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夢を叶えたら死ぬ国で君と僕が夢を叶える話。

作者: 成宮なる

脚本風雑書きです。

悪しからず。

楽しんでいただけると幸いですが、読みにくい所があったらすみません。

初投稿で至らぬ点もありますが、見守っていただけると幸いです。

開演

一 教室 アズワルド ぽつんと立っている



アズワルド 僕が夢を自覚したのは十五歳の時だ。確か、有名な文豪の小説の続きを書く授 業をしていて、

それから先生に褒められた時だったと思う。小

さなきっかけかもしれないけれど、 それでもな

にか人より秀でているものがあるとか、そんな

んじゃない僕にとっては充分すぎる理由だった

。それから僕の背丈は百五十八センチメートル

丁度で止まって、体重も……


(少年のような見た目の先生が現れる 居眠りしているアズワルド )

(クラスメイト達 アズワルドに注目)


先生     ……くん、アズワルドくん!

アズワルド  ……は! 先生 また居眠りですか。先生の話を聞

かないつもりなのですね?あぁ、全く。1番大切

な道徳 の授業で居眠りなんて……君の背丈があ

まり高くないのは良い事ですが、それにしたっ

て君だけ ですからね、今月の課題がまだ終わっ

ていないのは……

(話し続ける先生 ぼーっとしていたアズワルドか不意に問う)

アズワルド  先生の夢はなんですか……(ハッとして)あっ。

先生     なんだ、きちんと聞いているじゃないですか。

先生の夢は中学校の先生になる事ですよ。……

だからそう、夢を見る事は素晴らしいんです。

夢を見る限り私達は生きていける。キラキラと

した 希望が、人類のエネルギーになるんです。

これは我々のご先祖さまが、この国に生きる人

間にだけ与えてくれた特権です。醜く歳をとっ

て死ぬなんて恐ろしい事、考えただけで(チャイ

ムが鳴る)……あれ、チャイムが鳴ってしまいま

したね。それじゃあ今日の授業はここまで。……夢をまだ見つけていない人 は、素敵な夢

を沢山探すのですよ。良いですね?


先生 名簿を抱えて機嫌よく教室を出ていく 


暗転



二 (アズワルドとリウとルカがブランコに座る)


リウ     ねぇ、私不思議なんだけどさ……

アズワルド  なに、どうしたの?

ルカ     これで今月に入って七回目だな、リウの「不思

議」……先月は確か十二回だったから、 あと六回

で記録更新だ。

リウ     からわかないでよルカ!

ルカ     ごめんごめん!で、今日の不思議は何だ

リウ     もう……まあいいわ。不思議なのは、どうして

リック先生がいつまでも高校の先生をしている

のかって事よ。リック先生の夢って確か、中学

校の先生になる事でしょ?高校の先生が出来る

なら中学校の先生も出来るはずよ。だって中学

校の勉強よりも高校の勉強の方が難しいに決ま

ってるじゃない。それなのにどうしてならない

のかな、って。

ルカ    だって中学校の先生の仕事は、中学校の先生以

外を夢見ている人がするものだろ?ここ、ソム

ニウムは夢見る国なんだからさ。

リウ    うーん……

アズワルド ほら、リック先生が中学校の先生になってしま

ったら、夢が叶うよね?そうしたらリック 先生

は大人になって、歳を取って死んでしまう。だ

から、リック先生はずっと高校の先生をしてい

るんだと思うよ。

リウ  そう、そこなのよ!どうして誰も夢を叶えよう

としないの?

アズワルド 先生も言っていたけど、僕らソムニウムの国民

にとっては夢を見る事が何より大切で、夢を見るのをやめれば僕達は死んでしまうのはリウだ

って知らないわけじゃないでしょ?

リウ  でも、それじゃあ私達はわざと叶わない夢を見

続けるってこと?リック先生は本気で中学校の

先生になろうとはしないし、アズワルドだって

本気で小説家にはなろうとしないし、ルカも本

気で医者には……それって変よ!

