第11章第8節 他宇宙
次元異動技術の開発にはおおよそ100年かかった。2810年にいよいよ別の宇宙へと進出することとなる。他の宇宙というのは、いま私たちがいるところを第1の宇宙というとしたら、すぐ隣に、ごくわずか、あるいは少しだけ違う形で存在している第2の宇宙、さらにそれから同じように少し違う第3の宇宙というようになっているらしい。これらを自由に行き来することができるのであれば、我が帝国もさらに発展することは疑いようのないことだろう。だが、逆を言うと、向こう側からもやってくることを意味しており、さらにいえば、宇宙人らのいうことによればであるが、第2の宇宙や第3の宇宙といった人々は友好的であるとは全く限らないということらしい。それでも、私たちは進むことを決断した。それは、友好関係を結べる相手もいるという考えからであった。
次元異動技術を用いることにより、他宇宙が存在しているということを私たち自身が認識し、それが確固たる技術に基づいていることを理解しなければならない。また、他宇宙へと及ぼす影響も大きいことがあり、私たちの行動がすべてつながっていると考えるべきだろう。




