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しろがねの翼  作者: 夢屋満月堂
interlude
36/36

35:幕間

 おい、コレが魔石の生産機構、だと……?


 えへへー、綺麗でしょう。この晶花の繊細可憐なことといったらもう!

 我ながらよく頑張りましたホントっ。

 苦労したんですよ、魔石と植物の生体構造を融合させて上手く形にするの。

 なおかつ見た目がステキじゃないと、全然意味がないですしー?


 で、この樹一本か?


 いぇっさー。


 結晶強度と生産効率は?


 ん? そんなもんはオマケですよオマケ。偉いヒトにはそれがわからんのですよ。


 おいっ、上層部に報告すんの俺だっつーの!


 あはは。まあまあ落ち着いてくださいな。禿げますよ長官。

 そっち向けの説明はちゃーんと用意してありますって。ほらほら。


 ああん?

 って。この数値は……!?


 ふふふ。強度と生成速度が落ちるとはいえ、この"蒼晶花"の親和性と許容量は従来型とケタ違いなのですよ。

 どうです恐れ入りましたか。我が頭脳にひれ伏すがよいのです!


 ……まぁ、な。

 流石は腐っても脳味噌に花咲いてても海域管制本部ウチの技術課長だよ。

 これなら上も目ぇ瞑らざるを得ないだろうし、こっちの首も繋がる、か。

 だが。やり過ぎじゃないか?

 生育に十分な時間を掛ければ――結晶から引き出せるマナは無限大、とはな。またとんでもない代物を創ったもんだ。


 我ながら恐ろしい才能ですね。


 …………。


 ……本当は、理論構築だけで終わらせるつもりだったんですよ。

 けれどデータが流出してしまって。

 中途半端に手渡すよりは、こちらで全て掌握するべきかと。

 油断してました。すみません……。


 ああくそ、あの事件か。全く気苦労を増やしてくれる。

 先日、北の僻地にある集落の壊滅が正式に確認されたそうだ。

 マナの枯渇は確実に広まってる。

 ……コレはそれを加速させるだろうな。


 ええ。きっとそうなるでしょう。


 背負いこむなよ。

 命じたのは、俺だ。


 創り出したのは、ワタシですよ。


 ……。


 ねえ長官。

 この花樹は、地に根付くことでマナの循環に組み込まれてます。

 今のこの状態のままなら地の恵みを奪うことなく、大いなる環の一部として在ることができるんですよ。

 花を奪わなければ、の話ですけど。


 そうか。


 ヒトの欲さえなければ、この花もただ美しいだけの存在でいられますのに、ね。

 ワタシが言えた台詞ではないですけれど……何故、あるもので満足できないのでしょう。


 それがヒトの性なんだろう。煽ってる奴がいるのも事実だが。

 王の考えてることがわかんねえよ。まさか本当に――


 ――発言にはご注意を。ここならともかく、"耳"はどこにあるのか分かりません。


 ん、ああ。ヘマはしねえよ。


 あなたは意外と迂闊ですから、なんだかとっても心配ですよ……。

 けれど本当にままならない。

 ワタシ達は、この先の未来に何を残せるのでしょうね。

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