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変わり果てた故郷 5

 教会周辺は、村の中でも比較的高い場所にある。そのおかげで、このあたりは、水害の影響を受けないで済んでいる。だから、ここが、第一次救援隊によるキャンプ場所になっているのだろう。そして、ここが犠牲者の安置場所になっている。つまり、ここに皆の死体があるのだ。

 怪我をしている人は、、村長の屋敷に収用されているはずで、あのまま皆と一緒に居れば会うことも出来たのかも知らなかった。あたしはつくづく馬鹿だ。ニックの碌でなしのことで、頭がいっぱいに成ってしまった。

「リコ。大丈夫だった」

 村の子供達が、あたしに気付いて集まってくる。あのときにいなかった、あたしの事を心配してくれていのだろう。皆つぎはぎだらけの服に、其れなりに綺麗にはしているけれども、たぶん嵐の夜から着替えては居ないみたいだ。今ここに居る子達は、家が未だに水没したままで、ここにテントに避難している子達だと言うことが解る。

「リコのお家も流されてしまっていたから、心配してたんだ」

 あたしに気付いて走ってきた、二つ年下のジョバンナが、あたしの腰に飛び込んできて叫んだ。黒い紙は少し汚れていて、まだ身体を清めては居ないことが解る。こんな状況では、とにかく生きて居る事で精一杯なのだから。

「あたしの家なくなっちゃった」

 ジョバンナは、あたしに抱きついて泣き出した。この子はあたしがちっちゃい頃から、子守をしてあげていた子で、良く懐いてくれていた。家はそれほど裕福ではなかったけれど、家族仲も良くて良い関係だった。

「父さん母さんと、お兄ちゃんは?」

「水があふれ出しているところにいっている。あたいは皆の面倒を見ていろって」

「今はここに住んでいるの?」

「あそこのテントに、隣のメリーおばちゃん達と住んでるの」

 彼女が指さしたテントを見て、二家族で住むのにはだいぶ小さいのではないかと思う。まあ、この村には大きな講堂見た追いな建物はないので、仕方が無いのかも知れない。


読んでいただいて嬉しいです。

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