いわね」

 藤山公園の茂みに身を隠しつつ、圭達は女性教師を追跡する。

 辺りは真っ暗、人気はない。

「この囮捜査って問題あるんじゃない?」

「ワシもそう思うが、打てるだけの手は全て打っておくべきじゃ」

 クリスが圭の背中で答える。

「昨日から馬鹿な遣り取りをした記憶しかないのに、こんなので優花を助けられるの?」

 ガジガジと美咲は苛立った様子で親指の爪を噛んだ。

「絶望的な状況下で大切か知っておるか、委員長?」

「諦めないこと?」

「それは大前提じゃ。母上からの受け売りになるが、ユーモアが必要になるそうじゃ」

「は?」

 二人の会話を聞きながら圭は追跡を続行する。

 へぅぅぅ、こんなことなら断れば良かった。

 痴漢だけじゃ済みそうにないですよ、と女性教師は愚痴ばかりだ。

 そんな愚痴を聞くために術で視力と聴力を引き上げている訳じゃないのだが。

「これがない組織は恐ろしく脆いとも言っていたな。ポジティブな要素にも目を向け、色々な角度から検証することが大切と言うことじゃ」

「ポジティブって、何があるのよ?」

「ケイが仲間になってくれたし、ユーカが家に帰っていないと分かった。失踪者のリストも手に入ったではないか……ケイ、様子はどうじゃ?」

「『や、止めて下さい! 警察を呼びますよ!』と女性教師は三人組の男に茂みに連れ込まれそうになってる」

「助けに行くんじゃ!」

「その前に」

 圭は握り拳くらいの石を手に取り、思いっきりぶん投げた。

 石は痴漢の一人に命中。

 当たり所が良かったのか、男は前のめりに倒れた。

「残り二人」

「も、もの凄く危険な倒れ方をしたように見えるのはワシだけか?」

「気のせいだ」

 クリスを背負ったまま、圭は女性教師の救出に向かう。

 リーダーらしき鼻ピアスは女性教師を拘束中。

 もう一人のスキンヘッドは倒れた男を心配そうに揺すっている。

 女性教師は催涙スプレーを噴射、鼻ピアスから逃れるが、数メートルも進まない内に足を縺れさせた。

 転倒寸前の女性教師を受け止めたのは鼻ピアスでも、スキンヘッドでもなく、エプロンドレス姿のメイド……セシルさんだった。

「た、たしゅけて、くだしゃい」

 セシルさんは女性教師を庇うように立つ。

 女性教師がセシルさんを盾にしたと言った方が適切だろうか。

 鼻ピアスとスキンヘッドの口元が醜く歪む。

 多分、新しい獲物を見つけたくらいの感覚なのだろう。

 鼻ピアスとスキンヘッドがセシルさんに襲い掛かる。

 ゆらりとセシルさんが揺れながら鼻ピアスとスキンヘッドの間を擦り抜けた瞬間、二人の体は宙を舞っていた。

 セシルさんが二人を投げ飛ばしたのだ。

 地面に叩きつけられ、二人の顔が怒りで赤く染まる。

 ヒィィッ、と女性教師が情けない悲鳴を上げてセシルさんに抱きつくのと鼻ピアスがナイフを片手に突っ込むのが同時。

 避けられない!

 少なくとも女性教師は刺される!

