プロローグ 知らないとこから
「辛い…辛い…とにかく辛い。生まれてこの方20年、一度も彼女出来たことがねぇ!こんなクソみてぇな人生、さっさと死んで生まれ変わって美女にでもなってアイドルしてみんなにチヤホヤされてーなー!」
ーー俺は決めた。
中学こそは、高校こそは、専門学校こそは。そう、何度期待を抱いたってどうせ人生かわりゃしないんだ。もし一目惚れしたあの子にダメ元で告白して振られたら、俺はその日の夜に自⚪︎する。方法はまだ決めていないが。ーー
Rirnaというメッセージアプリで、クラスのグループから好きな子を探し、追加する。彼女のアイコンはとても可愛い猫のアイコンだ。おそらくペットの猫だろう。
少し嫌われないか不安ではあったが、どうせこの告白に失敗したら死ぬんだ。俺は迷わず「いきなり追加してごめんね!」と挨拶のようにリーナする。
「大丈夫だよ!」と一言、彼女は6分後にリーナを返す。「ちょっと話したいことがあるんだ、大事な話なんだ、この後暇だったら学校の屋上に来て欲しい」と俺は送った。この時点で断られる可能性もあったが、意外とすんなり誘いに乗ってくれた。
約束の時間を指定し、屋上で彼女を待つ。約束の時間になると、彼女は屋上に来た。「来てくれてありがとう、単刀直入に、、、あなたのことが好きでした!付き合ってください!」と告白をした。
「告白してくれてありがとう!話したことないからとってもびっくりしたよ!いい意味で!」彼女の第一声は意外にも明るかった。
「とっても嬉しいんだけど、ごめんなさい。他に好きな人がいるから。」とあっさり断られた。俺の胸の高鳴りは、途切れることなく一気に悲しい方へと変わる。
死ぬ方法はまだ考えていなかったが、とっさに屋上から飛び降りる。なんてことはしなかった。彼女がショックを受ける顔を見たくないからだ。
俺はトボトボと家へ帰る。どう死のうか迷う。なにせ、楽に死ねる方法なんてないからだ。電車に轢かれて死のうとして、失敗した人も実際いるし、首を吊るのも長時間痛みを伴いそうだ。
俺は思い立った時には知らないマンションの1番上の階まで階段で登っていた。マンションの端から下を見てみると、地面はとても小さく見え、そこに横たわる俺を想像するだけで恐ろしい。でも、こんなクソみたいな人生、死んだ方がマシだ。
さらば、好きな人。さらば、家族。さらば、数少ない友達。さらば、好きなアイドル。さらばーーーー
いろいろなことが頭を巡り、視界が悪くなった。どうやら俺は目から涙をこぼしているようだ。マンションにかれこれ1時間立ち尽くしていた。
すると、知らない人が「アンタ、そこに突っ立って何してんのさ!見ない顔だね〜」と言ってきた。
最期に交わす会話がこんなおばさんとの会話になるとは思ってもいなかったが、俺は迷わずマンションから飛び降りた。
主人公の今後に、ご期待ください!主人公のことも、作者のことも応援してくださると嬉しいです!