第8章第1節 王長:第1款 胸中
国は、こうしてできた。
では、この国は、どのようにして王国、そして帝国へと発展を遂げることとなったのか。
それについて、本章で語ろうと思う。
なお、本章について、神話目録の他、エルハンドラ帝国国立図書館最重要保管庫第1列所蔵「国勢第1版」並びに、同列所蔵「王国領土詳細図第1版」を参考とした。
また、第7章冒頭にも記したとおり、本章においても、分かりやすいように一部改変を加えている。但し、本筋については手を加えておらず、侍従長並びに最高神官の承認を経ている。そのため、知られているものと多少異なる場合があるが、了承いただきたい。
王長と呼ばれることとなったスワキサルザは、考えていた。
ジルサンデルは、
「王長、どうした」
スワキサルザは、
「出来れば名前で呼んでくれないか。兄弟ではないか」
ジルサンデルは、
「すまない、スワキサルザ」
スワキサルザは、
「王長となったとして、なにかすべきことはないかと常々考えている。だが、何も思い浮かばない」
そこにイカムルードが歩いてくる。
イカムルードは、
「二人とも、浮かない顔をしているようだが、どうした」
スワキサルザは、その胸の内をイカムルードにも打ち明けた。
今いるのは、昔は村長が使っていた建物で、その執務室とも言うべき大きな部屋の中には、現時点では3人しかいない。