第二話: 無法地帯へ
かつては無法地帯の統治者、そして今はテオファニー騎士団の一員、バニラ・シャドウの言う白髪の魔術師「ベルスタル・ルハイシェン」
カルタロウ襲撃から3時間前
「ヴラード様、お久しぶりです。私、ベルスタル・ルハイシェンが…情報を提供しに参りました」
「何事だ?」
「我々テオファニー騎士団、目的である神、ルーンフレリックの顕現。こちらに関する情報です」
「ルーンフレリック、1000年前に世界を統治していた魔神魔王…顕現には4つの魔導書が必要なはずだが…まさか収集できたのか?」
「えぇ、4つの魔導書すべてを入手しております、ですが…魔導書にはルーン文字が記載されており…解読にはあなた様のお力が必要不可欠なのです」
「なるほど、それなら解読はこちらで行う。あぁそれと…お前に伝えたいことがあったのだ──」
「ATOS、奴らが15年ぶりに姿を現した」
「ATOSがっ?!」
「あぁ、彼らもまた…私達を壊滅させに来るだろう。ふふっ、もう時期…神と人間の…頂上決戦が見られるぞ…」
《◇》
カルタロウ捕獲後のAll Time of Shadow基地にて
「さて、俺はもう時期…向かわなければならない」
「無法地帯、ベルスタル・ルハイシェンが統治する魔境デすよね…僕たちだけで向かっても大丈夫なのでしょうか…」
「オイラたちなら余裕ッスよ」
「安心しろ、俺が必ず倒す…いや、倒さないといけないんだ…」
「君たち、何を言っているんだ」
「アツアゲさん!」
「バニラ、オモミ、ペリアス…忘れるな、私達の目的はテオファニー騎士団の壊滅ではなく、人々の平和だ」
「人の命が、無作為に弄ばれ、死んでいくことは絶対に許してはならない。その命にはお前らも含まれている」
「ですが…」
「無法地帯には行くな、今のお前たちじゃ無理だ…死ぬぞ」
「分かっています、精鋭部隊の中でカルタロウが最低ラインなのは存じています」
「なら──」
「でも…俺は、彼らを見放しにはできません。15年ぶりの邂逅。必ず復讐を果たさなければ…」
「…復讐?」
「ベルスタル・ルハイシェンは…15年前に俺の母親を…殺しているんです!」
「なに?」
「俺は必ず…ここで復讐を…!」
「怒りに任せても、限界を超えた力は手に入らない。現実を見ろ、いくら理屈を並べても無理なものは無理なんだ…無法地帯は魔境だ。今の戦力では足りてなさすぎる」
「それでも…俺は『虚無』に身を委ね、凱旋を約束しましょう」
「っ……」
《◇》
数時間後
「なぜ…彼らを行かせたのですか?」
「仕方なかった…彼の怒りは、私に測り知れるものではない…その中には狂気すら感じた…」
「僕も行きます」
「やめろ…ルアノ」
「人の怒りは、他人に測り知れるものではありません。ですが…怒りは、彼らに誤った方向に進ませてしまう…」
「アツアゲさん、僕は彼を怒りなんかに殺させません。僕が代わりに…ベルスタル・ルハイシェンを討ちます」
《◇》
無法地帯にて
ナレーション・バニラ【我々、組織『All Time of Shadow、通称ATOSは20年に渡り悪行を行ってきた極悪組織、『テオファニー騎士団』と敵対している。そして昨夜、テオファニー騎士団の組織員、テオファニー騎士団のボス『ベルスタル・ルハイシェン』率いる精鋭部隊のメンバー、『カルタロウ・レイド』と遭遇し、捕らえることに成功した。ATOSがテオファニー騎士団と邂逅するのは15年ぶりの出来事であった……】
【カルタロウを尋問し、『ベルスタル・ルハイシェン』の統治する無法地帯の場所を特定した。我々の戦力は彼らに遠く及ばないのかも知れない…それでも俺には、必ず奴らを討ち倒さなければならない理由がある。 俺達の最初の旅は、ここから始まる】
残影沿革 ~All Time of Shadow~ ─第一章 騎士団決戦編─
「さぁ…ついたぞ、ここが無法地帯だ」
「オイラ、急に寒気がしてきたッス…」
「誰かいますデ…!」
「あら、新参者?ここは生半可な覚悟で来る場所じゃないわよ」
「問題無い…覚悟なら、できている」
「っ…!ふっ…あんた…怖いわよ……そんな目…」
「アタシはオーリアス。無法地帯で黄金を狩る狩人よ」
バニラは警戒心を顕にしながら問い詰める
「黄金?」
「そう、この無法地帯には…沢山のお宝が眠ってるとされている。治安が悪い原因の一つもそれよ…20年ぐらい前からそんな噂を嗅ぎつけて多くの狩人が此処に来た。でも結局見つかった黄金は全体のほんの一握り…国を一つ買えるぐらいよ」
「おひょお〜、そんなに見つかれば十分ッスよ!」
「でも此処に来た狩人の内、精々1割程度しか黄金は見つけられなかった…だから不満はどんどん溜まっていき…治安は悪化していった。そして極めつけは、15年前……」
「テオファニー騎士団か!」
「テオファニー騎士団?そいつらは知らないけど…アタシが知ってるのは『ベルスタル・ルハイシェン』っていう独裁者よ。奴は騎士団を設立し、独自の力でこの区域を支配していった…だから今の無法地帯に…」
「彼女はテオファニー騎士団を知らないスカ?」
「テオファニー騎士団は基本的に表舞台に出てこない、名前が知られていないのも当然だ」
「さぁ、そろそろ行くぞ」
「はいっ!」
「ニョイッス!」
「もう行くの?」
「あぁ、俺は奴らを逃がす訳にはいかない。一刻も早く奴らのもとに辿り着かなければ…」
「なら、私も同行するわ」
「だが……」
「私はベルスタル・ルハイシェンの居場所を知ってるのよ?それに、現地人がいたほうが色々楽に物事が進むと思わない?」
「でも、なんでそこまで僕たちに親切にしてくれるのデすデ?」
「私も…個人的に奴には恨みがあるからね……あんた達強そうだし…もしかしたらこの機会に奴らを討てるんじゃないかって思って」
「そうか…なら分かった。ではベルスタル・ルハイシェンの根城まで…案内してくれるか?」
「お安い御用よ!」
「済まないな、報酬ははずましてくれ」
「マジ〜?!がっぽり貰っちゃうよ〜?」
「貪欲デすね…」
「これより、無法地帯の冒険…スタートッス!」
「どうしたのデす?突然」
静寂に包まれていた雰囲気に笑いが起こる




