3話
すでに出来た人間がベースなので、感情の整理が早いです。場合によって加筆してもいいかも
残っていた蒼水銀を用いて、魔導核に込められた魔力、否
生命と融合を深めて理解した
流れ込む記憶と想い
(私は、蘇ったのではない)
私と思っていた存在は、かつて生きた騎士の遺した意思と融合した精霊に過ぎないのだと
逆らい難い事実が突き付けられる
呆然とした
静寂が広がる
周囲の自然と感じる全て
どこか遠くの景色を描いた絵画を見るように、題材は離れた地の実物と言われても
その存在の事実もわからないように
どこまでも現実味を帯びた偽物のように感じた
立ち直るまでどれだけの時間が流れただろうか
元素で構成されたこの体は、地上に存在するだけで地の元素を吸収している
腹が減ることもなく、眠気を感じることもない
自分はどこまでも人間ではないようだ
もはや全てに対して気力がでない
この感情をどうしてくれよう
(いっそ消えてしまおうか)
様々な感情が己が内をめぐっては消える
しかしながら思うことも、それをしてはならないという騎士としての矜持さえも
全て自分のものではない
どこか他人事のように思えてしまって
だが
冷静になって記憶を振り返れば、在りし日の出来事は全て過去に起きたことなのだろう
騎士は帝都で命を以て戦い、守り、散った
しかし彼の精霊兵の残骸ともいえる、私の宿った魔導核は今、遺跡と化した森の中に落ちているのみ
人口精霊がいなくなり空になった隙間に自分が滑り込んだに過ぎない
帝都近郊にこれほどの自然など広がってはいなかった
ここがどこかなど、もはやわからないほどに時間が過ぎてしまったのだろう
きっと殿下も、国も、すべて過去のことだ
何もかもが消え去った今、彼の記憶を手に入れただけの自分がこの時代ですべきことなどないだろう
そう思ったものの
災厄の影響にあってなお生命の残った魔力核に自分が宿り、想いを知ってしまった
この出来事はきっといくつもの偶然の積み重ねの上に成ったことだ
・・・
・・・・・
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(やるべきことはある)
何ができるかはわからないけれど、もし偽物であったとしても、今の自分にとっての全てなのだ
精霊一匹、できることをしてみるのもいいかもしれない
否、きっとするべきだと
決意は固まった
ただこの世に生まれ、あるように漂うだけの精霊ではなくなった
今の自分は私だ




