育ちの悪いお姫様 4
思わず一人に成った。
彼のよさげなメイドさんは、あたしを置いてプライベートルームへ引き上げてしまう。晩餐会まで、大夫時間がある。その間、結構暇になってしまった。
あたしは普通の元不良だから、時間があれば本を読んでいるような人じゃ無い。どちらかと言えば、一緒に来ている兵隊さん達と、遊びに行きたいくらいだ。
メイドさんと親交を温められたら、結構な時間つぶしになる。そうしたかったんだけど、真面なメイドさんだったらしく。貴族令嬢と話しては呉れなかった。
此れが侍女さんなら、結構色んな事を話してくれる。実際其れが、侍女の主な仕事だからね。
侍女は高貴な人との話し相手が、基本の仕事で、それに伴う色々な知識をため込んでいる。読み書きができるだけで、相当給金の額が違うのだ。メイドは侍女の指示の元、手を動かすのが役目だ。だから、メイドさんは余り読み書きが出来なくても、雇われることが出来る。
此れは最初から、取っても不公平なことがある。
何より侍女さんは、貴族のこが殆どで、教育そのものが違う。彼女達は、其れこそプロの家庭教師に就くことが出来る。村の人間は、基本的に読み書きが出来ない。だって、そう言った教育を受ける機会が始めっから無いのだから。
あたしは、其れこそ父ちゃんは読み書きが出来たし。賢者様に頼んで、学ぶ機会を貰っていたからね。転生していなくても、かなり良い環境にいたんだ。
この世界には、平民を教育することの意味を、理解する支配者なんていない。どちらかと言えば、知らせずに此方の言うことを聞く平民こそが、求められる。従順に、黙って税を払い続ける人間こそが素晴らしいんだ。
その辺りは、あたしが昔住んでいた場所にも在った。案外、そう言う事が大人達にとっては、支配しやすい民だって事なのかも知れない。
そう言えば、賢者様が言っていたな。時の支配者に取って、何も判らない愚かな人間ばかりの方が、都合が良いらしい。あたしみたいに、読み書き計算が出来る人間は、其れなりに仕えるけれど。支配するには、面倒な相手かも知れないな。
こうしてみると、あたしはメイドなのか侍女なのか、どっちつかずの不思議な存在って事なのかも知れない。今更、もう普通のメイドに成れるわけも無く。
侍女とも言えない。あたしは村娘には違いないからね。それでも、御貴族様の御嬢様と言い合いしている関係。普通のメイドさんなら、マリア・ド・デニム伯爵令嬢とお話なんか、とんでもない事なのかも知れない。
仕方が無い。侍女さん達が、晩餐会の準備に来るのを待つしか無いか。今着ているドレスから、もう少しフォーマルな感じのドレスに着替えるまで、大夫時間がある。勝手に、此所を出るわけにも行かないし。何より、マリアならそんなこと為ないからね。
なんちゃってマリアのお仕事は、こう言った我慢を為なければならない。兎に角、昨期見た書類を思い出して、もう一回計算をしてみようか。兎に角暇で地方がない。この格好を為ていなければ、胡座をかいてリラックスする処なんだけどねぇ。
あたしは小隊の連中でも、遊びに来て繰んなかなと思う。一人で、静かに待っているなんて、とてもじゃないけど耐えられない。




