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第7章第2節 大洪水:第1款 発生まで

スワキサルザ神が創り出した人は、神の命に従い、順調に増えていった。

だが、そのうちに話を聞かなくなった。

また、少なかったときは楽しげにしていたのだが、増えていくにつれ、その楽しみは暴力的なものとなり、しばしば争いも始まった。

文明を与え、文化を育てたが、それらは、隣村と争うための戦争の道具と化した。

このことより、スワキサルザ神はイカルムード神とジルサンデル神に相談をした。

スワキサルザ神は、

「人間を作るのはよかったが、今ではすっかりと我らに従わなくなってしまった」

イカルムード神は、

「子供が子離れすることは、当然のこと。だが、このまま放置すると、必ず破局を迎えるであろう。いかにするか」

ジルサンデル神は、

「我らの命に従う者のみを生き残らせ、他の者を排除するのがいいだろう。だが、それにはわれらの力だけでは足りないだろう」

そこで彼ら原初の三柱神は、スワミイズル神とイスルード神に相談をした。

(著者注釈:スワミイズル神とイスルード神の二人を合わせて、原初神と呼ぶこともある。他には原初二柱神、二柱神、夫婦神とも)


スワミイズル神は、

「ならば、試験を課すのがいいだろう。人間には、船を作らせよ」

イスルード神は、

「我らが海を荒れさせるために必要なのは、半年。この半年の間に船が完成するように資源を与えよ。すれば、逆らう者たちは、みな流されるだろう」

スワキサルザ神は、

「なるほど、確かに一理ある」

といい、原初三柱神は全人間に述べた。

「これより半年後までに、船を造らぬものは、大洪水に流されるであろう」

それだけ言うと、人間は一つへとまとまった。

だが、資源の競争となるとわかると、すぐに争いが起きた。


一つの村は、この争いのために全滅し、また別の村は村長を中心とした独裁を敷いた。

独裁を敷いた村では、資源をとるために資源を使っての戦争を繰り返した。

唯一それらの例外となったのは、離れ小島となっていた小さな村だけだ。

総勢100人足らずという小さな村だったが、原初三柱神はこの村のみを救うことを決めた。

スワキサルザ神は、

「この村は、我々の目的にかなっている。おぬしらは助けることにしよう」

そういって、50グラーザの長さ、41ラーディンの幅、16スルパッタの高さの船を造るに十分な量の資源を村長に与えた。

村長は、

「神よ、我々はあなた方を崇め奉ります。このご恩は生涯、いえ、子々孫々に亘るまで忘れぬよう伝えていきましょう」

スワキサルザ神は、

「おぬしの妻は、船の中で子供を3人産むであろう。この子らは、長男は我が血が流れ、二男はイカルムード神の血が流れ、三男はジルサンデル神の血が流れている。彼らはみな神の子である」

村長は、

「確かに我が妻は、子を孕んでおります。ならば、長男の血筋は我が跡取りに、二男と三男の血筋は長男を助けるように努めさせましょう」

スワキサルザ神は、

「それがよかろう」

そして、船は一気に作られていった。


最も大きい島では一人の男がすべての村を併合し、大帝国を築いた。

これは今では名も知られていないが、一説によればムガガンダという名前であったという。

だが、それらの痕跡は、今は残っていない。

それは、これから起こる大洪水のため、洗い流されたからである。


スワキサルザ神は、村長が船を作り上げたことを述べるとすぐに夫婦神に報告をした。

スワミイズル神は、

「ならば、雨を降らそう。彼らにはこれまで恵みの雨となっていただろうが、これより先は苦しみと死の雨である」

それからスワミイズル神は、イスルード神とともに、新たに作った杖で雲を造りだし、それらの空側の場所をつついた。

みるみる間に、雨が降り出す。

それは、すぐに豪雨となり、暴風となった。

村長は神の命により、村民全員を船の中に入れており、さらに食料や資材も入れていた。

船がおかれた山の上まですぐに水はせまり、そして、海面へと船は進みだした。

櫂も何もないため、流れに身を任せている船を、スワキサルザ神は守り続けた。

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