10:幕間
あっ、あの、剣士さん……。
ちょっと待ってー!
――うん?
はぁ、はぁ……ふぅ。やっと追いついたわ。
あなた、この間助けてくれたでしょう!
――?
あ。あんたは酒場の。
思い出してくれました?
……あのときはありがとうございます。
それに、ロクにお礼も言えなくてごめんなさい。
その……吃驚してしまって。
慣れてるから、気にしなくていい。あんたに何事もなくて良かったよ。
でも――
それに、あのままにしていたら料理人の彼も怪我をしそうだったからな。
あの店の料理が食べられなくなるのは困る。
あっ、そうなんです。
うちのジェイムズったら、荒事は空っきしの癖に無駄に勇気だけはあって。
本っっ当に身の程を知らないバカなんです。
万が一、腕を潰されたらどうするつもりだったんだか。
もやしの癖に後先考えないんですよ、あの間抜け!
……って。
…………あ、あの、ごめんなさいっ。つい。
いや、愛されているな、彼は。ともあれ美味い料理が健在でなによりだ。
そういえば、あの後はどうなったんだ?
マスターのひと睨みで、あのバカ共は退散しました!
ああ、思い出しても腹が立つったら。もう二度とウチの店の敷居を跨がせるもんですか!
ふふ、勇ましいな。
けれど、あまり無茶はしないように。
……カッとなると、つい手が出ちゃうんです。ホント気をつけます。
この前は剣士さんにもご迷惑をかけちゃいましたしね。
でも、どうかまた食べに来てくださいね?
ああ。ツケもあるし、また今度寄らせてもらうよ。
マスターにも宜しく伝えてくれ。
はい! 竜歌亭一堂、お待ちしてます!!




