28/114
第7章第3節第8款 老人
歩くと、枯れた木の下に座りこむ1人の老人を見つけた。
ジルサンデルが老人に近づき、
「いかがいたしましたか」
老人は、
「足が痛くて歩けぬのだ」
ジルサンデルが、
「それはおつらいでしょう。さあ、私の背中にのってください」
老人が、
「いやいや、此処で待っていれば、きっと痛みは遠のくであろう」
ジルサンデルが、
「家は遠いのですか」
老人は、
「ここから1昼夜ほどかかる」
それを聞いて、スワキサルザとイカムルードは、
「ジルサンデルよ、我々はこの老人を置いて、ここから鍛冶屋へと向かうことなどできない」
ジルサンデルが老人へと向き、
「遠いのであるならば、なおさら乗りなさい。私は、あなたの馬となり、どこまでも貴方を運びましょう」
老人は、
「なら、連れて行ってもらおうか」
ジルサンデルへと乗ると、ジルサンデルは、その者を軽いと思った。
老人の荷物はスワキサルザとイカムルードが分担して持つことにした。
ジルサンデルは、
「向きは」
老人が、
「あっちだ」
ジルサンデルは、老人が指した方角へと、その地点から北東へと向かって歩き出した。