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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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食事会が終わって 6

「少し考え事をしていたわ。今なんて言ったのかしら」


 ウッカリ聞きそびれてしまった事を、改めて聞き返す。此れはこれまでに無かったことだ。


「姉上。大夫お疲れのご様子ですね。この後の予定を一端止めて、お休みに成られたらいかがでしょう」


 ディーン・デニム子爵の端正な顔が、心配そうに歪む。こういった事は、最近の彼女にはなかったことで。

 会話中に他の事を考えていることなど、あり得ないことだった。


「もう一度言ってくれないかしら」

「そうですね。私は、ハーケンには何らかの叛意があると感じられますと申し上げたのです。彼の誘拐事件を、彼奴は知っていたのでは無いかと申し上げたのです。出なければ、あのように誘拐犯を捕らえることなど出来ないでしょう。それに、今回の暗殺未遂犯を他するような行動は、どう考えてもおかしいい」


 弟の判りきっていることに対する指摘は、此れまで何度も臣との間で遣り取りされている。アリス・ド・デニム伯爵夫人としては、此れまで何度となく話し合っていることで、しかも結論の出しにくい物だった。

 何より、彼女は自分の子供と思っている、ナーラダのリコの言う事を信じたいと思っている。其れがあるからこそ、ハーケン親子を自分の側に置いておこうとしているのだから。

 以前、何故誘拐事件が起こる事を察知して、マリアを救出できたのか、尋ねたことがあった。その時は、彼は困った顔をして、うちの将軍に頼まれたからだと答えた。正直彼は、どうして彼女が誘拐について、知ることが出来たのか、判っていなかった。

 ただ、ナーラダのリコは此れから起こることを、時々当てることがあった。如何しても、彼の襲撃が必要だと、言って聞かなかったそうだ。何故そんな荒唐無稽なことを信じることになったのか、納得の行く説明は無かったが、それでも、ハーケンは信じた。

 そして、事細かく襲撃の手順を、ナーラダのリコは考えて、実行に至った。その馬車の中には、案の定マリア・ド・デニム伯爵令嬢がとらわれていたと言うことに成る。

 彼の娘は、幼い頃から、不思議な力を持っていたらしく。何故かハーケンは、彼女の言うことを信じるようになっていた。

 若しかすると、其れこそが呪われた双子の迷信の元になるようなことなのかも知れない。姉妹の危機に、彼女が気付いたと言うことなのかも知れない。それなら、その不思議な力は、アリス・ド・デニム伯爵夫人に取って、好もしいことではあった。

 確かに、ナーラダのリコの遣っていることを統べて肯定することは出来ない。彼女の説明では、そう簡単に納得させることは出来ない。

 それでも、事実マリアは救われた。今回のように、暗殺者を捕らえることが出来た事は、間違いなく手柄と言えるだろう。其れも生かして捕らえることが出来たことで、暗殺を目論んだ者に迫れるかも知れない。

 もしも、彼らが暗殺を目論んでいたのなら、生きて捕らえるようなことなどしないだろう。何故なら、死人に口なしは誰もが考えるようなことだから。

 生きて捕らえたことで、彼らの潔白を彼女が信じるようになった。若しかすると、何があっても彼女は、ナーラダのリコの言葉を信じたいと思う物なのかも知れないけれど。ようやく取り戻すことが出来たのかも知れない、双子の片割れを側に置いておきたいのだ。

 其れが、例え呪われた存在だったとしても。







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