第3章第1節 サルード大陸
本章では、各大陸ごとに分け、いかに各大陸の土地が使われているかを記したい。
最初にサルード大陸である。
この大陸には、住居可能面積が非常に広大であるが、しかし、実際に使用されている面積は少ない。
総面積390万平方キロメートルのうち、住居可能面積は約8割ある。
一方で実使用面積はそのうちの3割に過ぎない。
これは、都市部に過度に集中しているために、周囲に住居を作らないためである。
しかしながら、結果として、都市より遠くないところに雄大なる自然が残されてもいる。
その結果、周囲の区域は、公園として整備をされ、さまざまなレクリエーションを行うことや、小学校、中学校などの自然学校として利用されている。
サルード大陸は、北部に3000m級の山脈が連なっており、そこから複数の川が流れている。
川は大きく3つの水系に分かれていて、東より、サルジルドル川水系、ミルイージン川水系、ヒスロールド川水系と分かれており、すべて北部山脈に水源を有している。
サルジルドル川水系は、河口に行くにつれ、徐々にひとつの川へ収束をする。
その川の名がサルジルドル川といい、その支流は100を超える。
河口に行くにつれ、川幅が徐々に広がっていき、それに伴って、橋の数も減少をする。
長い区間の橋脚工事ができるような工業力を持つことができるようになったのは、この数年の間の話であり、それまでは、基本的にフェリーによって対岸同士の物流を結んでいた。
ミルイージン川水系は、中央草原にて蛇行をしている川である。
そのため、三日月湖が多数存在し、草原の水源ともなっている。
支流からの流入はほとんどないが、分流することは多くあり、中央草原よりほとんど南北方向に対して平行にして流れているミルイージン川の本流以外は、基本的に途中で地下へともぐり、草原地帯の地下水脈を形成している。
本流は、ほとんど川幅を変えずに河口へ到達し、その結果、川のあちこちに橋がかけられ、その周囲には町が出来上がった。
ヒスロールド川水系は、分流も支流もない。
一方で、その相当な水量は、一年を通してほとんど変わることがないため、治水計画を最も立てやすい川として知られている。
周囲には、古来から行われてきた治水事業の跡が、史跡に指定されており、今なお稼働し続けている堤防や、可動堰など、数々のものが直接手に触れることもできる状態である。
魚の遡上など、漁業も盛んであるこの水系は、この大陸の3水系の中で最も栄えているものと言えよう。
中央草原付近では、蛇行をしているミルイージン川の影響で、大規模な都市が形成されることがなかった。
そのために、小規模の集落同士が、川を使い互いにつながりあっているという生活形態が生まれた。
その集落一つ一つが市町村の指定を受けているため、この平原だけでも数万を優に超すほどの市町村が存在している。
海岸沿いは、都市が密集し、現在ではどのように区分けされているのかが分からない状況になっている。
それを防ぐため、本書の1年前に新たに市町村の指定を行い、数十万の市町村が新しく誕生した。
大陸でもっとも栄えているコングルイス市という大陸の首都である都市は海岸沿いにあり、人口300万を超えるほどの巨大都市に成長している。
この都市は、帝国へ編入される前は、自治都市として長き間、周辺の町を束ねていた。
都市の中央にはスベツカイ神をまつっている神殿があり、それを中心に同心円状に市の区画がある。
その市の区画一つ一つが町と同等であり、また、町として扱われている。
この大陸で180万もの市町村が存在し、それらを300の基礎公共団体へ集約される。
集約されるのは、周辺を強制的に併合する形で、基礎公共団体とされる。
さらに、人口が出来る限り一定になるように基礎公共団体を60ずつ編成し、各大陸に5つある区とした。
各基礎公共団体は人口が100万程度になるように設定されている。
そのことは、すべての大陸で共通している。