 だが、ナイフは女性教師に届かなかった。

 茂みから飛び出したシロが鼻ピアスの腕に噛みついたのだ。

 中型犬なら抵抗もできたんだろうが、残念ながらシロは超大型犬だ。

 鼻ピアスは為す術もなく押し倒され、腕を振り回される。

 そのたびに血が飛び散った。

 スキンヘッドはナイフを片手にシロに襲い掛かろうとしたが、セシルさんに拳銃を向けられて動きを止めた。

「こ、この犬を、追っ払ってくれよ!」

「シロ、離れなさい」

 セシルさんの言葉に従い、シロは鼻ピアスから離れた。

 鼻ピアスの腕は骨が露出するような酷い有様だ。

「ひ、ひでぇよ、俺が何をしたんだよ」

「こちらの女性を強姦しようとしているように見えましたが?」

「だからって!」

「……だから?」

 セシルさんは凶悪な笑みを浮かべ、鼻ピアスの腕を思いっきり踏みつけた。

 獣じみた悲鳴が鼻ピアスの喉から迸る。

「や、やめてくれ!」

「動くなと申しましたが?」

 轟音が響き、スキンヘッドは太股を押さえて地面を転がった。

「う、撃ちやがった! この、クソアマ!」

「せ、セシルさん、その辺で」

「ケイ、近づくな!」

 クリスの警告よりも早くセシルさんは動いていた。

 驚く間もなく、発砲。

 並の人間であれば撃ち殺されていたに違いない。

 だが、クリスのお陰で鍛えられた反射神経が圭を救った。

 マズルフラッシュに目を焼かれながら、圭は銃弾を躱していた。

「突然、近寄られては」

「だ、だから、近づくなと」

「もっと、早く言えよ!」

「……圭様も無事でしたので続きを。俯せになり、頭の後で両腕を組んで下さると非常に助かります」

 ヒィィッ! と悲鳴を上げ、鼻ピアスとスキンヘッドはセシルさんの指示に従った。

 セシルさんは紐で手際よく二人を縛り、倒れている男も縛り上げる。

「畜生、覚えてやがれ」

 毒づく鼻ピアスを見つめ、セシルさんは薄く笑った。

 この期に及んで鼻ピアスはセシルさんの危うさを欠片も理解していないのだ。

「……クリス、圭様、名前は存じませんが、茂みに隠れていらっしゃる御学友の方も、屋敷でこちらの女性を手当して頂けると助かります」

「ケイ、言う通りにするんじゃ」

「おう、何をするかなんて俺は絶対に聞かない、聞くもんか」

「賢明じゃ」



「ケイ兄ちゃ~ん!」

 圭は門を越えるなり飛びついてきたカルを抱き留め、その場で一回転。

「あのねあのね、ケイ兄ちゃん! ……お客さん?」

 美咲と女性教師を見るなり、カルは不安そうに圭の影に隠れた。

「クラス委員長の美咲と副担任の……名前は何じゃったかの?」

「あ、あの先生は三ヶ月以上も副担任を……石動君は先生の名前を知ってますよね?」

 縋るような目で見られ、圭は慌てて顔を背けた。

「委員長さんは先生の名前を知ってますよね?」

「え、その、ごめんなさい」

「……琉架、西郷琉架です」

 女性教師……西郷先生は寂しそうに呟いた。

「ケガしてるの?」

「そうじゃ、母上が手当をしろと知っておった」

「すぐに用意するから上がって」

 圭から離れ、カルは屋敷に戻る。

「はぅぅぅ、新しいストッキングが破れちゃいました」

 土間に座り、西郷先生は肩を落とした。

 擦り傷、痣、挫いた足首が腫れているのだが、ストッキングの方が心配らしい。

 ドタドタとカルが緑色のポーチとミネラルウォーターのボトルを持って西郷先生の隣に座る。

「傷を洗うから脱いで」

「脱ぐんですか?」

「傷口に繊維が入ったら化膿しちゃうよ」

 はぅぅぅ、と西郷先生はスカートをたくし上げ、ゆっくりとストッキングを下ろす。

 恥ずかしそうにストッキングを下ろす姿は優花のオッパイよりも価値があるような気がした。

 カルはミネラルウォーターで傷を洗浄し、半透明のシートを貼り付ける。

「あのぉ、消毒はしなくても良いんですか?」

「傷も深くないし、清潔な水で洗ったから大丈夫だよ。足首の方は捻挫だから氷で冷やして、それでも、痛みと腫れが引かないようなら病院に行ってね」

「手際が良いわね」

 美咲が声を掛けるとカルは怯えたように圭の背に隠れた。

「……お母さんに教えてもらったの」

「良いお母さんね」

「そのお母さんはチンピラ二人を血祭りに上げていたんじゃが」

 は? と美咲はクリスを見た。

「さっきのメイドさん? この子、中学生よね? あれ、年齢と髪の色とか……え?」

「メイドはワシとカルの血の繋がらない母親で、カルはワシの血の繋がらない妹じゃ」

「お前とセシルさんって、血が繋がってないの?」

「母上の戸籍年齢は二十六じゃ。そこからワシの年齢を差し引いたら、どうなる?」

「シャノンさんは超ロリコン」

「違うわ、たわけ! 普通に考えたら後妻だと分かるじゃろ!」

「愛があれば年齢も、性別も、国境も関係ないですよ」

「貴様は黙っておれ、女教師!」

「西郷先生、愛で無視できるのは年齢と国境だけだぜ」

「下限を設定せんか、ケイ!」

「でも、ボクくらいの年齢で結婚するのって普通だよ」

「部族の常識で物事を考えるのは止めるんじゃ、カル!」

 はぁ、はぁ、とクリスは荒い呼吸を繰り返した。

「悪いことを聞いちゃった?」

「う~む、これがワシらにとって普通なんじゃが」

「……クリス、彼女は貴方を気遣っているのです」

 振り向くとセシルさんがいつもの無表情で佇んでいた。

 ただし、拳からボタボタと血が滴り落ち、エプロンドレスも血で汚れていた。

「セシルさん、あの三人は無事ですか?」

「……日本には『後悔先に立たず』と言う諺がありますが、その意味を三人とも噛み締めているではないかと。もう少し早く反省していれば、あんな残念な結末を迎えずに済んだのでしょうが」