ルカ   そうは言ったって、死ぬのは誰だって怖いし嫌

だろう?夢を追っていればそれで幸せじゃない

リウ   ……それじゃあまるで臆病者じゃない。

アズワルド リウ、その言い方は……

ルカ    死ぬのが怖くて何が悪いんだよ。

リウ 見ているだけの夢なんてつまらないじゃない!

アズワルド ちょっと、落ち着いて……

ルカ   そう簡単に言うけどな、そもそもリウはその夢

すらまだ見つけてないだろ? 背丈だって俺 達よ

りずっと高くなってるじゃん!

リウ   そ、それは……

アズワルド

(リウの言葉を遮って)二人共落ち着いて! リウ

、ルカ、お互いに少し言い過ぎだよ。

ルカ   ……確かに言い過ぎたよ。ついカッとなって

……ごめん、リウ

リウ  私もごめん。でも、私はちゃんとあるよ、夢。

私の夢は、夢は(口篭る)……あ、もう私帰らなき

ゃ。また明日!

ルカ   お、おう。またあ明日。

アズワルド  気を付けてね!

リウ走り去る 暗転

三 アズワルドの部屋


アズワルド ボーっとしながら不意に呟く


アズワルド 本気で小説家になる気がないか……でも僕は何

度か出版社に持ち込みに行ったりもしているし

、その時にはちゃんと、世界一有名な小説家に

なる事が夢だって言っている。そしたら出版社

は僕をひっそりと売り出すし、僕はデビューが

できる。僕は頑張っているはずだ。本気なはず

だ。……でも、死ぬのは確かに怖い。僕の父さ

んと母さんも、歳をとってしまったせいでソム

ニウムの外で暮らす事になった。今はどこで何

をしているかもわからない。死んでいるかもし

れない。二人の夢は何だったんだろう、僕はそ

れすら知らない。夢を失う事はそれ程怖い事な

んだ。……けれど、もしこのまま僕が生きてい

て、どうなるんだろう。ずっと小説家にはなら

ないのかな。毎日同じような日を、ルカやリウ

と一緒に過ごして……楽しくて、死ぬ事はもち

ろん、病気とか不幸とかとは無縁かもしれない

けど、それってなんだか勿体ない様な気もする

。安全な道だけど、なんだか違うような……

アズワルド 机に向かいペンを走らせる

しばらく書いてから頭を抱える

アズワル 違う、そうじゃないんだ!確かに今までも僕は

小説を書いていたかもしれない。でも、手を抜

いてたって言うか、安全な道を……間違っても

売れてしまったりしない様な作品を書いていた

んだ。(深呼吸をして)……きらきらと光る星の多

い事、冷たい水の心地良さ、春先の風の柔らか

さ……そんな事を沢山思い出して……書ける!

そうだ、本気で書くんだ。全力を使って、僕の

全てで!

(食らいつくように執筆する)

こんなに早く筆が進むなんて初めてだ! なんて楽しいんだろう、生きているって感じがするよ!出来上が

ったらきっと、みんなに、世界中に見せるんだ!



四 放課後の教室

アズワルド どうかな……

ルカ   いいんじゃないか?アズらしくて。俺は好きだ

なこういうの。ていうか、また腕上げたんじゃ

ないの?

リウ   本当に。いつものも良いけど、これはなんだか

……もっと、アズワルドの全力って感じがする

。遂にデビュー出来るんじゃない?

ルカ デビューか……アズの夢は本当に、世界一有名

な小説家になる事なんだよな?

アズワルド う、うん。だからデビューしたって大丈夫だよ

ルカ   そうか……わかった。俺は信じてるからな。


(先生が教室に入ってくる)

先生   リウさん、ちょっと職員室に来てもらってもい

いかな。

リウ  はい!ちょっと行ってくるね。

ルカ   あぁ、じゃあ待ってるな。

アズワルド ごめん、僕は今日出版社に行くから先に帰るね

リウ   わかった。

先生   はい、さようなら。あ、ルカくんも先に帰りなさい。少し話が長くなるかもしれないから……

ルカ

  そうですか?じゃあ俺も先に帰ってるよ! リウ

、また明日な!

アズワルド また明日。

リウ  また明日。

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