第12章第2節 宇宙人の贈り物
物質崩壊は一定のスピードで行われていることが分かったのは、100年にわたり継続して行われた研究の成果であった。そして、他宇宙はまだ物質崩壊が起こっていないということも判明した。宇宙人らにも協力してもらったものの、彼らは次第にこの宇宙空間へと訪れることは少なくなり、3122年に最後の別れとして船団と、他宇宙に関することの資料を残して去っていく。
この資料に基づいて、他宇宙へと進出度合いを強めていく。帝国全域が宇宙へと広がる一方、他宇宙へはほぼ行きっぱなしとなるがため、次々と人員を派遣し続け、それらも帝国の版図の一部であると、向こう側で宣言をすることとした。この宣言のために、向こう側で戦闘となることもあるが、送り込まれ続けることにより、その戦闘にも次々と勝利を収めた。少なくとも、そのように報告が帰ってきた。
さて、この資料は、宇宙の成り立ちそのものを記しており、当時には宇宙人の贈り物と呼ばれるようになっていた。この時、3300年。古の時代に思い浮かべたような未来では無いものの、それでもこの宇宙が崩壊するよりも先に、この帝国が、たとえ他の宇宙であったとしても、存続し続けられることの方が優先された。それを目的としたために、3200年ごろからの他宇宙への派遣は、常に皇帝あるいは王の一族が隊長を務めることとなった。また、補佐として、最高神官の一族、そして侍従長の一族から1名ずつを出すこととなった。