第7章第3節第15款 イカムルードの宝具
最後は三男のイカムルードだ。
イツムロカキ神は、
「お主に授けるのは、我々の意思を、明確に伝えるために必要な物である」
イカムルードは、イツムロカキ神の御前に立っている。
そして、一つ一つを受け取った。
イツムロカキ神は、
「まずは、椀である。この椀は中に水を注ぎ入れることにより、我々の姿を見ることができる。さすれば、我々とも会話ができよう。そして、我々の意思をそなたに伝えることができる」
その椀は、今なお最高神官が神意を視るために使われている。
純金製で、大人の男性が2人でやっと持ち上がるほどの重さがある。
大きさ的には、直径15スキッドである。
これは、両手をつないで3人分程度の大きさである。
水は、イカムルードが後に掘ったとされる井戸からのみ使われる。
イツムロカキ神は、
「次に、衣である。神としての権威を、人間世界における神の代理人としての森閑として、そのために使われるべきである」
この衣は純銀の糸のみで織られており、現時点でも最高神官のみが神意を公布する際に着用する。
当時は、最高神官が神の代理人として、権威を与える立場であったとされている。
今でも、皇帝の戴冠式は最高神官が執行することとなっている。
なお、戴冠式は、後に詳細がでてくる。
イツムロカキ神は、
「最後に、指輪である。神の代理人として、人々に祝福を与えるために必要な物である。これによって、神の恩寵が満ち溢れる世界となるであろう」
この指輪は、前の数々の宝具と比べて、豪華さはない。
どちらかと言えば、貧相にすら見える。
だが、使われているのは当時としては貴重なルガーツと呼ばれる鉱物である。
現在では緑色の宝石としてよく使われているルガーツであるが、地中100グラーザにならなければ掘ることができないという鉱物である。
そのため、地表に現れることはごくまれである。
そのため、祝福を与えるための宝石として使われることとなったのである。
今なお、最高神官は、この指輪をはめて、全帝国民に対して祝福を与え続けている。