43/114
第7章第4節第6款 長とスワキサルザ
戦いが始まった。
長が振りかぶって剣を振りおろすと、スワキサルザはそれを受け流して突いてくる。
長が受け止めると、スワキサルザは一歩下がってそのすきを突く。
じわじわと長は押されて行った。
戦い始めてから5分ほど。
長の剣がスワキサルザに弾き飛ばされて、空中で折れた。
長は、
「分かった、お主の勝ちだ」
スワキサルザは、
「長よ、貴殿はどのようにする」
長は、
「お主の好きなように」
スワキサルザは人垣になっていたジルサンデルとイカムルードを呼び寄せ、
「二人はどう考える」
ジルサンデルは、
「命を取る必要はあるまい。だが、神誓により、命をかけて約束は守らせるべきだ」
イカムルードは、
「ジルサンデルに賛成だ。神契を行うべきであろう」
一説によれば、神誓は神に誓って人と人の約束を守ること。神契とは神と人の契約のことを指すとされている。ここでは、スワキサルザと長は、それぞれ約束を守り、そのことを神と契約としてまとめるということのようである。
なにはともあれ、長とスワキサルザの間で、主従関係が成立したのはこの時である。