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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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大迫力の模擬戦 2

 全員に号令を掛けていた、軽装の人物が、子爵が頷くのを見て、後方に前進するように命じる。つまり邪魔だから、模擬戦が出来る場所を作れって言っている。

 この兵隊さん達は、どうやらこう言う流れに成ることを予期していたのか、一斉に場所を空けるために走り出した。まるで昔テレビで見ていた、何処の大学か忘れてしまったけれど。団体行動を見せられているようだ。

 この動きが、父ちゃんとの模擬戦を見るためで無くて、魅せるためだったら、あたしは笑ってみていられたんだけどね。全員の持っている、鍛錬のための槍の先には、木製の刃が備え付けられている。いくら切れないし、そう簡単には刺さらないとは言っても、当たり所が悪ければ、致命傷にも成る獲物だ。

 大人の力で、真面に突かれたら肋骨くらい簡単に折れる。何しろこの世界には、ラノベのように、簡単に怪我を治す魔法なんか無いのだから。唯一有るとすれば、あたしみたいな体質の人間が居る程度だ。其れも、この間見かけた怪物くん位しか知らない。

「お母様、ハーケンは御者の制服だけしか着ていません。此れでは不公平に成りはしませんか」

 あたしは思わず奥様に話しかける。こう言った場面で、娘であるあたしが話しかけるのは、其れほど違和感が生まれることでは無い。しかし、あたしはハーケンの娘だ。つまり貴族の格を持っていない。中々難しいよね。

 なんか奥様の頬が上気するように見える。目が笑っているように見えた。何だか、あたしがお母様って呼ぶ度に、機嫌が良くなってくるような気がする。

「その辺りは心配に及びません。この兵の中で、あれを突けるような者は一人も居ないのだから。あれでも、昔はこの国一の騎士だったのよ。あれと互角に戦うことが出来るのは、各国に一人くらいしか居ないかも知れないわ。いくら鈍ったとは言え、此所の砦の兵に後れをとることはありません。心配するだけ、疲れることに成りますよ」

 奥様は、あたしの腕に手を掛けて語ってくる。親子の会話にしては、内容が物騒な物だけど。何処か奥様の機嫌が良い。ドリーさんが、未だに床から離れられないで居るのに、そういった事とは別に、彼女を喜ばせるようなことがあってのだろうか。

 ここの所、奥様と一緒に居るに、そう言った良い知らせが入ってきたように思え無いのだけれど。本来なら、心配で居たたまれないんじゃ無いかと思う。だって、自分の代わりに命を危うくしているのだから。

 奥様って、悪役令嬢気質なんだろうか。自分のために、危険なことに踏み込まなければならない、人間が居たとしても、平然としていられる血も涙も無い人なんだろうか。だから、自分の赤ん坊を捨てられても、平然としていられるような人だから、気軽にこんな企画を受け入れてしまう。

 何の準備も無いままに、父ちゃんに模擬戦を受け入れさせる。其れも、防具すら着けさせないで、その上、十人の兵隊さんの相手をしろなんて、付け加えるなんて、酷すぎる気がする。



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