 無事じゃなかった。

 殺されていないようだが、この場合は死んだ方がマシな目に合わされたと考えるべきだろう。

「……夜も更けて参りましたが、一緒にお食事は如何でしょう? とあるツテで新鮮な羊肉が手に入りまして」

「わ、私は、ちょっと」

「先生も遠慮したいかな」

 顔面蒼白の美咲と西郷先生は首を横に振った。

 二人が何を考えているかは想像に難くない。

「じゃ、俺は二人を見送りがてら学校まで自転車を取りに戻るな」

「石動君が学校まで付いてきてくれるなら先生が美咲さんを車で自宅に送りますよ」

「クリス、資料の分析をよろしくな」

「頭脳労働はワシの仕事か?」

 天才なんだろ、と圭はクリスの肩を叩いた。



 荷物を取りに行ってくるので待っていて下さ~い、と西郷先生はしっかりとした足取りで職員室に向かった。

 気まずい、と圭は西郷先生の自動車に寄り掛かりながら美咲を見つめた。

「石動、もう気付いてるんでしょ?」

「隠し事をしていることか?」

「やっぱり、気付いてたんだ」

 美咲は小さく呟き、自動車に寄り掛かった。

「あの日……アンタに助けてもらった日なんだけど、叫び声を聞いたの。ほら、空手をやってるから痴漢くらいなら追っ払えるかなって」

「それで大男に遭遇か」

「うん。あいつの足下に誰かが倒れてて……次の日に学校に来たら優花がいなくて、職員室で優花が帰ってないって」

 グシャグシャと美咲は髪を掻き毟った。

 どうしよう、と親指の爪を噛む姿は痛々しい。

「そうならないように行動してるんだろ。クリスも言ってたけど、少しはポジティブに考えろ」

「そんなの無理だよ。習ってた空手も役に立たなくて、あの時に切り出してれば、こんなことにならなかったかも知れないのに」

「……馬鹿か、お前は」

 パンッ! と駐車場に乾いた音が響く。

 美咲が圭の頬を殴った音だ。

「……ごめん」

「何か、できたんじゃねーか……そんな風に思っちまうんだよな」

「石動?」

「俺のせいでもないんだけど、それでも、考えちまうんだよな。気をつけるように言っておけば、二人とも生きて帰って来られたんじゃねーかとかさ。けど、どうにもならねーんだよな。だから、今からどうするかだけ考えようぜ」

「そんなの……無理だよ」

「分かった」

 圭は美咲の前に立った。

「まあ、そうだな。優花を助けたら胸を揉ませろ」

「は?」

「優花を助けられなかったら、お前を死ぬまで苛めてやる」

「何言ってんのよ、あんたは!」

「何も考えられないって言ってやがるから俺が考えてやったんだよ。優花を助けられなくて罪悪感に耐えられないってんなら、人格をぶち壊してやるから安心しろ」

「最低、マジあり得ない」

「今から契約しておくか?」

「……っ!」

 一瞬、ハレーションを起こしたみたいに視界が真っ白になった。

 美咲が圭を殴ったのだ。

 うぅぅぅ! と美咲は犬みたいな唸り声を上げて、圭の頬を殴った。

 痛いなんてもんじゃない。

 空手で鍛えた美咲の拳は石みたいに固いのだ。

「どうして怒ってんだよ? お前は優花を助けるつもりがないんだろ? 少なくとも助けられるなんて思ってないんだろうが!」

「っさい、馬鹿! 死ねっ!」

 鳩尾に肘が食い込み、くの字に体が折れるのを見計らったように膝が顎を捉えた。

 堪えきれずに尻餅を突いた所に美咲の爪先が突き刺さる。

「助けるに、助けたいに決まってるでしょ!」

「だったら、そう言えよ! クリスまで巻き込みやがったくせに、真っ先に諦めてんじゃねーよ!」

「っさいのよ、エロ魔人! 誰が、誰がアンタなんかに! 優花を助けて、助けて……二人で一緒にアンタの尻を蹴飛ばしてやる!」

 低い姿勢からのフックが圭の頬を殴打する。

 はぁ、はぁ、と美咲は荒く呼吸を繰り返していた。

「……やればできるじゃん」

 圭は血の混じった唾を吐いた。

「お待たせしましたぁ!」

 西郷先生の底抜けに明るい声。

「じゃ、明日からもよろしくな」

「アンタ……わざと」

「バーカ、わざとでこんなに殴られるかよ」

 立ち上がり、圭は頬を撫でた。

「……馬鹿、死んじゃえ」



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