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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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大迫力の模擬戦 5

 この二人の実力が、ほんの僅かだって言うのが問題だ。恐らくお互いに、既に決着が付いていることは判っているだろう。それでも、試合を止める声が上がらない。そうなれば、もう少し決定的な結果を出そうとするだろう。

 何より、父ちゃんの相手をしている人との実力差は、ほんの僅かしかない。何処かで間違えれば、結果が引っ繰り返る。ましてや、審判に当たる人が、見て見ぬ振りしていれば、何時かは致命的な結果を招くかも知れない。平たく言えば、手加減が出来なくなるからね。

 父ちゃんが本気で槍を突いたら、木剣とは言え皮鎧を突き抜けかねない。其れこそこんな鍛錬の場所で、死人が出ちゃう。

 今の処、父ちゃんは冷静な顔をしている。相手も顔見知りみたいだから、全力で攻撃なんかしないとは思うけど。

 それに、相手も致命傷に成りそうな処は狙っていないしね。せいぜい怪我で済むとは思うのね。ただ、この後ハンデ戦が待っているから、無傷で終わらして欲しい。

 本当に、何で奥様はあんな余計なことを言ったんだろう。もしも許されるなら、文句の一つも言ってやりたいと思う。

「ディーン、そろそろ衛生兵を呼んでおいた方が宜しくてよ。恐らくハーケンが怒り出すでしょうから。以前の彼なら、あんな事をしたら、あの審判も怪我をするかも知れませんね。今の彼は大人しくなったから、其処までのことをしないと思いますが、その用意もしておいた方が良いかもしれませんね」

 奥様が、そんなことを横で説明する、ディーン・デニム子爵に話した。

 奥様は、審判役の隊長が軽く剣先が入っているにも拘わらず。それを無視していることに気がついていた。ゲームさくらいろのきみに・・・のスチルにああった、奥様は槍を持って、あたしの知らない砦の屋上で、敵軍と絶望的な籠城戦を指揮していた。

 奥様の目も、かなり良いみたいだ。

「あれは浅かったから、決ったとは判断しなかったのでしょう。実際鎧で止められていますから」

「そう……そうは言っても、そろそろ怒り出すでしょうね。此所には、良いところを見せたい者が居ますからね」

 そんなことを言って、奥様があたしの肩に軽く触れる。こういった事は、今回初めてのことだった。此れまでは、奥様の態度は余り近しい感じではなかった。其れが演技とは言え、何処か遠慮がちな物を感じさせた。其れが、今はそんなことが無い。

 以外なんだけど。今の奥様はとてもリラックスしているように見える。この砦の長を勤めている、ディーン・デニム子爵は彼女の親戚だから、そう言う意味で、ホームなのかも知れないな。

「マリアに良いところを見せたい?其れは違うでしょう。彼奴は貴女に見せたいと思っているのではないですか。此所には、邪魔な彼奴はいませんし」

「馬鹿なことを言わないで頂ける。其れはずっと昔に終わったことですわ」

 一団と声を落としての会話が続く。あたしには、まる聞こえなんですけれど。

「そうは言っても、奴は戻ってきました。悪い気はしないのではないですか」

 あたしは思わず、奥様達の会話に、意識が持って行かれる。その時、父ちゃんの一撃が、相手の太股に入る。突いたのでは無く、払った感じだったけれど、十分な威力だったらしく。相手は仰向けに倒れていた。

 



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