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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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変わり果てた故郷 9

 未だに、決壊した堤防からは大量の水が溢れ出してきている。この様子だと、もしかすると他の河川沿いでも被害が出ているかも知れない。前世とは違い、情報が全く入ってこなかった。テレビもラジオもネットもここには無いのである。何しろ隣の領地で起こっている事を知るためには、かなりの時間と労力が必要になる。

第一救援部隊として送り込まれた者達は、第二次救援部隊にここを任せて、下流域に向けて、明日出発する事になっている。少し遅いかも知れないが、決定的にリソースが足りなくなっているらしい。デニム伯爵家が持っている私兵団は、基本的には隣国からの侵略に対するための物で、水害から民を守る能力を持たされていないのである。そして、謀反を起こせない程度の戦力に制限されていた。

 村の衆のほとんどが、自分の家を守るだけで、限界を超えてしまっていた。だから、未だに教会に、遺体が貴置き去りになってしまっているのだろう。ただこのまま放置することも出来ない。可能なら、これ以上水が村に流れ込むのを止めて。遺体が腐敗する前に、埋葬してしまわなければならない。

 あたしは伯爵夫人に、麻袋に土を詰め込んで、簡易な堤防の補修を提案して、その事に賛成して貰っていた。ただ、その時に彼女の命令にして貰ったのだけれど。あたしは、その工事責任者を遣るように言いつけられた。そんなことはロジャー・ド・タンドリンさんあたりがやれば良いと思うのだけど。十二歳の子供の言うことを誰が聴いてくれるのだろう。

 だいたい、この村ではマリア・ド・デニム伯爵令嬢の影武者は出来ない。いくら何でも、あたしと彼女を見間違える者が居るとは思えなかった。実際、側には父ちゃんがいるし。容姿的にも、白と黒ぐらいの肌の色が違っている。

 伯爵令嬢が日焼けしてくれれば、其れなりに似てくるけれど。其れは期待薄だと思う。


 

 






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