育ちの悪いお姫様 6
こう言った仕掛けの探索は、あっちの御屋敷でもやっている。あんまり面白いんで、一時期は結構はまったんだよね。流石に今はそんなことも無いのだけれど。
ゲームさくらいろのきみに・・・にゲーム的な遊びの中で 、こう言ったお城の、秘密の通路の探索する物があったから、そのリアル板と思えば、結構楽しかった。
其れも此れも、死んじまったニックの仕込みのお陰だ。本当に色々と楽しませて貰っている。
そう言えば、ヒロインちゃんはどうやって、鍵開けや罠の解除を身につけたんだろう。その辺りは、何にも説明されていない。悪役令嬢マリアは、あたしと同じで、ニックに仕込まれていただろうから、判るんだけれど。彼女のプロフィールの中に、そう言った技能持ちだって、書いていなかったような気がするんだけど。
案外、あたしと同じで、結構育ちが悪かったのかも知れないね。何処かおっとりした感じの美人さんだったけれど。あれでも、一応子爵家の御嬢様だったはずだけれど。どうしてあんな事が出来たんだろう。
何しろ、彼女は貴族にしては珍しく。とても生活力が高かった気がするんだよね。
貴族の娘でも、下級貴族の娘なんかは、高位貴族の御屋敷なんかに、奉公に出されることがあるけれど。メイドさんみたいに、実働したりしない。主に、よさげな結婚相手をゲットするまで、メイドさんに指示するのが基本的なお仕事だから。あんまりお料理なんか習わないはずなんだよね。
それなら、高位貴族のお相手をすることが出来るように、色々な知識をため込んで、話し相手になるのが主だと思うのね。
ドリーさんは、不思議なことに、メイドさん的な事もそつなく熟していたけどね。あの人は、侍女とはいえ、例外の人だったらしい。
何しろ、結構強くて何でも熟す、スーパー侍女だったからね。何より、奥様の信頼の厚さは半端なかった。ドリーさんが怪我して、毒の所為で危篤状態になったときの、奥様の焦りは見物だったそうだ。
マリアが、奥様の所にお見舞いに行ったとき、かなり焦っていたって聞いた。何時も冷静沈着に見えていたんだけれど、流石に堪えていたらしい。
あたしが、毒を発見して、ドリーさんの命が助かったときの、ニコニコ顔は一寸忘れられない。何時もあんな顔でいたら、周りの人間は幸せだろうと思う。
普段でも美人なのに、ああしてニコニコ為て居ると、周りが幸せになると思う。それが、此れが怒っているときは、其れこそ震えるくらい怖い。美人が、怒ると怖いもんだよね。
その点、あたしも結構な美人だから、気を付けなければいけないな。
あたしは丹念に、今の壁を調べ始めてから、二十分くらい経っただろうか。壁の一郭に、のぞき穴を見付けた。良く出来た細工が施されており。一見では、簡単に気付くことの出来ないようになっている。
スライドさせて、中を覗くことが出来る仕掛けだ。勿論、目と目が合うような面白いことには成らず。暇つぶしのネタにもならないだろうけど。この部屋は、観察対象を入れておく場所だって事が判った。
此方がわからは、仕掛けを動かすことが出来ないから。向こう側を覗くことは出来ないけれど。結構な暇つぶしには成ったな。
後で、秘密の通路を発見することが出来そうで、少しだけわくわくしたのは内緒だ。




