第2章第1節 サルード大陸
エルハンドラ帝国全土の人口分布は、大まかに大陸ごとに分かれる。本章では、大陸ごとに人口分布、民族分布などを節に分けて説明をしていく。
サルード大陸では、中央部の草原地帯を中心にいる遊牧民族であるサルッヒズ族、南側で狩猟を主に行って生活をしているヒッグズ族、ルードル族、北側の寒冷山岳地帯にいて、鉱物を掘り生計を立てているジョインズ族が少数民族として存在している。
それぞれ帝国以前に国を成立させており、現状として緩やかな連邦状態である。
現在では、サルッヒズ国、ヒッグズ国、ルードル国、ジョインズ国は、それぞれが帝国の行政区分における"区"の扱いを受けている。詳細は、第3章で語らせていただく。
地域では、大まかにそれぞれの民族が居住している地域ごとで気候は大きく変わる。
サルッヒズ族の周辺では、乾季と雨季が交互に現れる。しかし、スコールのような大雨は降らず、かといって、日中気温が40度にもなるような乾季でもない。その結果、1年を通して、草原が繁茂する地域となった。
ヒッグズ族とルードル族は、エルハンドラ帝国と連邦状態になる前は、互いに争いが絶えない地域だった。それは、低木が茂る地域であったからであり、この地域に、2つの民族が共存できるような広さがなかったからである。一方で、昔より、争いを鎮める方法として、互いの族長の娘を交換し、嫁がせるということを行ってきた。その結果、民族殲滅といったことを考えることはなく、大がかりな武力を伴った争いは起きなかった。
ジョインズ族は、北部の寒冷地帯一帯に生活拠点を置いており、その地の年平均気温は、0.5度となっている。夏でも雪が融けきることはなく、外へ出てくるときは、サルッヒズ族との物々交換の時ぐらいである。彼らの家族の結びつきは非常に強く、生活は、民族単位よりも家族単位で行われていると言っても過言ではない。それぞれの家族が、どの鉱物の採掘許可があるかということを決められており、それを破った者には、家族ともども追放するという制裁が科せられる。
上記のような少数民族と対照的に、大陸全土にわたり生存している民族は、チューリトズ族とカワッキズ族である。この2つの民族は、中枢民族と呼ばれ、エルハンドラ帝国成立以前に、サルード大陸を2分するような勢力へ成長していた。だが、我が帝国に対して、チューリトズ族から宣戦布告されたがため、今では、主要民族とは呼ばれるが、中枢部分にはほとんどいない。
彼らはともに、サルッヒズ族から派生したと考えられている。しかしながら、チューリトズ族は、どちらかといえば、ヒッグズ族とルードル族に近く、カワッキズ族は、既存の民族のいずれとも近縁種と確認されていない。
両民族とも、手先が器用であり、昔は加工貿易を、今では精密機械の製造を行っている。
大陸全土は温暖湿潤気候であるが、部分的に異なる部分もある。
大陸中央部は、乾燥地帯が占めており、そこより吹く乾いた風は、周囲に砂を運んでいる。一方で、周囲の湿潤気候の影響で、完全な乾燥地帯とはならず、さらに、北部にある山脈より流れてくる冷たい川によって、気温の上昇も抑えられている。その結果、低木地帯が広がり続けている地域もあり、砂漠地域は縮小を続けている。
海岸沿いは、北部の寒冷地帯をのぞき四季がはっきりとしており、しかし、冬は弱弱しく感じられる。
低木地帯は、雨季と乾季の2つにわかれており、低木地帯と乾燥地帯の中間付近にある草原地域でも、その特徴をみることができる。