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しろがねの翼  作者: 夢屋満月堂
interlude
11/36

10:幕間

 あっ、あの、剣士さん……。

 ちょっと待ってー!


 ――うん?


 はぁ、はぁ……ふぅ。やっと追いついたわ。

 あなた、この間助けてくれたでしょう!


 ――?

 あ。あんたは酒場の。


 思い出してくれました?

 ……あのときはありがとうございます。

 それに、ロクにお礼も言えなくてごめんなさい。

 その……吃驚してしまって。


 慣れてるから、気にしなくていい。あんたに何事もなくて良かったよ。


 でも――


 それに、あのままにしていたら料理人の彼も怪我をしそうだったからな。

 あの店の料理が食べられなくなるのは困る。


 あっ、そうなんです。

 うちのジェイムズったら、荒事は空っきしの癖に無駄に勇気だけはあって。

 本っっ当に身の程を知らないバカなんです。

 万が一、腕を潰されたらどうするつもりだったんだか。

 もやしの癖に後先考えないんですよ、あの間抜け!

 ……って。

 …………あ、あの、ごめんなさいっ。つい。


 いや、愛されているな、彼は。ともあれ美味い料理が健在でなによりだ。

 そういえば、あの後はどうなったんだ?


 マスターのひと睨みで、あのバカ共は退散しました!

 ああ、思い出しても腹が立つったら。もう二度とウチの店の敷居を跨がせるもんですか!


 ふふ、勇ましいな。

 けれど、あまり無茶はしないように。


 ……カッとなると、つい手が出ちゃうんです。ホント気をつけます。

 この前は剣士さんにもご迷惑をかけちゃいましたしね。

 でも、どうかまた食べに来てくださいね?


 ああ。ツケもあるし、また今度寄らせてもらうよ。

 マスターにも宜しく伝えてくれ。


 はい! 竜歌亭一堂、お待ちしてます!!

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