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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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圧迫面接件食事会 5

 ゆっくりと時間が過ぎて行く。

 あんまり楽しい食事会でもないから、時間が過ぎるのがとても長く感じる。昔、警察に捉まって、取り調べを受けた時みたいにしんどい時間だ。あれも言ってみれば、圧迫面接みたいな物だから、同じような物なのだろうけれど。

 一寸違うのは、あたしはそんなに圧を受けていない事かな。其れは多少は、色々と聞かれたりもしたけれど。どちらかと言えば、圧をまともに受けているのは、目の前に座って食事をしている、デニム子爵のように見えるからだ。その証拠に、彼の前に置かれている、今日のメイン料理になる、焼いた肉を態々煮こんだ料理が減っていない。

 此れじゃ。圧迫面接を受けているのは、デニム子爵の方って感じだ。なんか、あたしは気の毒になってしまう。

 あたしは良いのよ。この手の圧迫面接的なことは、昔から慣れているからね。学校でもそうだったし、家に帰っても其れは似たような物だったからね。

 今回の面接には、あたしの方に奥様が座ったことで、あたしに向けられる圧は、相当減じられた。あたしは、仕事を評価するための、食事会を兼ねた面接だと思ったのだけれど。若しかすると普通に、単なる食事会だったって事なのかも知れない。

 父ちゃんの模擬戦の話題から、奥様の放つ優雅な圧に、あたしは奥様の顔を見ることが出来なくなった。もしかして、奥様は怒っているのかな。真逆ね。


「姉上のお気持ちは、重々承知しております。それでも側に、あのような者を置くのは感心しないのです」


 デニム子爵の栗色の瞳が、あたしの顔を射貫くように見詰めてくる。あたしの事が気に入らないって、その視線が、物語っている様に感じられる。


「其れは、今この子の前で話すことではありません。それに、あの男は間違いなく、私兵団の中で、最も強い兵士です。其れを、貴女はよく知っているのではありませんか」


「私もあれと、一緒になって、小隊を率いて戦っていたことがありますから。姉上に言われるまでも無く、知っています。だから、少し試すようなこともしました」


 奥様と話している癖に、子爵の視線はあたしから離れてくれない。気を付けて、カトラリーを使う姿が、綺麗に見えているだろうか。その辺りが心配に成る。

 話題の中心が、父ちゃんの模擬戦になったから、あたしの観察は終わったかと思ったら、其れは気のせいだったらしい。余り美味しくない、肉の煮込み料理が、更に美味しくなくなった。

 このデニム子爵は、奥様の弟だって事が判って、あたしは一寸驚いている。何で、直轄地の管理人みたいなことを遣っているんだろう。その辺りのことは、流石にさくらいろのきみに・・・のシナリオには、何も明記されていなかった。

 奥様の立場に立ったら、自分の姉弟に出城の城主を遣らせておいた方が、安心するのかも知れない。

 そう言えば、デニム子爵はゲームのスチルに、全く何処にも顔を出していない。勿論、彼のゲームは、基本的に王都の学園の中でのお話だから、此方の人達が描かれていなくても、何の問題も無いのだけれど。

 それなら、奥様が敗れ去る姿を描かなくても良いのに。後半を盛り上げるための、演出なのかも知れないけれど。


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