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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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育ちの悪いお姫様 Ⅶ

 暖炉で温められた、空気がこの部屋を暖かくし始めた頃。侍女のシーラ・ロックトンさんが、部屋の扉を叩いた。

 彼女の動きに合わせるよにして、隣に待機しているメイドさんが、そっと居間のに通じる扉を開く。暖炉の前で、暖まっていたあたしの顔を見て、メイドさんが驚いたような顔をする。メイドさんは、あたしが既に起き出していることに気が付いていなかったのだろう。

 因みに、あたしは既に寝間着から、普段使いのドレスに着替えてしまっている。本来ならば、メイドさんや侍女さんに手伝って貰って、ドレスに着替える物らしいのだけれど。待っているのも面倒だったからさ。簡単に着替えてしまった。


「お早う」

「お早う御座います。一寸失礼します」


 メイドさんは、ビックリした顔のまま、あたしに挨拶をしてくれる。

 此れって不味かっただろうか。何時ものことだから、自分で着替えてしまったのだけれど。御嬢様らしくない振る舞いになるんだろうか。何しろ、普段使いのドレスは、構造として一人でも着る気になれば、着ることの出来る代物なのだ。

 慌てて、メイドさんは居間の扉を開いて、シーラ・ロックトンさんを迎え入れる。メイドの仕事に流れとしては、此れから二人で身支度を調えて、朝食の場所に連れて行くのが仕事になる。

 何時もあたしが遣っている、ローテーションなんだけど、この程度の身支度に、誰かの手伝いなんか要らない。因みに、マリアも一人で身支度なんか出来るんだよね。其れもあたしの所為かも知れないけれど。

 一応、髪はとかして貰いたいなとは思うのね。其れと、身支度の中には、そういった事も含まれるから、メイドさんの仕事が無くなってしまったわけでもないと思う。


「お早う御座います。マリア様」

「ベットの上に、寝間着は畳んで置いといたから、洗ってくれると嬉しいかも知れないわ。其れと、夜中に覗きに来るのは行けないと思うと言っておいてね」

 

 一応悪戯をしておいたから、あたしが寝ているところを見ることなんか出来なかっただろうけれど。それでも、乙女の寝姿を覗くのは考え物だと思うのね。

 見られて減る物でも無いけれど、誰とも知れない人間に、観察されているのは、気に入らない事だから。文句ぐらいは言っても良いともうのよね。

 あたしの割り当てられた、部屋は立派にな物だけれど。中の人間の動向を観察することの出来る、特別室になっていた。ゲストルームに成るんだけど、色々と情報を得るための部屋だと思われる。

 御屋敷の方にも、こう言った仕掛けがある客室はあるのだけれど。そう言った部屋は、何らかの秘密を持っている人間の内情を探るための部屋だ。決して、親戚の娘を入れるような場所では無い。


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